2026年7月3日〜7月10日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──スイスフランが3位から最弱へ-5ランク暴落、NZドルは首位を2週連続堅持

リスクオンが全開となった今週、これまで「上位の安定銘柄」だったスイスフラン(CHF)が3位から最弱8位(-0.9148)へ-5ランクの暴落を演じました。X/CHFが変化率上位をほぼ独占し、CHFが全7通貨に対して下落する「完璧な全方位型CHF安」です。安全通貨が売られる一方、高ベータのニュージーランドドル(NZD)は首位(+0.9368)を2週連続で堅持。X/NZD全7ペアが下落する「完璧な全方位型NZD高」で、当サイトの記録上でも珍しい〈最強・最弱がともに完璧な全方位型〉という構図となりました。前週最弱だったカナダドル(CAD)は原油反発を追い風に3位へ+5ランクの急回復、米ドル(USD)も7位から5位へ持ち直し、北米通貨がそろって反発しています。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇳🇿 NZD +0.9368 1位
2 🇬🇧 GBP +0.3291 2位
3 🇨🇦 CAD +0.2505 8位
4 🇦🇺 AUD +0.1590 4位
5 🇺🇸 USD -0.0976 7位
6 🇪🇺 EUR -0.3211 5位
7 🇯🇵 JPY -0.3420 6位
8 🇨🇭 CHF -0.9148 3位
順位ペア変化率方向
1GBP/CHF+1.112%GBP2位 / CHF最弱
2CAD/CHF+1.037%CAD反発 / CHF最弱
3AUD/CHF+1.004%AUD堅調 / CHF最弱
4USD/CHF+0.698%USD反発 / CHF最弱
5GBP/JPY+0.574%GBP強 / JPY下位
順位ペア変化率方向
最下位CHF/NZD-1.551%CHF最弱 / NZD首位
-2JPY/NZD-1.207%JPY下位 / NZD首位
-3EUR/NZD-1.071%EUR下位 / NZD首位
「CHF全面安・NZD全面高」の二重の全方位型:変化率TOP5のうち4ペアが分母CHF(GBP/CHF +1.112%、CAD/CHF +1.037%、AUD/CHF +1.004%、USD/CHF +0.698%)で、スイスフランが各通貨に対して全面安。さらにJPY/CHF・EUR/CHFを含めるとX/CHF全6ペアが上昇し、CHF/NZD(-1.551%)でNZドルにも敗北したため、CHFは全7通貨に対して下落する「完璧な全方位型CHF安」です。反対にBOTTOM3はすべて分母NZD(CHF/NZD、JPY/NZD、EUR/NZD)で、X/NZD全7ペアが下落する「完璧な全方位型NZD高」。最強NZDと最弱CHFが双方とも完璧な全方位型となり、両者が正面衝突したCHF/NZD -1.551%が今週最大の下落率でした。

① リスクオン全開で安全通貨スイスフランが最弱へ暴落──「安定」と見た矢先の崩壊

今週最大のテーマは、スイスフラン(CHF)の全面安です。VIXが週間-6.9%で15台まで低下するリスクオン全開の地合いのなか、安全通貨CHFの需要が一気に剥落。前週まで2週連続で3位につけ、当レポートでも「上位の安定銘柄」と評していたCHFが、今週は最弱8位(-0.9148)へ-5ランクの暴落を演じました。GBP/CHF(+1.112%)、CAD/CHF(+1.037%)、AUD/CHF(+1.004%)とX/CHFが軒並み上昇し、CHFは全7通貨に対して下落する「完璧な全方位型CHF安」となっています。

当サイトでは「2週連続上位=安定は幻想」というテーマを繰り返し確認してきました。今週のCHFはまさにその典型で、「安定銘柄」と見なした矢先に最弱へ転落。リスクオン局面での安全通貨売りは、ポジションの巻き戻しを伴うと一気に進むため、CHFの下値には引き続き注意が必要です。SNB(スイス国立銀行)のフラン高けん制姿勢も、下方向の圧力として意識されます。

