前週に+2.9756という当サイト記録上の過去最高を叩き出した円(JPY)が、今週は-0.3861の最弱8位へ-7ランク転落しました。7ペアすべてで敗れる「完璧な全方位型JPY安」で、前週の「完璧な全方位型JPY高」からわずか1週間での鏡写しの反転です。前号で「記録更新週の翌週は要警戒」と記した通りの結果となり、前週の首位が翌週に最弱へ落ちるのは米ドルに続き2週連続。代わって首位に立ったのは前週7位の豪ドル(AUD・+0.5490)で+6ランクの急上昇、2位には前週6位のカナダドル(CAD・+0.4132)が入りました。もうひとつの特徴は指数の急収縮で、最大+0.5490/最小-0.3861とレンジは0.935ポイント。前週の4.45ポイントから5分の1へ縮んでいます。そして28通貨ペアの勝敗は強弱順位どおりに一つの番狂わせもなく並びました(勝ち数が7勝→0勝まで綺麗に1つずつ減少)。8月3日には片山財務相が7月31日の日米協調介入を公表しましたが、ドル円は155.211円まで下げたあと158.572円へ切り返し、週間ではほぼ変わらずで着地しています。
| 順位 | 通貨 | 強弱指数 | 前週 | 可視化 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 🇦🇺 AUD | +0.5490 | 7位 ⬆ | |
| 2 | 🇨🇦 CAD | +0.4132 | 6位 ⬆ | |
| 3 | 🇪🇺 EUR | +0.0923 | 3位 → | |
| 4 | 🇳🇿 NZD | -0.0609 | 2位 ⬇ | |
| 5 | 🇬🇧 GBP | -0.1097 | 5位 → | |
| 6 | 🇺🇸 USD | -0.2083 | 8位 ⬆ | |
| 7 | 🇨🇭 CHF | -0.2894 | 4位 ⬇ | |
| 8 | 🇯🇵 JPY | -0.3861 | 1位 ⬇ |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 1 | AUD/CHF | +0.786% | AUD首位 / CHF7位 |
| 2 | CAD/CHF | +0.624% | CAD2位 / CHF7位 |
| 3 | CAD/NZD | +0.496% | CAD2位 / NZD4位 |
| 4 | EUR/JPY | +0.448% | EUR3位 / JPY最弱 |
| 5 | AUD/NZD | +0.448% | AUD首位 / NZD4位 |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 最下位 | JPY/AUD | -0.950% | JPY最弱 / AUD首位 |
| -2 | JPY/CAD | -0.686% | JPY最弱 / CAD2位 |
| -3 | USD/AUD | -0.646% | USD6位 / AUD首位 |
前週+2.9756で当サイト記録上の過去最高を記録した円は、今週-0.3861の最弱8位へ-7ランク転落しました。指数の下落幅は3.36ポイントで、NZDの4.24ポイント(5月29日→6月5日)に次ぐ史上2番目の振れ幅です。前号の「来週の注目材料」で「記録更新週の翌週は要警戒──+2.0274で記録を更新したNZDは翌週-2.2104で最弱へ暴落した」と明記しましたが、円もまったく同じ経路をたどりました。しかも前週は7ペア全勝の完璧な全方位型JPY高、今週は7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安と、強弱の構図がそのまま鏡写しに反転しています。これはfx-strength-22(NZD全面高)→fx-strength-23(NZD全面安)とまったく同じパターンです。
8月3日(月)、片山財務相は「米東部時間7月31日、米国財務省と協調して円買い介入を実施した」との談話を発表し、「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処した」と説明しました。あわせて「さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と述べ、日米で共同声明を出す方向で調整に入ったと報じられています。日米の協調介入は東日本大震災直後の2011年以来15年ぶり、円買い方向に限れば1998年のアジア通貨危機以来28年ぶりという極めて異例の対応です。この警戒感でドル円は東京時間に一時155.2円台(5月6日以来の安値)まで急落しました。
