2026年8月7日〜8月14日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──売られているのは「低金利通貨」、円とフランだけが沈む二極化相場

今週の強弱指数は、これまでにない形で分かれました。上位6通貨がすべてプラス圏(+0.0201〜+0.6481)に密集する一方、円(-1.0142)とスイスフラン(-0.6874)の2通貨だけが大きくマイナス。6位NZDと7位CHFのあいだには0.71ポイントの断層があります。円は2週連続の最弱で、しかも2週連続で7ペアすべてに敗れる「完璧な全方位型JPY安」。注目すべきは、市場が日銀の9月利上げを約70%織り込んでいるにもかかわらず円安が進んだことです。政策金利1.00%を1.25%へ引き上げても実質金利はマイナス圏を脱しないため、「利上げする」ことと「その通貨を持つ動機が生まれる」ことが切り離されています。同じ構図はスイスフランにも当てはまり、SNBの0%据え置き観測から調達通貨として売られ続けています。首位は7ペア全勝の完璧な全方位型CAD高となったカナダドル(+0.6481)で、8月14日のホルムズ海峡をめぐる米イラン緊張再燃による原油+5.40%が追い風。そして28ペアの勝敗が強弱順位どおりにきれいに並ぶ「番狂わせゼロ」は2週連続となりました。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇨🇦 CAD +0.6481 2位
2 🇬🇧 GBP +0.4224 5位
3 🇦🇺 AUD +0.3430 1位
4 🇪🇺 EUR +0.1934 3位
5 🇺🇸 USD +0.0746 6位
6 🇳🇿 NZD +0.0201 4位
7 🇨🇭 CHF -0.6874 7位
8 🇯🇵 JPY -1.0142 8位
順位ペア変化率方向
1GBP/JPY+1.273%GBP2位 / JPY最弱
2CAD/CHF+1.177%CAD首位 / CHF7位
3EUR/JPY+1.043%EUR4位 / JPY最弱
4USD/JPY+0.976%USD5位 / JPY最弱
5GBP/CHF+0.952%GBP2位 / CHF7位
順位ペア変化率方向
最下位JPY/CAD-1.438%JPY最弱 / CAD首位
-2JPY/AUD-1.194%JPY最弱 / AUD3位
-3JPY/NZD-0.921%JPY最弱 / NZD6位
TOP5・BOTTOM3の8枠すべてが「円絡み」か「フラン絡み」──2週連続の完璧な全方位型JPY安:上昇上位はGBP/JPY(+1.273%)、CAD/CHF(+1.177%)、EUR/JPY(+1.043%)、USD/JPY(+0.976%)、GBP/CHF(+0.952%)と分母が円かフランのペアで占められ、下落上位もJPY/CAD(-1.438%)、JPY/AUD(-1.194%)、JPY/NZD(-0.921%)と分子が円。円は7ペアすべてで敗れ、2週連続の完璧な全方位型JPY安です。フランも唯一勝てたのが最弱の円相手のJPY/CHF(-0.254%)だけで、1勝6敗と全方位安まであと一歩。今週の変化率は、実質的に「低金利2通貨がどれだけ売られたか」のランキングになっています。
「番狂わせゼロ」が2週連続──勝ち数がまた順位と完全一致:対7通貨の勝敗を数えると、CAD 7勝0敗/GBP 6勝1敗/AUD 5勝2敗/EUR 4勝3敗/USD 3勝4敗/NZD 2勝5敗/CHF 1勝6敗/JPY 0勝7敗。先週に続き、勝ち数が7から0まで1つずつ減る完全な序列です。上位通貨は下位通貨すべてに勝ち、下位通貨は上位通貨すべてに負けました。2週間で56ペア、番狂わせゼロということになります。ただし今週は決着が僅差のペアも多く、GBP/AUD(+0.059%)、USD/NZD(+0.035%)、USD/EUR(-0.104%)はいずれも0.1%前後。序列は完全でも、その差は紙一重という点は押さえておきたいところです。