② NZドルが首位を2週連続堅持──完璧な全方位型NZD高で「首位翌週後退」を打破

前週首位のNZドルが、今週も首位(+0.9368)を堅持しました。CHF/NZD(-1.551%)、JPY/NZD(-1.207%)、EUR/NZD(-1.071%)を筆頭にX/NZD全7ペアが下落し、NZドルが全通貨に対して上昇する「完璧な全方位型NZD高」です。指数も前週の+0.8111から+0.9368へ拡大し、内容を伴った首位維持となりました。当サイトで長く続いた「新しく首位となった通貨は翌週に順位を落とす」というジンクスを、前週のNZドルがそのまま2週連続首位で打破した形です。

NZドルの推移は「8→8→1→1」(fx-25以降)と、2週連続最弱のあと2週連続首位へ。6月に見られた一週おきの「首位↔最弱」交互往復から、今週は"上位への定着"という新しい局面に入りつつあります。ただし高ベータ通貨ゆえリスク選好の反転には敏感で、「2週連続上位=安定」を過信するのは禁物です。

③ 北米通貨が急反発──カナダドルが最弱から3位へ、原油の戻りが追い風

前週最弱だったカナダドル(CAD)が、今週は3位(+0.2505)へ+5ランクの急回復。WTI原油が70ドル台を回復する戻りが、産油国通貨カナダドルの追い風となりました。CAD/CHF(+1.037%)でスイスフランに大勝し、AUD/CAD(-0.106%)・USD/CAD(-0.304%)と対資源国・対ドルでも底堅さを見せています。前週7位だった米ドル(USD)も5位(-0.0976)へ+2ランク持ち直し、北米通貨がそろって下位から反発しました。前週の「北米総崩れ」から一転、今週は「北米復調・欧州のCHF崩落」へと主役が入れ替わっています。

カナダドルの「最弱→3位」は、6月に繰り返された「原油に振り回される体質」の裏返しでもあります。原油高がそのまま追い風になった一方、原油が再び軟化すればCADも失速しかねません。米ドルは指数-0.0976とほぼゼロ近傍での5位で、明確な強さというより「他通貨の綱引きのなかで中位に落ち着いた」状態です。

🇳🇿 NZD(ニュージーランドドル)── 1位 / +0.9368

前週1位 → 今週1位(±0)

首位(+0.9368)を2週連続で堅持し、指数も前週の+0.8111からさらに拡大。CHF/NZD(-1.551%、今週全28ペア中最大の下落率)、JPY/NZD(-1.207%)、EUR/NZD(-1.071%)、USD/NZD(-0.931%)などX/NZD全7ペアが下落し、NZドルが全通貨に対して上昇する「完璧な全方位型NZD高」となりました。リスクオン全開の地合いで、高ベータのオセアニア通貨に資金が向かった形です。突出した±2級の激しさこそないものの、+0.9368は6月終盤以降で最も落ち着いた"質の高い首位"と言えます。

NZドルの過去推移は「1→8→1→8→8→1→1」(fx-22以降)。2週連続最弱から2週連続首位へと、極端な振り子から"上位定着"へ移りつつあります。ただし当サイトで何度も確認してきたとおり、規則性は続いた後に必ず崩れるもの。首位3週連続を期待しすぎず、リスク選好の反転には警戒が必要です。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 2位 / +0.3291

前週2位 → 今週2位(±0)

2位(+0.3291)を維持し、直近3週は「1→2→2」と上位を安定してキープしています。GBP/CHF(+1.112%、今週最大の上昇率)でスイスフランに圧勝し、GBP/JPY(+0.574%)でも円に優位。指数は前週の+0.6496から+0.3291へやや縮小したものの、順位は不変で、ポンドの底堅さが続いています。BOE(イングランド銀行)のタカ派観測が、引き続きポンドの下値を支える構図です。

GBPの過去推移は「1→5→3→2→7→2→2」と往復が激しかったものの、直近2週は2位で安定。NZドルの全方位高に首位こそ譲っていますが、対CHF・対円で明確に買われており、上位グループの常連としての存在感を保っています。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 3位 / +0.2505

前週8位 → 今週3位(+5)