ところが円高はそこで止まりました。4月以降の介入時の安値155.03円は割り込めず、その後は156円台半ばでもみ合い、週後半には158.572円まで3円以上を戻しています。週間の変化率で見るとUSD/JPYは+0.131%とほぼ変わらず。前週の介入で開いた下げが、1週間でほぼ埋まった格好です。
今週の相場を動かした最大の材料は原油です。8月4日(火)、ベッセント米財務長官が「ホルムズ海峡の開放に向けたイランとの合意が、きょうか明日にも成立する可能性がある」と述べ、イランとオマーンが海峡を迂回する新航路で原則合意に近づいているとの報道も重なりました。WTIは週初からの3営業日で約11%下落し、週間では-8.96%の77.08ドル。エネルギー価格の低下はインフレ懸念の後退につながり、独DAX・仏CAC40・NYダウ・S&P500がそろって最高値を更新、VIXは14.90(週間-6.82%)でレンジ内0.8%の100日安値まで低下しました。日経平均も週間+6.17%の大幅高です。
金曜8月7日には米加の雇用統計が同時に発表され、両国通貨の明暗が分かれました。米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が-2.3万人(予想+8.0万人)と予想外の減少。失業率は4.1%(予想4.2%)と低下したものの、平均時給は前月比+0.1%・前年比+3.2%(予想+0.3%・+3.5%)と鈍化し、5月・6月分で合計10.3万人の下方修正も入りました。9月の利上げ観測は急速に後退し、米2年債利回りは4.23%→4.15%、10年債利回りは週間で4.74%→4.66%へ低下。ドル円は158.39円から156.68円まで下落し、ユーロドルは1.1526→1.1581ドル、ポンドドルは1.3444→1.3508ドルと全面的なドル売りとなりました。
対するカナダの7月雇用者数は+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅な上振れ、失業率も6.4%(予想6.5%)と改善しました。原油安という逆風のなかでカナダドルが買われ、USD/CADは-0.545%と今週のドル絡みで最大の下落となっています。
前週はNZDが2位・AUDが7位という分裂でしたが、今週はAUDが首位・NZDが4位とわずか2週間で立場が完全に入れ替わりました。分かれ目は雇用統計です。8月5日(水)発表のNZ4-6月期失業率は5.6%で、市場予想の5.4%および前期の5.4%(改定値)を上回り、2015年終盤以来およそ10年ぶりの高水準となりました。求職者数の急増が雇用の伸びを上回ったもので、労働市場の緩みはRBNZの利上げ余地を狭める材料です。前週まで「NZ CPI上振れで利上げ観測維持」がNZD高の根拠でしたが、その前提が崩れた形になります。
一方の豪ドルは、7月29日発表の4-6月期CPI(トリム平均・前年比3.6%、予想3.7%)が小幅に下振れて前週の急落を招いていたものの、今週は8月11日(火)のRBA金融政策決定会合を控えて利上げ観測が残存していることと、リスクオンの地合いが追い風となりました。AUD/NZDは+0.448%です。
来週最大の注目は8月12日(水)の米7月消費者物価指数(CPI)です。今週の雇用統計が予想外のマイナスとなり9月利上げ観測が後退したなかで、サービス価格の粘り強さが確認されれば観測は息を吹き返し、原油安を反映して鈍化すればドル売りが続きやすい構図です。前後には8月11日(火)〜13日(木)の米国債入札(3年・10年・30年物)、8月13日(木)の米7月PPI、8月14日(金)の米7月小売売上高が並びます。豪ドルサイドでは8月11日(火)のRBA金融政策決定会合が最大の材料で、市場では据え置きがほぼ確実視されており、焦点は声明と見通しから読み取れる今後の利上げ姿勢です。同日には豪7月NAB企業景況感指数も発表されます。
