2026年3月8〜14日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──米ドルが首位奪取、豪ドル急浮上でNZDが最弱に沈む

ホルムズ海峡リスクが一服するなか、米ドルが高金利と安全通貨需要の二本柱で首位に浮上。豪ドルは好調な雇用統計と資源高を背景に6位→2位へ急上昇。一方、RBNZのサプライズ利下げ余波が続くNZDが最弱通貨に転落した1週間を、ファンダメンタルズ中心に総括します。



順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇺🇸 USD +1.4972 2位
2 🇦🇺 AUD +0.6824 6位
3 🇨🇦 CAD +0.1912 1位
4 🇯🇵 JPY +0.0839 5位
5 🇬🇧 GBP -0.1681 3位
6 🇪🇺 EUR -0.5192 8位
7 🇨🇭 CHF -0.7824 4位
8 🇳🇿 NZD -0.9849 7位
順位ペア変化率方向
1USD/NZD+2.219%USD強 / NZD弱
2USD/CHF+2.053%USD強 / CHF弱
3USD/EUR+1.766%USD強 / EUR弱
4AUD/NZD+1.443%AUD強 / NZD弱
5USD/GBP+1.422%USD強 / GBP弱
順位ペア変化率方向
24EUR/CAD-0.609%EUR弱 / CAD強
25GBP/AUD-0.762%GBP弱 / AUD強
26EUR/AUD-1.042%EUR弱 / AUD強

🏛️ 各国中央銀行と金融政策

米FRBは政策金利3.50〜3.75%を据え置き。2月CPIが前年比+2.8%と予想を下回り、インフレ鈍化期待が浮上する一方、パウエル議長は慎重姿勢を崩さず。市場は6月利下げ観測を維持するも、高金利長期化の可能性も残る。

RBA(豪州準備銀行)は2月の利下げ後も追加緩和に慎重な姿勢を示し、雇用統計が堅調に推移。豪ドルの支えとなった。

BOC(カナダ銀行)は前週の利下げ効果を見極める段階に入り、原油価格の高止まりがCADの下支えとなるも、前週のような独走は見られず。

📌 チェックポイント:米CPIの鈍化がドル売り材料になりきれなかった点に注目。高金利維持+安全通貨需要がドル高の主因。

📉 ホルムズ海峡リスクの一服と原油動向

前週の焦点だったホルムズ海峡リスクはやや後退。イランと米国の間で非公式協議の報道があり、WTI原油は92ドル台から86〜88ドル台へ調整。原油高で前週首位だったCADは、リスクプレミアムの剥落とともに3位へ後退した。

ただしエネルギー価格は依然として高水準にあり、エネルギー輸入国(日本・欧州)への圧力は継続中。

🇦🇺 豪ドル急浮上の背景

今週最大のサプライズは豪ドルの6位→2位への急浮上。3月の雇用統計で失業率が3.9%に低下、雇用者数も+4.2万人と予想を大幅に上回った。資源価格(鉄鉱石・石炭)の堅調さも加わり、RBAの追加利下げ観測が後退したことが買い材料に。

⚠️ 注意:AUDの急浮上は雇用統計という単発イベントが主因。来週の中国PMI次第では反落リスクも。

🇺🇸 USD(米ドル)── 1位(前週2位)

⬆ 首位浮上

強弱指数 +1.4972で今週最強通貨に。前週のCAD独走が一服するなか、高金利(3.50〜3.75%)と地政学リスクに伴う安全通貨需要が二本柱としてドルを支えた。

対NZDで+2.22%、対CHFで+2.05%、対EURで+1.77%と、弱い通貨に対して広範にドル高が進行。7ペアすべてでプラスを記録し、「全方位型のドル高」という強い構図を示している。

📌 チェックポイント:来週のFOMC議事録(3月会合分)でタカ派トーンが確認されれば、ドル高の持続性がさらに強まる。一方、利下げ示唆が出れば反転の起点となりうる。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 2位(前週6位)

⬆ 4ランク上昇

強弱指数 +0.6824で今週のジャンプアップ銘柄。前週は資源国でありながら原油純輸出国でないことが嫌気され6位に沈んでいたが、今週は豪州固有のファンダメンタルズが好転。

雇用統計の好結果(失業率3.9%、雇用者数+4.2万人)がRBAの追加利下げ観測を後退させ、対EUR(+1.04%)・対GBP(+0.76%)・対JPY(+0.52%)と欧州・円に対して広くAUD高が進行した。

📌 チェックポイント:鉄鉱石価格と中国経済指標がAUDの持続性を左右。中国PMIが50割れならAUD反落のリスクあり。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 3位(前週1位)

⬇ 2ランク下降

強弱指数 +0.1912。前週は原油急騰を背景に+1.54で独走1位だったが、ホルムズ海峡リスクの後退と原油価格の調整(92ドル→86〜88ドル)により、リスクプレミアムが剥落。