前週最弱から3位(+0.2505)へ+5ランクの急回復。指数も-0.7059からプラス圏の+0.2505へと大きく改善しました。WTI原油が70ドル台を回復する戻りが、産油国通貨カナダドルの追い風に。CAD/CHF(+1.037%、今週2位の上昇率)でスイスフランに大勝したほか、USD/CAD(-0.304%)でドルにも優位を確保しました。前週「全面安に近い状態」だったカナダドルが、原油の反発一つでここまで戻す点に、資源国通貨らしい振れの大きさが表れています。

CADの過去推移は「8→6→4→8→5→8→3」と、原油次第で上下に大きく振れる展開が続いています。今週の+5ランク回復は原油高が主因であり、原油が再び軟化すれば失速のリスクも。カナダドルは引き続き「原油の従属変数」として、WTIの動向とセットで見ておく必要があります。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 4位 / +0.1590

前週4位 → 今週4位(±0)

4位(+0.1590)を維持し、プラス圏で安定しました。AUD/CHF(+1.004%、今週3位の上昇率)でスイスフランに大勝する一方、AUD/NZD(-0.578%)ではNZドルに敗北。オセアニア通貨のなかではNZドルに一歩譲る位置づけが続いています。指数は前週の+0.0764から+0.1590へ小幅改善し、リスクオンの地合いで高ベータ通貨がそろって買われた恩恵を受けました。

AUDの過去推移は「7→6→2→7→4→4」と往復が続くなか、直近2週は4位で安定。NZドルと連動しつつも、その勢いには一歩届かない「オセアニアの二番手」という立ち位置が定着しつつあります。NZドルが崩れればAUDも連れ安となりやすい点は引き続き留意が必要です。

🇺🇸 USD(米ドル)── 5位 / -0.0976

前週7位 → 今週5位(+2)

前週7位から5位(-0.0976)へ+2ランク持ち直し。USD/CHF(+0.698%)でスイスフランに大勝したほか、USD/JPY(+0.208%)で円に、USD/CAD(-0.304%)ではカナダドルにわずかに劣後と、まちまちの結果でした。指数-0.0976はほぼゼロ近傍で、「強い」というより「中位に落ち着いた」状態。前週の下位からは脱したものの、方向感を伴った上昇ではなく、リスクオンの綱引きのなかで相対的に持ち上がった側面が強い動きです。

USDの過去推移は「7→1→5→1→1→7→5」と、首位と下位を極端に往復。今週の5位は"つかみどころのない中位"で、明確なドルトレンドは見えません。来週の米経済指標とFRB高官発言次第で、再び上下どちらにも振れうる不安定さが続いています。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 6位 / -0.3211

前週5位 → 今週6位(-1)

前週5位から6位(-0.3211)へ1ランク後退し、マイナス圏の下位にとどまりました。EUR/CHF(+0.479%)でスイスフランには勝ったものの、EUR/NZD(-1.071%)、EUR/GBP(-0.587%)、EUR/CAD(-0.513%)と上位通貨には軒並み劣後。指数も前週の-0.1429から-0.3211へ悪化し、欧州通貨のなかでもGBPとの差が一段と開きました。ECBの利下げ観測が引き続きユーロの重しとなっています。

EURの過去推移は「5→3→4→2→5→6」と中位を往復。今週は「対CHFでは勝ち、対GBP・対オセアニアでは負け」という典型的な中位の負けパターンで、欧州通貨内ではGBPに次ぐ二番手にも届かない展開でした。構造的な弱さ(ECB緩和観測)が続くかぎり、上位定着は見込みにくい状況です。

🇯🇵 JPY(円)── 7位 / -0.3420

前週6位 → 今週7位(-1)

前週6位から7位(-0.3420)へ1ランク後退。GBP/JPY(+0.574%)、USD/JPY(+0.208%)、EUR/JPY(+0.024%)と上位・中位の通貨に軒並み劣後する一方、JPY/CHF(+0.523%)ではスイスフランに勝ち、JPY/NZD(-1.207%)ではNZドルに大敗しました。リスクオン全開の地合いでは、円もCHFと同様に安全通貨として売られやすく、下位に沈みました。ただしCHFほどの全面安ではなく、最弱スイスフランよりは上位を保っています。

