2026年7月31日〜8月7日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──記録更新の翌週に円が首位から最弱へ-7ランク、豪ドルが+6ランクで首位

前週に+2.9756という当サイト記録上の過去最高を叩き出した円(JPY)が、今週は-0.3861の最弱8位へ-7ランク転落しました。7ペアすべてで敗れる「完璧な全方位型JPY安」で、前週の「完璧な全方位型JPY高」からわずか1週間での鏡写しの反転です。前号で「記録更新週の翌週は要警戒」と記した通りの結果となり、前週の首位が翌週に最弱へ落ちるのは米ドルに続き2週連続。代わって首位に立ったのは前週7位の豪ドル(AUD・+0.5490)で+6ランクの急上昇、2位には前週6位のカナダドル(CAD・+0.4132)が入りました。もうひとつの特徴は指数の急収縮で、最大+0.5490/最小-0.3861とレンジは0.935ポイント。前週の4.45ポイントから5分の1へ縮んでいます。そして28通貨ペアの勝敗は強弱順位どおりに一つの番狂わせもなく並びました(勝ち数が7勝→0勝まで綺麗に1つずつ減少)。8月3日には片山財務相が7月31日の日米協調介入を公表しましたが、ドル円は155.211円まで下げたあと158.572円へ切り返し、週間ではほぼ変わらずで着地しています。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇦🇺 AUD +0.5490 7位
2 🇨🇦 CAD +0.4132 6位
3 🇪🇺 EUR +0.0923 3位
4 🇳🇿 NZD -0.0609 2位
5 🇬🇧 GBP -0.1097 5位
6 🇺🇸 USD -0.2083 8位
7 🇨🇭 CHF -0.2894 4位
8 🇯🇵 JPY -0.3861 1位
順位ペア変化率方向
1AUD/CHF+0.786%AUD首位 / CHF7位
2CAD/CHF+0.624%CAD2位 / CHF7位
3CAD/NZD+0.496%CAD2位 / NZD4位
4EUR/JPY+0.448%EUR3位 / JPY最弱
5AUD/NZD+0.448%AUD首位 / NZD4位
順位ペア変化率方向
最下位JPY/AUD-0.950%JPY最弱 / AUD首位
-2JPY/CAD-0.686%JPY最弱 / CAD2位
-3USD/AUD-0.646%USD6位 / AUD首位
今週最大の変化率でも1%に届かない──前週から一気に沈静化:最大の上昇はAUD/CHFの+0.786%、最大の下落はJPY/AUDの-0.950%で、28ペアすべてが変化率±1%以内に収まりました。前週はUSD/JPYが-3.818%、JPY/AUDが+3.583%と3%超の値動きが並んでいたことを思えば、様変わりです。ただし変化率が小さいこと自体は「穏やかな週」を意味しません。今週はドル円が155.211円から158.572円まで3円以上を往復したうえで、週間ではほぼ変わらずに戻ってきた「往って来い」の週でした。週足の終値だけを見ると静かで、中身は荒いという典型例です。
28ペアに番狂わせがゼロ──勝ち数が順位と完全一致:各通貨の対7通貨の勝敗を数えると、AUD 7勝0敗/CAD 6勝1敗/EUR 5勝2敗/NZD 4勝3敗/GBP 3勝4敗/USD 2勝5敗/CHF 1勝6敗/JPY 0勝7敗と、勝ち数が7から0まで1つずつきれいに減っていきます。つまり上位通貨は下位通貨すべてに勝ち、下位通貨は上位通貨すべてに負けたという、28ペアに一つの番狂わせもない完全な序列でした。首位AUDは7ペア全勝の「完璧な全方位型AUD高」、最弱JPYは7ペア全敗の「完璧な全方位型JPY安」です。fx-strength-30では「全7ペアに勝ったAUDが首位に0.0034ポイント届かず2位」という逆の現象が起きていましたが、今週は勝ち数と勝ち幅が完全に一致しました。