依然としてプラス圏を維持しており「弱くなった」わけではないが、USD/CADが+1.09%とドルに対しても売られる展開。前週比で最も落差が大きい通貨となった。

⚠️ 注意:原油がさらに下落すれば中位圏への後退もありうる。BOCの利下げサイクル(現行2.25%)が重石として意識される局面。

🇯🇵 JPY(日本円)── 4位(前週5位)

→ 小幅改善

強弱指数 +0.0839とほぼ中立。ゼロ近辺ながらプラス圏を維持し、前週5位から1ランク上昇。USD/JPYは+1.23%と対ドルでは円安が進行したものの、対NZD(+0.92%)・対CHF(+0.73%)では円高方向に振れた。

BOJは政策金利0.75%を維持。植田総裁は追加利上げに含みを持たせるも、エネルギー輸入コスト増の懸念から慎重姿勢が続く。

📌 チェックポイント:来週の全国CPI発表に注目。コアCPIが3%台を維持すれば利上げ観測が再燃し、円高圧力が強まる可能性。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 5位(前週3位)

⬇ 2ランク下降

強弱指数 -0.1681で小幅マイナス圏へ。前週は北海油田の恩恵もあり3位に位置していたが、今週は英国固有の材料が乏しく、USD・AUDの浮上に押される形で後退。

対NZD(+0.71%)・対CHF(+0.50%)では依然ポンド高だが、対AUD(-0.76%)・対USD(-1.42%)ではポンド安。方向感の定まりにくいポジションに。

📌 チェックポイント:BOEは次回会合で据え置き見通し。英国GDPと雇用データが弱含めば利下げ前倒し観測でポンド売りも。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 6位(前週8位)

⬆ 最弱脱出

強弱指数 -0.5192。前週は-0.9984で最弱通貨だったが、2ランク改善し6位に浮上。ただし依然としてマイナス圏は深く、回復というよりはNZD・CHFの下落に助けられた相対的な順位改善。

ECBの金利据え置き姿勢は継続。ユーロ圏のPMIがわずかに改善し、景気底打ち期待がユーロ売りの一服につながった面も。

⚠️ 注意:ユーロ自体のファンダメンタルズ改善は限定的。エネルギー価格高止まりと独経済の停滞がユーロの構造的な重石。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 7位(前週4位)

⬇ 3ランク下降

強弱指数 -0.7824で大幅後退。前週は安全通貨としてほぼ中立(-0.07)だったが、ホルムズ海峡リスクの緩和で安全通貨需要がUSDに集中し、CHFは置き去りに。

USD/CHFが+2.05%と大きくフラン安が進行。SNB(スイス国立銀行)のマイナス金利圏に近い低金利政策(現行0.50%)が、リスク選好局面では逆風として働く構図。

🔴 警告:CHFはリスクオン環境で弱さが顕在化。SNBの為替介入スタンスにも注意が必要。安全通貨としての機能はUSD・JPYに劣後する展開。

🇳🇿 NZD(NZドル)── 8位(前週7位)

⬇ 最弱転落

強弱指数 -0.9849で今週の最弱通貨。前週のRBNZによるサプライズ50bp利下げ(政策金利3.75%→3.25%)の余波が継続し、売り圧力が収まらない展開。

USD/NZDが+2.22%と全ペア中最大の変動を記録。AUD/NZDも+1.44%とオセアニア圏内でも大きく劣後。7ペアすべてでNZD安が進行する「全面安」の構図に。

🔴 警告:RBNZ追加利下げ観測(4月会合で25bp予想)が重石として残存。NZ経済の減速感が強まるなか、底打ちの兆候が出るまでNZDロングは慎重に。

ドル一強 vs 前週王者CADの後退

前週はホルムズ海峡危機で原油関連のCADが独走したが、今週はリスクが一服しドルの「高金利+安全通貨」二本柱に資金が集中。USD指数+1.50 vs CAD指数+0.19と、ドルが圧倒的な差をつけている。

ドルは7ペアすべてでプラスという「全方位型の強さ」を示しており、単一要因(原油)に依存した前週のCADとは質が異なる。

オセアニア格差の拡大 ── AUD急浮上 vs NZD最弱

地理的・経済的に近いAUDとNZDが、今週は真逆の方向に動いた。AUDは雇用好調で2位に浮上する一方、NZDはRBNZ利下げの余波で最弱に。AUD/NZDが+1.44%と、両通貨の乖離が鮮明に表れている。

背景にはRBA(慎重)とRBNZ(積極緩和)という金融政策スタンスの明確な違いがある。

安全通貨の序列変化 ── USD独走、CHF急落

前週はリスクオフ環境で安全通貨(USD・CHF・JPY)が総じて買われていたが、今週はリスクの一服でCHFから資金が流出。USD/CHF+2.05%が象徴するように、安全通貨需要はドルに一極集中。

JPYは+0.08でほぼ中立、CHFは-0.78で大きく沈み、安全通貨間の「勝ち組(USD)と負け組(CHF)」が明確に分かれた。

免責事項:本記事は個人による情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引には高いリスクが伴い、投資元本を上回る損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
データソース:為替データはyfinanceより取得(2026年3月6日〜13日の終値ベース)。強弱指数は各通貨の対7通貨ペアの変化率平均により算出。