前週7位から首位へ+6ランクの急上昇。AUD/CHF(+0.786%、今週最大の上昇率)、AUD/NZD(+0.448%)、AUD/CAD(+0.146%)で勝ち、EUR/AUD(-0.374%)、GBP/AUD(-0.493%)、USD/AUD(-0.646%)、JPY/AUD(-0.950%、今週最大の下落率)でも相手を退けており、7ペアすべてで勝利する完璧な全方位型AUD高です。原動力は明確で、ホルムズ海峡をめぐる合意観測による原油急落→インフレ懸念後退→世界的な株高という連鎖です。VIXは14.90と100日安値まで低下し、高ベータ通貨である豪ドルにとって理想的な地合いとなりました。8月3日の協調介入警戒でAUD/JPYは109.24円前後(約4カ月ぶり安値)まで急落しましたが、そこから8月7日には111.49円前後まで切り返しています。8月11日(火)のRBA会合を控え、利上げ観測が残っている点も下支えです。
前週6位から2位(+0.4132)へ+4ランク上昇。CAD/CHF(+0.624%)、CAD/NZD(+0.496%)で勝ち、EUR/CAD(-0.255%)、GBP/CAD(-0.433%)、USD/CAD(-0.545%)、JPY/CAD(-0.686%)でも優位を確保しました。敗れたのは首位AUD相手のAUD/CAD(+0.146%)のみ、6勝1敗です。最大の材料は8月7日(金)のカナダ7月雇用統計で、雇用者数が+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅に上振れ、失業率も6.4%(予想6.5%)と改善したこと。同日の米雇用統計がマイナスだったことと対照的で、USD/CADは-0.545%とドル絡みで最大の下落となりました。
3位を維持し、指数も+0.0619から+0.0923へ小幅に改善しました。EUR/JPY(+0.448%)、EUR/CHF(+0.318%)、EUR/GBP(+0.185%)、EUR/NZD(+0.081%)で勝ち、USD/EUR(-0.242%)でも米ドルに勝利。敗れたのはEUR/CAD(-0.255%)とEUR/AUD(-0.374%)の資源国通貨2ペアのみで、5勝2敗です。金曜の米雇用統計を受けてユーロドルは1.1526→1.1581ドルへ上昇し、EUR/USDは100日線(1.1567)まであと0.0009ドルという位置まで戻しています。指数+0.0923はほぼゼロ近傍であり、積極的に買われたというより、大きく崩れる材料がなかった結果の3位です。
前週2位から4位(-0.0609)へ-2ランク後退し、指数もわずかにマイナス圏へ沈みました。GBP/NZD(-0.103%)、USD/NZD(-0.124%)、JPY/NZD(-0.158%)、CHF/NZD(-0.214%)では勝ちましたが、CAD/NZD(+0.496%)、AUD/NZD(+0.448%)、EUR/NZD(+0.081%)で敗れて4勝3敗。直接の材料は8月5日(水)のNZ4-6月期雇用統計で、失業率が5.6%(予想5.4%、前期5.4%)と約10年ぶりの高水準まで悪化したことです。求職者数の急増が雇用の伸びを上回った内容で、労働市場の緩みはRBNZの利上げ余地を狭めます。前週まで「NZ CPI上振れで利上げ観測維持」がNZD高の支えでしたが、その前提が1週間で崩れました。
5位を維持し、指数は-0.1580から-0.1097へわずかに改善しました。GBP/JPY(+0.231%)、GBP/CHF(+0.149%)で勝ち、USD/GBP(-0.066%)でも米ドルに勝利。一方でEUR/GBP(+0.185%)、GBP/NZD(-0.103%)、GBP/CAD(-0.433%)、GBP/AUD(-0.493%)で敗れ3勝4敗です。金曜の米雇用統計を受けてポンドドルは1.3444→1.3508ドルへ上昇したものの、ドル安の恩恵で押し上げられた面が大きく、対資源国通貨では明確に劣後しています。GBP/USDは4本の移動平均線が1.336〜1.340に収束しており、方向感を欠いた状態が続いています。