① 記録更新の翌週に首位から最弱へ──前号の警告どおりの円の転落

前週+2.9756で当サイト記録上の過去最高を記録した円は、今週-0.3861の最弱8位へ-7ランク転落しました。指数の下落幅は3.36ポイントで、NZDの4.24ポイント(5月29日→6月5日)に次ぐ史上2番目の振れ幅です。前号の「来週の注目材料」で「記録更新週の翌週は要警戒──+2.0274で記録を更新したNZDは翌週-2.2104で最弱へ暴落した」と明記しましたが、円もまったく同じ経路をたどりました。しかも前週は7ペア全勝の完璧な全方位型JPY高、今週は7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安と、強弱の構図がそのまま鏡写しに反転しています。これはfx-strength-22(NZD全面高)→fx-strength-23(NZD全面安)とまったく同じパターンです。

前週首位だった通貨が翌週に最弱へ落ちるのは、米ドル(前週)に続き2週連続です。当サイトでは「首位通貨は翌週に順位を落とす」という傾向を長く追ってきましたが、ここ2週はその最も極端な形(-7ランク)が連続で出ています。首位という位置は、この相場では最も反動リスクが高いポジションだとあらためて確認しておきたいところです。

② 8月3日に日米協調介入を公表──それでも円は買われ続けなかった

8月3日(月)、片山財務相は「米東部時間7月31日、米国財務省と協調して円買い介入を実施した」との談話を発表し、「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処した」と説明しました。あわせて「さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と述べ、日米で共同声明を出す方向で調整に入ったと報じられています。日米の協調介入は東日本大震災直後の2011年以来15年ぶり、円買い方向に限れば1998年のアジア通貨危機以来28年ぶりという極めて異例の対応です。この警戒感でドル円は東京時間に一時155.2円台(5月6日以来の安値)まで急落しました。

ところが円高はそこで止まりました。4月以降の介入時の安値155.03円は割り込めず、その後は156円台半ばでもみ合い、週後半には158.572円まで3円以上を戻しています。週間の変化率で見るとUSD/JPYは+0.131%とほぼ変わらず。前週の介入で開いた下げが、1週間でほぼ埋まった格好です。

「さらなる協調介入も躊躇しない」という異例の表明が出ているなかで、それでも売り込めなかった(=円を買い続けられなかった)という事実は重く受け止める必要があります。介入は水準を動かす力を持ちますが、金利差やフローの構造そのものを変えたわけではありません。円の強弱指数が首位から最弱へ一気に振れたのは、その現実がわずか1週間で表面化したということでもあります。

③ 原油-8.96%とリスクオン全開──買われたのは資源国通貨だった

今週の相場を動かした最大の材料は原油です。8月4日(火)、ベッセント米財務長官が「ホルムズ海峡の開放に向けたイランとの合意が、きょうか明日にも成立する可能性がある」と述べ、イランとオマーンが海峡を迂回する新航路で原則合意に近づいているとの報道も重なりました。WTIは週初からの3営業日で約11%下落し、週間では-8.96%の77.08ドル。エネルギー価格の低下はインフレ懸念の後退につながり、独DAX・仏CAC40・NYダウ・S&P500がそろって最高値を更新、VIXは14.90(週間-6.82%)でレンジ内0.8%の100日安値まで低下しました。日経平均も週間+6.17%の大幅高です。

リスクオン全開の地合いでは、高ベータ通貨である豪ドルが最も素直に買われます。実際AUDはAUD/JPY +0.81%、AUD/USD +0.68%と3方向すべてで上昇し、AUD/USDは4本すべての移動平均線の上へ復帰しました。一方で、原油が-8.96%も下落したにもかかわらずカナダドルが2位に浮上した点は、通常の「原油=CAD」の連動では説明できません(詳細は下記④)。

④ 8月7日の雇用統計が明暗を分けた──米国はマイナス、カナダは大幅上振れ

金曜8月7日には米加の雇用統計が同時に発表され、両国通貨の明暗が分かれました。米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が-2.3万人(予想+8.0万人)と予想外の減少。失業率は4.1%(予想4.2%)と低下したものの、平均時給は前月比+0.1%・前年比+3.2%(予想+0.3%・+3.5%)と鈍化し、5月・6月分で合計10.3万人の下方修正も入りました。9月の利上げ観測は急速に後退し、米2年債利回りは4.23%→4.15%、10年債利回りは週間で4.74%→4.66%へ低下。ドル円は158.39円から156.68円まで下落し、ユーロドルは1.1526→1.1581ドル、ポンドドルは1.3444→1.3508ドルと全面的なドル売りとなりました。

