中東地政学リスクの激化でWTI原油が90ドルの大台を突破した一週間。安全資産の金は5,100〜5,200ドル台へ上昇。ドル買いが優勢となりEUR/USDは1.16台・GBP/USDは1.33台へ下落。VIXは22〜24台に急上昇し、日経平均は週間で5%超下落する波乱の展開でした。
2月末に59,000円台に乗せた日経平均は、今週は地政学リスクと円安一服の影響で5%超の大幅下落。55,000〜56,000円台まで調整しており、週間での下落率はTopixとともに大きなものとなりました。ただし中長期の上昇トレンドは崩れておらず、55,000円台が重要なサポートラインとして意識されます。
1月の高値51,000ドル近辺から大きく調整し、47,000〜47,500ドル台で推移。地政学リスクに加え、2月雇用統計の下振れと原油高によるインフレ再燃懸念も重なり、上値が重い展開です。チャート上は下降トレンドへの転換を示唆しており、買い場というよりは様子見の局面。
2月の雇用統計下振れを受けた債券買いで利回りは一時低下したものの、原油高によるインフレ再燃懸念(スタグフレーション警戒)が浮上し、週末には4.10〜4.20%付近まで跳ね返されました。景気減速と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」が市場のキーワードになりつつあり、利回りが素直に低下しにくい局面です。
VIX指数(市場参加者がどれくらい不安を感じているかを示す指数)は週前半に22〜24台まで急上昇。20以上で「不安定」、25以上で「高警戒」とされる中、今週はピーク時に24台に迫る場面もありました。週足では急上昇を示しており、中東情勢の緊迫化でオプション市場のボラティリティが跳ね上がっています。
ビットコインは1,100〜1,200万円台まで下落。12月の1,500万円近辺からの下降トレンドが止まりません。リスクオフ環境で「デジタルゴールド」としての機能は発揮できず、株式などと同じリスク資産として売られている状況です。
イーサリアムは30〜32万円台まで急落。BTCよりも下落幅が大きく、50万円超からほぼ4割下落しました。アルトコイン全般にリスク回避の売りが広がっており、反発のきっかけが見えにくい状態です。
中東地政学リスクの激化で原油価格が急騰。週間で12%超上昇し90ドルの大台を突破、2022年8月以来の高値を付けました。供給途絶リスクが一気に意識され、テクニカルよりもヘッドライン(ニュース速報)に左右される相場で値動きが非常に荒い展開が続いています。
安全資産の代表格として資金が集まり、5,100〜5,200ドル台で推移しています。先週から上昇基調を維持しており、中央銀行の金購入、地政学リスク、インフレヘッジの需要という3つの追い風が継続。チャートは右肩上がりの上昇トレンドを維持しています。
金に連動して銀も上昇し、82〜85ドル台で推移しています。1月末の116ドル近辺をピークに一時68ドル台まで急落した後の反発局面で、今週は地政学リスクと工業用需要の回復が下支えとなっています。金ほどのパフォーマンスはないものの、変動幅(ボラティリティ)は金より大きく、急落リスクには引き続き要注意。
貴金属全般の上昇に乗り、2,100〜2,200ドル台で推移。1月末の2,800ドル近辺をピークに調整が入った後の水準で、金・銀に比べて戻りは緩やかです。自動車触媒需要に加え、投機マネーの流入も断続的に見られますが、金・銀に比べて流動性が低く、値動きの荒さは相変わらず。方向感は上向きながら、日中の振れ幅に注意が必要です。
上海総合は4,000ポイント近辺で小動き。中国政府の景気刺激策への期待と外部リスクが拮抗し、大きく動きにくい状態が続いています。インドSENSEXは86,000の高値から80,000〜81,000付近まで調整中。新興国全般にリスクオフの逆風が吹いており、外国資金の流出が重石です。
チャートをざっくり3グループに分けると——
🟢 上昇・強い:金(5,100〜5,200ドル台)、WTI原油(90ドル超)、銀(82〜85ドル台)、白金、USD(ドルインデックス)