① 利上げが織り込まれているのに円が売られる──実質金利という補助線

今週いちばん考えさせられたのは、市場が日銀の9月利上げを約70%織り込み(10月までなら100%超)ながら、円が2週連続で最弱に沈んだことです。教科書どおりなら利上げ観測は円買い材料のはずで、実際の値動きとは逆を向いています。

説明として指摘されているのが実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)です。政策金利は現在1.00%。9月または10月に0.25%引き上げても1.25%で、さらにもう1回実施してもマイナス圏を脱しない見通しです。「利上げする」ことと「その通貨を持つ動機が生まれる」ことは、必ずしも同じではない──今週の円は、その違いが数字に出た形でした。

当サイトではこれまで「金利差で説明できない値動きはポジション巻き戻しを疑う」と書いてきました(fx-strength-31の円急騰が実例)。今週はその逆で、金利の方向(利上げ観測)ではなく金利の水準(実質金利)を見ると説明がつくケースです。名目の政策金利や利上げ回数だけを追うと、通貨の強弱を読み違えます。

② 同じ理屈がフランにも──低金利2通貨だけが沈む二極化

スイスフランは7位(-0.6874)で2週連続の下位定着。X/CHFの5ペアがすべて上昇し、勝てたのは最弱の円相手だけの1勝6敗です。背景にあるのはSNB(スイス国立銀行)の政策金利0%据え置きと、2027年末まで据え置きが続くとの観測。低金利のフランで資金を調達して高金利通貨に投資するキャリートレードの調達通貨として、フランは売られ続けています。スイスフランは対ドルで1年1カ月ぶりの安値圏にあり、USD/CHFは今週、15ペアで唯一の「真のパーフェクトオーダー」(4本の移動平均線の上+並び順も上昇)に復帰しました。EUR/CHFも0.9409で3週連続の75日高値更新です。

今週の強弱ランキングは「安全通貨か否か」ではなく「実質金利がプラスかマイナスか」で並んでいるように見えます。上位6通貨がすべてプラス圏(+0.0201〜+0.6481)の0.63ポイントに密集する一方、6位NZDと7位CHFのあいだに0.71ポイントの断層。「6通貨の団子」と「取り残された低金利2通貨」という二層構造が今週の本質です。なおUSD/CHFの真のパーフェクトオーダーは、ドルが強いというよりフランが弱い結果と読むほうが実態に近いところです。

③ 介入の効果は2週間で半分消えた

7月30日の日本単独介入と7月31日の日米協調介入(15年ぶり、円買い方向では28年ぶり)で、ドル円は163円台から155.211円まで8円以上下げました。その下げが今週、159.566円まで戻り高値を更新。介入による下げの半分以上が2週間で吸収されたことになります。日本経済新聞は「はや薄れる日米協調介入の神通力」と報じました。

要因として挙げられているのは、お盆で商いが薄く値動きが大きくなりやすい時期だったことと、中東情勢の緊張によるドル買いです。ドル円は終値159.292円(週間+0.946%)で200日線(158.192円)を回復しましたが、25日線・50日線・100日線はまだ上方にあり、移動平均線の並び順は「上昇パーフェクトオーダー」から「混在」へ崩れたままです。159.50円台では上ヒゲが3本連続で並びました。

価格は戻っても、トレンドの構造は7月末の急落で傷んでいる──この2つを分けて見る必要があります。次の関門は100日線(159.984円)と160円の大台が重なるゾーンで、ここはテクニカルの壁と介入警戒ゾーンが重なります。155円〜160円という「当局が引いた箱」の中の値動きと捉えると整理しやすい局面です。

④ 原油が2週続けて中東ニュース一本で振れる──今週はCADに追い風

8月14日(金)、ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの緊張が再燃し、供給不安から原油に買いが入りました。WTIの9月物は前日比+1.15ドルの82.40ドルで引け、週間では+5.40%の急反発。先週は「合意間近」の観測で-8.96%だったので、2週続けて中東関連のニュース一本で週足が大きく振れたことになります。