対するカナダの7月雇用者数は+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅な上振れ、失業率も6.4%(予想6.5%)と改善しました。原油安という逆風のなかでカナダドルが買われ、USD/CADは-0.545%と今週のドル絡みで最大の下落となっています。

前号までに「原油=CAD」の連動が弱まっていると繰り返し指摘してきましたが、今週はその最も分かりやすい実例になりました。原油-8.96%でCADが2位、逆に前週は原油+8.27%でCADが3位止まり──ここ数週のカナダドルは、原油よりも米ドルの方向と自国指標で動いています

⑤ オセアニアが2週で立場を入れ替えた──NZ失業率5.6%が効いた

前週はNZDが2位・AUDが7位という分裂でしたが、今週はAUDが首位・NZDが4位とわずか2週間で立場が完全に入れ替わりました。分かれ目は雇用統計です。8月5日(水)発表のNZ4-6月期失業率は5.6%で、市場予想の5.4%および前期の5.4%(改定値)を上回り、2015年終盤以来およそ10年ぶりの高水準となりました。求職者数の急増が雇用の伸びを上回ったもので、労働市場の緩みはRBNZの利上げ余地を狭める材料です。前週まで「NZ CPI上振れで利上げ観測維持」がNZD高の根拠でしたが、その前提が崩れた形になります。

一方の豪ドルは、7月29日発表の4-6月期CPI(トリム平均・前年比3.6%、予想3.7%)が小幅に下振れて前週の急落を招いていたものの、今週は8月11日(火)のRBA金融政策決定会合を控えて利上げ観測が残存していることと、リスクオンの地合いが追い風となりました。AUD/NZDは+0.448%です。

オセアニア2通貨は「まとめて動く」と見られがちですが、今週の指数差は0.61ポイント。6月末には二重の全方位安でまとめて崩れ、7月以降は毎週のように立場を入れ替えています。一括りにせず、CPI・雇用統計といった各国固有の指標で分けて見る必要があります。

📅 来週の注目材料(8月10日〜14日)

来週最大の注目は8月12日(水)の米7月消費者物価指数(CPI)です。今週の雇用統計が予想外のマイナスとなり9月利上げ観測が後退したなかで、サービス価格の粘り強さが確認されれば観測は息を吹き返し、原油安を反映して鈍化すればドル売りが続きやすい構図です。前後には8月11日(火)〜13日(木)の米国債入札(3年・10年・30年物)8月13日(木)の米7月PPI8月14日(金)の米7月小売売上高が並びます。豪ドルサイドでは8月11日(火)のRBA金融政策決定会合が最大の材料で、市場では据え置きがほぼ確実視されており、焦点は声明と見通しから読み取れる今後の利上げ姿勢です。同日には豪7月NAB企業景況感指数も発表されます。

経験則として、当サイトでは「完璧な全方位型で勝った通貨は翌週に崩れやすい」ことを繰り返し確認してきました。fx-strength-28のNZD、fx-strength-30のUSDとAUD、そして前週のJPY──いずれも全方位型の翌週に大きく順位を落としています。今週7ペア全勝で首位に立った豪ドルにも、同じリスクが当てはまります。加えてVIXはレンジ内0.8%の100日安値で、この4週間で3度目の「極端な楽観」。CPIというイベントを前に、想定外の数字が出たときの振れ幅は大きくなりやすい地合いです。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 1位 / +0.5490

前週7位 → 今週1位(+6)

前週7位から首位へ+6ランクの急上昇。AUD/CHF(+0.786%、今週最大の上昇率)、AUD/NZD(+0.448%)、AUD/CAD(+0.146%)で勝ち、EUR/AUD(-0.374%)、GBP/AUD(-0.493%)、USD/AUD(-0.646%)、JPY/AUD(-0.950%、今週最大の下落率)でも相手を退けており、7ペアすべてで勝利する完璧な全方位型AUD高です。原動力は明確で、ホルムズ海峡をめぐる合意観測による原油急落→インフレ懸念後退→世界的な株高という連鎖です。VIXは14.90と100日安値まで低下し、高ベータ通貨である豪ドルにとって理想的な地合いとなりました。8月3日の協調介入警戒でAUD/JPYは109.24円前後(約4カ月ぶり安値)まで急落しましたが、そこから8月7日には111.49円前後まで切り返しています。8月11日(火)のRBA会合を控え、利上げ観測が残っている点も下支えです。