前週の最弱8位から6位(-0.2083)へ+2ランク回復しました。ただし勝てたのはUSD/JPY(+0.131%)とUSD/CHF(+0.033%)の2ペアのみで2勝5敗、指数もマイナス圏のままです。8月7日(金)の米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が-2.3万人(予想+8.0万人)と予想外の減少で、5月・6月分も合計10.3万人の下方修正。失業率は4.1%へ低下したものの、平均時給は前月比+0.1%・前年比+3.2%と予想を下回りました。9月利上げ観測は急速に後退し、米2年債利回りは4.23%→4.15%、10年債利回りは4.74%→4.66%へ低下。週前半の原油安によるインフレ懸念後退と合わせ、金利低下=ドル安という素直な構図に戻っています。
前週4位から7位(-0.2894)へ-3ランク下落。AUD/CHF(+0.786%)、CAD/CHF(+0.624%)、EUR/CHF(+0.318%)、GBP/CHF(+0.149%)、USD/CHF(+0.033%)とX/CHFの5ペアがすべて上昇し、CHF/NZD(-0.214%)でも敗れました。勝てたのは最弱JPY相手のJPY/CHF(-0.098%)だけの1勝6敗で、完璧な全方位型CHF安まであと一歩という内容です。EUR/CHFは週の高値0.9372で2週連続の75日高値更新となっており、局面が変わってもフラン安の流れだけは淡々と続いています。VIXが100日安値まで低下した週に、安全通貨が売られるのは自然な反応でもあります。
前週首位(+2.9756)から最弱8位(-0.3861)へ-7ランクの転落。EUR/JPY(+0.448%)、GBP/JPY(+0.231%)、USD/JPY(+0.131%)が上昇し、JPY/CHF(-0.098%)、JPY/NZD(-0.158%)、JPY/CAD(-0.686%)、JPY/AUD(-0.950%、今週最大の下落率)が下落する7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安です。8月3日(月)に片山財務相が7月31日の日米協調介入を公表し「さらなる協調介入も躊躇しない」と表明したことで、ドル円は一時155.2円台、クロス円ではEUR/JPY 179.348円、GBP/JPY 209.541円、AUD/JPY 109.235円、CHF/JPY 192.600円、CAD/JPY 110.795円の5ペアが75日安値を更新しました。ところがそこから全ペアが切り返し、週間ではクロス円がすべてプラスで引けています(AUD/JPY +0.81%、CAD/JPY +0.69%、EUR/JPY +0.56%など)。指数の下落幅3.36ポイントは、NZDの4.24ポイントに次ぐ史上2番目です。
AUD(1位+0.5490)、CAD(2位+0.4132)、NZD(4位-0.0609)でグループ平均は+0.30と3グループ中で最強です。原油が週間-8.96%も下落するなかでの資源国通貨の上位独占という、直感に反する構図でした。今週の資源国通貨を動かしたのは商品市況ではなく、リスクオンの地合い(AUD)と自国の雇用統計(CAD・NZD)です。ただしグループ内は一枚岩ではなく、AUDとNZDの指数差は0.61ポイント。CAD/NZD(+0.496%)とAUD/NZD(+0.448%)が変化率3位・5位に入っており、NZDだけが取り残された形です。
JPY(8位-0.3861)とCHF(7位-0.2894)が下位2席を占め、グループ平均は-0.34と最下位グループになりました。前週はこのグループが平均+1.49で圧倒的な最強だったことを思えば、まさに180度の反転です。VIXが14.90(レンジ内0.8%)と100日安値まで低下し、NYダウ・S&P500・独DAX・仏CAC40が最高値を更新するリスクオン全開の地合いでは、安全通貨に買う理由がありません。JPY/CHF(-0.098%)はほぼ動いておらず、両通貨は「そろって売られた」という点では今週珍しく足並みがそろいました。
EUR(3位+0.0923)、GBP(5位-0.1097)、CHF(7位-0.2894)が奇数順位に等間隔で並び、グループ平均は-0.10とほぼ中立です。3通貨の指数差は0.38ポイントと小さく、EUR/GBP(+0.185%)、GBP/CHF(+0.149%)、EUR/CHF(+0.318%)といずれも1%未満の小動き。グループ内の序列はEUR>GBP>CHFで、前週と変わりません。今週の主役が資源国通貨と円だったため、欧州通貨は相対的に埋没した形です。