これを最も素直に受け取ったのがカナダドルでした。CAD/JPY(+1.446%)は15ペアで最大の上昇率、USD/CAD(-0.492%)は15ペアで最大の下落率。前週の雇用統計の大幅上振れ(+7.51万人、予想+2.00万人)に原油高が重なり、BOCの年内利上げ期待も支えとなっています。前号では「原油=CAD の連動が2週続けて逆行した」と書きましたが、今週は教科書どおりの連動に戻りました

中東緊張は同時にドル買い(=円安)の一因としても指摘されています。原油高が「産油国通貨CADの上昇」と「リスク回避のドル買い」の両方に効き、その裏側で低金利通貨が売られる──今週の構図はこの一本の材料でかなりの部分が説明できます。

⑤ 物価指標は「予想どおり」で通過、関心は金利水準へ

8月12日(水)の米7月CPIは前年比+3.4%と市場予想に一致し、6月の+3.8%から鈍化しました。ただしFRBの2%目標を依然として大きく上回っており、サプライズがなかったぶん相場の反応は限定的です。翌8月13日(木)の米7月PPIは前月比+0.2%(前回-0.3%)、前年比+4.9%(前回+5.5%)、コアは前月比+0.3%・前年比+4.2%(前回+4.7%)と、いずれも前年比の伸びが鈍化しました。

物価指標が波乱なく通過したことで相場の関心は金利そのものに戻り、米10年国債利回りは週末にかけて4.70%(レンジ内90.2%)まで上昇。前週の雇用統計ショックで低下した分を戻した形です。なお7月29日のFOMCは政策金利を3.50〜3.75%に据え置いており、採決は9対3で3名が0.25%の利上げを主張しました。

米ドルは5位(+0.0746)と、2週ぶりにプラス圏へ戻しました。ただし指数はほぼゼロで、勝てたのはJPY・CHF・NZDの3ペアのみの3勝4敗。「ドルが買われた」というより、低金利通貨より上にいるだけの位置づけです。

📅 来週の注目材料(8月17日〜21日)

来週最大の注目は8月21日(金)の日本7月消費者物価指数(CPI)です。総合が前年比1.6%→1.9%、コア1.8%が予想されており、上振れれば「実質金利マイナス」という今週の円売り根拠が薄まって円買い材料になります。逆に弱ければ、利上げしても実質金利がマイナスのままという構図が改めて意識されるところです。週初には8月17日(月)の日本4-6月期GDP速報値(日銀の利上げペース判断に直結)、8月19日(水)のFOMC議事録(7月会合で3名が利上げを主張した中身が読める)が控えます。ほかに米PMI速報値、米新規失業保険申請件数、日本の貿易収支も予定されています。

当サイトの経験則として「完璧な全方位型で勝った通貨は翌週に崩れやすい」ことを繰り返し確認してきました。今週7ペア全勝で首位に立ったカナダドルにも同じリスクが当てはまり、しかもその強さは中東情勢というニュース一本で2週続けて往復している原油に支えられています。加えてVIXは14.25・レンジ内0.4%で100日安値を再更新し、6週間で4度目の「極端な楽観」。7月第2週にレンジ内0.3%まで下がった翌週はVIXが+24.9%急騰し日経が-6.44%の暴落となった前例があります。ドル円は160円に近づけば再び介入警戒ゾーンに入る点も含め、上下どちらにも振れやすい地合いです。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 1位 / +0.6481

前週2位 → 今週1位(+1)