AUDの過去7週推移は「7→4→4→3→2→7→1」。前週は「完璧な全方位型AUD高の翌週に-5ランク転落」という反動の実例そのものでしたが、今週はさらにその反動が起き首位まで戻しました。そして今週もまた完璧な全方位型です。fx-strength-30で全方位高→翌週7位という経験をしたばかりの通貨が、同じ位置に立っている点は意識しておきたいところです。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 2位 / +0.4132

前週6位 → 今週2位(+4)

前週6位から2位(+0.4132)へ+4ランク上昇。CAD/CHF(+0.624%)、CAD/NZD(+0.496%)で勝ち、EUR/CAD(-0.255%)、GBP/CAD(-0.433%)、USD/CAD(-0.545%)、JPY/CAD(-0.686%)でも優位を確保しました。敗れたのは首位AUD相手のAUD/CAD(+0.146%)のみ、6勝1敗です。最大の材料は8月7日(金)のカナダ7月雇用統計で、雇用者数が+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅に上振れ、失業率も6.4%(予想6.5%)と改善したこと。同日の米雇用統計がマイナスだったことと対照的で、USD/CADは-0.545%とドル絡みで最大の下落となりました。

CADの過去7週推移は「2→8→3→2→3→6→2」。注目すべきはWTIが週間-8.96%も下落するなかで2位に浮上した点です。前週は原油+8.27%でも3位止まりでした。「原油が上がればCAD高」という教科書的な連動は、少なくともこの2週間はまったく機能していません

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 3位 / +0.0923

前週3位 → 今週3位(±0)

3位を維持し、指数も+0.0619から+0.0923へ小幅に改善しました。EUR/JPY(+0.448%)、EUR/CHF(+0.318%)、EUR/GBP(+0.185%)、EUR/NZD(+0.081%)で勝ち、USD/EUR(-0.242%)でも米ドルに勝利。敗れたのはEUR/CAD(-0.255%)とEUR/AUD(-0.374%)の資源国通貨2ペアのみで、5勝2敗です。金曜の米雇用統計を受けてユーロドルは1.1526→1.1581ドルへ上昇し、EUR/USDは100日線(1.1567)まであと0.0009ドルという位置まで戻しています。指数+0.0923はほぼゼロ近傍であり、積極的に買われたというより、大きく崩れる材料がなかった結果の3位です。

EURの過去7週推移は「6→5→6→5→4→3→3」。8通貨のなかで最も安定した動きを続けており、5週連続で順位を維持または改善しています。振り子の激しい相場のなかで、ユーロだけは静かに順位を上げてきました。

🇳🇿 NZD(ニュージーランドドル)── 4位 / -0.0609

前週2位 → 今週4位(-2)

前週2位から4位(-0.0609)へ-2ランク後退し、指数もわずかにマイナス圏へ沈みました。GBP/NZD(-0.103%)、USD/NZD(-0.124%)、JPY/NZD(-0.158%)、CHF/NZD(-0.214%)では勝ちましたが、CAD/NZD(+0.496%)、AUD/NZD(+0.448%)、EUR/NZD(+0.081%)で敗れて4勝3敗。直接の材料は8月5日(水)のNZ4-6月期雇用統計で、失業率が5.6%(予想5.4%、前期5.4%)と約10年ぶりの高水準まで悪化したことです。求職者数の急増が雇用の伸びを上回った内容で、労働市場の緩みはRBNZの利上げ余地を狭めます。前週まで「NZ CPI上振れで利上げ観測維持」がNZD高の支えでしたが、その前提が1週間で崩れました

NZDの過去7週推移は「8→1→1→1→6→2→4」。3週連続首位から崩れたあとは、6位→2位→4位と定まらない動きが続いています。NZドル円は8月3日に91.66円前後まで下落したあと、8月7日には93.06円前後まで戻しました。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 5位 / -0.1097