🔴 下落・弱い:AUD/USD(0.63〜0.64台)、EUR/USD(1.16台)、GBP/USD(1.33台)、AUD/JPY(101円台)、BTC・ETH、NYダウ、日経平均(週間5%超下落)
🟡 方向感を探っている:USD/JPY(157台維持)、EUR/JPY・GBP/JPY(USD/JPY上昇とドル高が相殺で横ばい)、CHF/JPY(201円台)、上海総合
ひと言でまとめると、「中東リスクでドルと金が台頭、資源国通貨と株式が急落」という週でした。EUR/USDやGBP/USDは従来の「リスクオフ=円高」ではなく「リスクオフ=ドル高」の展開が鮮明になっています。来週は中東情勢のヘッドラインと米CPI・FRB要人発言が最大の焦点。VIXが22〜24台の警戒ゾーンにある限り、相場は上にも下にも大きく振れやすい状態が続きます。
先週の三角持ち合い上抜けに続き、今週も157〜158円台のレンジで推移しました。リスクオフ環境でJPYにも安全通貨としての買いが入りましたが、ドル高の勢いがそれを上回り、結果として157円台を維持する形となっています。25日線(156.5円付近)と50日線(156.0円付近)が直下のサポートとして機能しており、200日線(約151円)は引き続き右肩上がりで中長期トレンドは崩れていません。
USD/JPYが157円台を維持したため、ドル高=円安のバランスが崩れず、クロス円は通貨によって明暗が分かれました。EUR/JPYは183円台を維持しており、EUR/USDの下落とUSD/JPYの上昇がほぼ相殺される形で方向感に乏しい展開。GBP/JPYもGBP/USDが1.33台まで下落したものの、USD/JPY上昇で打ち消され210円近辺を維持。CHF/JPYは安全通貨需要でCHFが買われ201円台前後で推移しています。一方、リスクオフの直撃を受けたAUD/JPYはAUD/USDが0.63〜0.64台まで急落したことで、25日線(109円台)を大幅に下回る約101円台へ下落。100円の大台が意識される水準です。
中東地政学リスクによるドル高圧力を受け、EUR/USDは1.16台で推移しています。1月の1.14台からの上昇トレンド自体は崩れておらず、移動平均線は下から順に200日(約1.167)→100日(約1.170)→50日(約1.177)→25日(約1.179)と並ぶ強い構造を維持していますが、価格が各MAを下回る形で短期的に押し戻されている局面です。
ドル高の影響を受け、先週の1.36台から1.33台まで下落。25日線(約1.355)・50日線(約1.353)を下回り、直近の上昇分を一部吐き出す形となりました。100日線(約1.340)と200日線(約1.345)付近での攻防が続いており、このゾーンを維持できるかが短期的な焦点です。EUR/USDと同方向の動きですが、GBP/USDのほうが相対的に下落幅は大きめです。
リスクオフの直撃を受け、資源国通貨は急落。AUD/USDは0.63〜0.64台まで下落し、200日線(約0.663)を大きく割り込む展開となりました。25日線(約0.685)との乖離が大きく、短期的な「売られ過ぎ」感はあるものの、リスクオフ環境が続く限り戻りは鈍そうです。NZD/USDは0.58〜0.59台で推移しており、AUDほどの急落ではないものの方向性は同じく弱含み。
安全通貨スイスフランに資金が集中。EUR/CHFは0.91台まで下落し、移動平均線は上から200日→100日→50日→25日と完全な下降配列(デッドオーダー)。USD/CHFはEUR/USD(1.16台)とEUR/CHF(0.91台)の関係からおよそ0.78台で推移しており、CHFの強さが際立っています。一方、USD/CADは原油高にもかかわらずカナダドルが弱含み、1.42〜1.44台に上昇。地政学リスク時のCADの脆弱さが改めて確認された形です。
EUR/GBPは0.87台前後で動意薄。全移動平均線が1ポイント圏内に収束しており、ユーロとポンドの力関係はほぼ互角。CAD/JPYは112円台に下落し、25日線(113.9円)・50日線(113.8円)を割り込みました。原油高がCADの支えにならず、円の強さが勝っています。EUR/AUDはAUDの急落を映して1.78〜1.80台に急伸し、全移動平均線を大きく上抜け。