前週2位から首位へ。CAD/CHF(+1.177%、今週2位の上昇率)、CAD/NZD(+0.559%)で勝ち、GBP/CAD(-0.181%)、AUD/CAD(-0.297%)、EUR/CAD(-0.392%)、USD/CAD(-0.492%)、JPY/CAD(-1.438%、今週最大の下落率)でも相手を退けて、7ペアすべてで勝利する完璧な全方位型CAD高です。追い風は8月14日(金)のホルムズ海峡をめぐる米イラン緊張再燃による原油急反発(WTI 82.40ドル、週間+5.40%)。前週の7月雇用統計が+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅に上振れていたことに原油高が重なり、BOCの年内利上げ期待も支えとなりました。CAD/JPY(+1.446%)は15ペアで最大の上昇率、USD/CAD(-0.492%)は15ペアで最大の下落率です。

CADの過去7週推移は「8→3→2→3→6→2→1」。前号で「ここ2週のカナダドルは原油よりも米ドルの方向と自国指標で動いている」と書きましたが、今週は原油高=CAD高という教科書どおりの連動に戻りました。ただし原油自体が中東ニュース一本で-8.96%→+5.40%と往復しており、この強さの土台は決して安定していません。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 2位 / +0.4224

前週5位 → 今週2位(+3)

前週5位から2位(+0.4224)へ+3ランク上昇し、指数もマイナスからプラスへ転換しました。GBP/JPY(+1.273%、今週最大の上昇率)、GBP/CHF(+0.952%)、GBP/NZD(+0.335%)、GBP/AUD(+0.059%)で勝ち、EUR/GBP(-0.200%)、USD/GBP(-0.318%)でも勝利。敗れたのは首位CAD相手のGBP/CAD(-0.181%)のみで6勝1敗です。材料は8月14日(金)発表の英4-6月期GDPで、前期比+0.4%(予想どおり、前期+0.6%)、前年比+1.2%と予想の+1.1%を上回りました。7月のMPCは据え置きだったものの利上げを主張する委員が増えており、堅調な成長率がその見方を後押しした形です。GBP/JPYは50日線・100日線・200日線の上で上昇パーフェクトオーダーを維持、GBP/USDは1.3535で4本の移動平均線の収束帯から上放れしました。

GBPの過去7週推移は「2→2→4→7→5→5→2」。前号では「安定して弱い」と評しましたが、今週は指数がプラスへ転じての2位です。2週連続で5位に留まっていた通貨が、GDPひとつで一気に上位へ動いたことになります。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 3位 / +0.3430

前週1位 → 今週3位(-2)

前週の首位から3位(+0.3430)へ-2ランク後退。AUD/CHF(+0.853%)、AUD/NZD(+0.337%)で勝ち、EUR/AUD(-0.126%)、USD/AUD(-0.247%)、JPY/AUD(-1.194%)でも勝利しましたが、GBP/AUD(+0.059%)とAUD/CAD(-0.297%)で敗れて5勝2敗です。8月11日(火)のRBA金融政策決定会合は、政策金利4.35%で全員一致の据え置き。前号でお伝えしたとおり据え置きはほぼ確実視されていましたが、声明ではインフレが依然として高く2〜3%目標の中央値に戻るのは2027年末まで見込めないとし、上振れリスクが顕在化すれば追加利上げも辞さない姿勢を示しました。AUD/JPYは112円台半ばへ上昇し、AUD/USD(0.7084)は3週連続上昇で200日線との乖離+2.17%は15ペアで最大です。

AUDの過去7週推移は「4→4→3→2→7→1→3」。当サイトでは「完璧な全方位型で勝った通貨は翌週に崩れやすい」としてfx-28のNZD、fx-30のUSDとAUD、fx-31のJPYを挙げてきましたが、今週の豪ドルは-2ランクかつプラス圏維持と、5例目で初めて「小幅後退」にとどまりました。RBAのタカ派堅持という支えがあったことが差でしょう。経験則は「必ず暴落する」ではなく「反動リスクが高まる」と読むのが正確だと、今週の事例が示しています。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 4位 / +0.1934

前週3位 → 今週4位(-1)