前週5位 → 今週5位(±0)

5位を維持し、指数は-0.1580から-0.1097へわずかに改善しました。GBP/JPY(+0.231%)、GBP/CHF(+0.149%)で勝ち、USD/GBP(-0.066%)でも米ドルに勝利。一方でEUR/GBP(+0.185%)、GBP/NZD(-0.103%)、GBP/CAD(-0.433%)、GBP/AUD(-0.493%)で敗れ3勝4敗です。金曜の米雇用統計を受けてポンドドルは1.3444→1.3508ドルへ上昇したものの、ドル安の恩恵で押し上げられた面が大きく、対資源国通貨では明確に劣後しています。GBP/USDは4本の移動平均線が1.336〜1.340に収束しており、方向感を欠いた状態が続いています。

GBPの過去7週推移は「3→2→2→4→7→5→5」。2週連続で5位という結果は、ここ数週の激しい入れ替わりのなかでは珍しい安定です。ただし指数はマイナス圏のままで、「安定して弱い」という位置づけにとどまります。

🇺🇸 USD(米ドル)── 6位 / -0.2083

前週8位 → 今週6位(+2)

前週の最弱8位から6位(-0.2083)へ+2ランク回復しました。ただし勝てたのはUSD/JPY(+0.131%)とUSD/CHF(+0.033%)の2ペアのみで2勝5敗、指数もマイナス圏のままです。8月7日(金)の米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が-2.3万人(予想+8.0万人)と予想外の減少で、5月・6月分も合計10.3万人の下方修正。失業率は4.1%へ低下したものの、平均時給は前月比+0.1%・前年比+3.2%と予想を下回りました。9月利上げ観測は急速に後退し、米2年債利回りは4.23%→4.15%、10年債利回りは4.74%→4.66%へ低下。週前半の原油安によるインフレ懸念後退と合わせ、金利低下=ドル安という素直な構図に戻っています。

USDの過去7週推移は「1→7→5→7→1→8→6」。今週の+2ランクは「ドルが買われた」のではなく「円がさらに弱かった」結果です。実際に勝てたのは円とフランだけで、指数はマイナス圏。前週は「米金利が100日高値なのにドル全面安」というねじれた週でしたが、今週はそのねじれが解消し、金利低下とドル安が同じ方向を向きました。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 7位 / -0.2894

前週4位 → 今週7位(-3)

前週4位から7位(-0.2894)へ-3ランク下落。AUD/CHF(+0.786%)、CAD/CHF(+0.624%)、EUR/CHF(+0.318%)、GBP/CHF(+0.149%)、USD/CHF(+0.033%)とX/CHFの5ペアがすべて上昇し、CHF/NZD(-0.214%)でも敗れました。勝てたのは最弱JPY相手のJPY/CHF(-0.098%)だけの1勝6敗で、完璧な全方位型CHF安まであと一歩という内容です。EUR/CHFは週の高値0.9372で2週連続の75日高値更新となっており、局面が変わってもフラン安の流れだけは淡々と続いています。VIXが100日安値まで低下した週に、安全通貨が売られるのは自然な反応でもあります。

CHFの過去7週推移は「5→3→8→6→8→4→7」。7月以降、8→6→8→4→7と最下位圏への定着が続いています。fx-strength-28とfx-strength-30では完璧な全方位型CHF安で最弱に沈んでおり、今週も1勝6敗。スイスフランは安全通貨としての機能をこのところ果たしておらず、リスクオン局面では真っ先に売られる通貨になっています。

🇯🇵 JPY(円)── 8位 / -0.3861

前週1位 → 今週8位(-7)