JPYの過去推移は「8→2→4→3→6→7」と、5月以降は中位下位での推移が続いています。今週は「安全通貨売り」の流れでCHFとともに下位に沈みましたが、CHFのような暴落は免れました。USD/JPYは引き続き高値圏での推移で、対欧州・対オセアニアでは円安基調が続いています。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 8位 / -0.9148

前週3位 → 今週8位(-5)

前週3位から最弱8位(-0.9148)へ-5ランクの暴落。GBP/CHF(+1.112%)、CAD/CHF(+1.037%)、AUD/CHF(+1.004%)、USD/CHF(+0.698%)、JPY/CHF(+0.523%)、EUR/CHF(+0.479%)とX/CHF全6ペアが上昇し、さらにCHF/NZD(-1.551%)でNZドルにも敗北。CHFは全7通貨に対して下落する「完璧な全方位型CHF安」となりました。VIXが15台まで低下するリスクオン全開の地合いで、安全通貨の需要が一気に剥落したことが直撃した形です。

CHFの過去推移は「2→3→6→7→6→3→8」。前週まで「上位の安定銘柄」と評していた矢先の最弱転落で、「2週連続上位=安定は幻想」というテーマがまたも証明されました。リスクオン局面での安全通貨売りは巻き戻しを伴い一方向に進みやすく、SNBのフラン高けん制姿勢も重なります。ただし相場がリスクオフへ反転すれば、CHFは真っ先に買い戻される通貨でもある点は忘れてはいけません。

オセアニアグループ(NZD・AUD)── そろって上位、NZドルが完璧な全方位高

グループ平均 +0.55

NZD(1位+0.9368)とAUD(4位+0.1590)がそろって上位につけ、リスクオンの恩恵を最も受けたグループとなりました。NZドルはX/NZD全7ペア下落の完璧な全方位型NZD高で首位を2週連続堅持。AUDもAUD/CHF(+1.004%)でスイスフランに大勝し、プラス圏で安定しました。前週から一貫して、高ベータのオセアニア通貨が「リスクオンの受け皿」となっています。

オセアニア通貨は前週の「総崩れ」(6月第4週)から2週連続で上位を回復し、今週は"安定した上位グループ"を形成。ただし高ベータ通貨はリスクセンチメントに極めて敏感で、VIXが再上昇すれば真っ先に売られる側でもあります。今の強さはあくまで「リスクオンの裏返し」である点を意識しておきたいところです。

欧州グループ(GBP・CHF・EUR)── GBPは上位維持、CHFが最弱へ暴落し真っ二つに分裂

グループ平均 -0.30

欧州通貨は今週、GBP(2位+0.3291)とCHF(8位-0.9148)で最上位と最下位に分裂しました。前週まで「GBP・CHFの2強」だった構図が、今週はCHFの全面安で完全に崩壊。EUR(6位-0.3211)も下位に沈み、欧州通貨で上位を保ったのはGBPのみとなりました。安全通貨CHFの暴落が、グループ平均を大きく押し下げています。

欧州通貨内の分化がさらに極端になりました。BOEのタカ派観測に支えられるGBPが唯一の上位で、ECB緩和観測のEURは中位下位、そして安全通貨需要の剥落で最弱に沈んだCHF。「欧州通貨」と一括りにできない、三者三様の展開です。とりわけCHFはリスクセンチメント次第で来週にも急反発しうる、振れの大きい通貨となっています。

北米・日本グループ(CAD・USD・JPY)── 北米が急反発、円だけ下位に取り残される

グループ平均 -0.06

前週「総崩れ」だった北米通貨が、今週はそろって反発しました。CAD(3位+0.2505)が原油高を追い風に最弱から3位へ+5ランク急回復し、USD(5位-0.0976)も7位から中位へ持ち直し。一方でJPY(7位-0.3420)は安全通貨売りの流れで下位に取り残され、北米2通貨と円で明暗が分かれました。前週の「北米売り」が、今週は「北米買い戻し」へと反転しています。

北米通貨の反発は、原油高(CAD)とリスクオンの綱引き(USD)が背景。前週最弱・7位だった両通貨が一週で上位・中位へ戻す振れの大きさは、相場の主役が週ごとに目まぐるしく入れ替わっていることを示しています。円は「安全通貨売り」でCHFと同じ下位グループに沈みましたが、暴落は免れました。
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