前週首位(+2.9756)から最弱8位(-0.3861)へ-7ランクの転落。EUR/JPY(+0.448%)、GBP/JPY(+0.231%)、USD/JPY(+0.131%)が上昇し、JPY/CHF(-0.098%)、JPY/NZD(-0.158%)、JPY/CAD(-0.686%)、JPY/AUD(-0.950%、今週最大の下落率)が下落する7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安です。8月3日(月)に片山財務相が7月31日の日米協調介入を公表し「さらなる協調介入も躊躇しない」と表明したことで、ドル円は一時155.2円台、クロス円ではEUR/JPY 179.348円、GBP/JPY 209.541円、AUD/JPY 109.235円、CHF/JPY 192.600円、CAD/JPY 110.795円の5ペアが75日安値を更新しました。ところがそこから全ペアが切り返し、週間ではクロス円がすべてプラスで引けています(AUD/JPY +0.81%、CAD/JPY +0.69%、EUR/JPY +0.56%など)。指数の下落幅3.36ポイントは、NZDの4.24ポイントに次ぐ史上2番目です。

JPYの過去7週推移は「4→6→7→8→5→1→8」。最弱→首位→最弱を2週で往復するという、これまでで最も激しい動きです。前号で「記録更新週の翌週は要警戒」と書いた通りの結果になりました。介入によって開いた下げが1週間で埋まり、155.03円という4月以降の介入時安値も割り込めなかったことは、当局の力でも円買いを継続させるのは難しかったことを示しています。ドル円は依然として4本すべての移動平均線の下ですが、200日線(158.054円)との乖離は-0.161%まで縮まっています。

資源国グループ(AUD・CAD・NZD)── 1位・2位・4位を占める

グループ平均 +0.30

AUD(1位+0.5490)、CAD(2位+0.4132)、NZD(4位-0.0609)でグループ平均は+0.30と3グループ中で最強です。原油が週間-8.96%も下落するなかでの資源国通貨の上位独占という、直感に反する構図でした。今週の資源国通貨を動かしたのは商品市況ではなく、リスクオンの地合い(AUD)と自国の雇用統計(CAD・NZD)です。ただしグループ内は一枚岩ではなく、AUDとNZDの指数差は0.61ポイント。CAD/NZD(+0.496%)とAUD/NZD(+0.448%)が変化率3位・5位に入っており、NZDだけが取り残された形です。

前週は「北米・資源国グループが下位3席を独占」(平均-1.08)でした。それがわずか1週間で最強グループへ反転しています。グループ単位の強弱もまた、この相場では1週間で入れ替わります。

安全通貨グループ(JPY・CHF)── 最下位2席を独占

グループ平均 -0.34

JPY(8位-0.3861)とCHF(7位-0.2894)が下位2席を占め、グループ平均は-0.34と最下位グループになりました。前週はこのグループが平均+1.49で圧倒的な最強だったことを思えば、まさに180度の反転です。VIXが14.90(レンジ内0.8%)と100日安値まで低下し、NYダウ・S&P500・独DAX・仏CAC40が最高値を更新するリスクオン全開の地合いでは、安全通貨に買う理由がありません。JPY/CHF(-0.098%)はほぼ動いておらず、両通貨は「そろって売られた」という点では今週珍しく足並みがそろいました

この4週間で「極端な楽観(VIXレンジ内1%以下)」は3度目です。7月第2週にレンジ内0.3%まで下がった翌週、VIXは+24.9%急騰し日経は-6.44%の暴落となりました。同じ結末になるとは限りませんが、安全通貨が最下位2席に沈んでいる状態は、裏を返せばリスクオフに転じたときの反発余地が大きいということでもあります。

欧州グループ(EUR・GBP・CHF)── 3位・5位・7位に等間隔で並ぶ

グループ平均 -0.10

EUR(3位+0.0923)、GBP(5位-0.1097)、CHF(7位-0.2894)が奇数順位に等間隔で並び、グループ平均は-0.10とほぼ中立です。3通貨の指数差は0.38ポイントと小さく、EUR/GBP(+0.185%)、GBP/CHF(+0.149%)、EUR/CHF(+0.318%)といずれも1%未満の小動き。グループ内の序列はEUR>GBP>CHFで、前週と変わりません。今週の主役が資源国通貨と円だったため、欧州通貨は相対的に埋没した形です。

EUR/CHFが2週連続で75日高値を更新している点だけは、地味ですが継続的なテーマです。相場の局面がリスクオフからリスクオンへ切り替わっても、ユーロ高・フラン安の方向だけは変わっていません。ECBの9月利上げ観測が下支えとなる一方、スイスフランには固有の買い材料が乏しい状態が続いています。
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