3位から4位へ1ランク後退したものの、指数は+0.0923から+0.1934へ改善しました。EUR/JPY(+1.043%、今週3位の上昇率)、EUR/CHF(+0.797%)、EUR/NZD(+0.127%)で勝ち、USD/EUR(-0.104%)でも米ドルに勝利。EUR/AUD(-0.126%)、EUR/GBP(-0.200%)、EUR/CAD(-0.392%)で敗れて4勝3敗です。EUR/USDは1.1570で100日線(1.1566)を上抜け、下降トレンドの並びが解消されました。EUR/CHFは0.9409で3週連続の75日高値更新と、対フランでの上昇が継続しています。

EURの過去7週推移は「5→6→5→4→3→3→4」。7週連続で3〜6位の中位圏に収まっており、8通貨のなかで最も振れ幅の小さい通貨です。今週も上位陣に対しては劣後しつつ、低金利通貨に対しては確実に勝つという中間的な立ち位置でした。

🇺🇸 USD(米ドル)── 5位 / +0.0746

前週6位 → 今週5位(+1)

前週6位から5位(+0.0746)へ1ランク上昇し、2週ぶりにプラス圏へ戻しました。USD/JPY(+0.976%)、USD/CHF(+0.672%)、USD/NZD(+0.035%)で勝ちましたが、USD/EUR(-0.104%)、USD/AUD(-0.247%)、USD/GBP(-0.318%)、USD/CAD(-0.492%)で敗れて3勝4敗です。8月12日(水)の米7月CPIは前年比+3.4%と予想どおりで6月の+3.8%から鈍化、翌日のPPIも前年比の伸びが鈍化しました。物価指標が波乱なく通過したことで関心は金利水準に戻り、米10年国債利回りは4.70%(レンジ内90.2%)まで再上昇。中東緊張によるドル買いも指摘されています。

USDの過去7週推移は「7→5→7→1→8→6→5」。7月末に首位から最弱へ-7ランク暴落したあと、8位→6位→5位と静かに戻してきました。ただし勝てたのは低金利のJPY・CHFと、ほぼ同値のNZDだけ。指数+0.0746はゼロ近傍で、「ドルが買われた」と読むのは早計です。

🇳🇿 NZD(ニュージーランドドル)── 6位 / +0.0201

前週4位 → 今週6位(-2)

前週4位から6位(+0.0201)へ-2ランク後退。CHF/NZD(-0.614%)、JPY/NZD(-0.921%)で低金利2通貨には勝ったものの、CAD/NZD(+0.559%)、AUD/NZD(+0.337%)、GBP/NZD(+0.335%)、EUR/NZD(+0.127%)、USD/NZD(+0.035%)でいずれも敗れ、2勝5敗です。指数+0.0201はほぼ完全なゼロで、プラス圏6通貨のなかでは最下位。NZD/USD(0.5892、週間-0.04%)は15ペアで数少ないマイナスとなりました。前週8月5日発表の4-6月期失業率5.6%(約10年ぶりの高水準)が示した労働市場の緩みが、RBNZの利上げ余地を狭める材料として尾を引いています。

NZDの過去7週推移は「1→1→1→6→2→4→6」。オセアニアはAUD 3位・NZD 6位と3週連続で分裂しており、AUD/NZDは3週続けてプラスです。RBAが追加利上げを辞さない姿勢を示す一方、RBNZは雇用悪化で利上げ余地が狭まるという、金融政策の方向がはっきり分かれた状態が続いています。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 7位 / -0.6874

前週7位 → 今週7位(±0)

7位を2週連続で維持し、指数は-0.2894から-0.6874へ悪化しました。CAD/CHF(+1.177%)、GBP/CHF(+0.952%)、AUD/CHF(+0.853%)、EUR/CHF(+0.797%)、USD/CHF(+0.672%)とX/CHFの5ペアがすべて上昇し、CHF/NZD(-0.614%)でも敗北。勝てたのは最弱の円相手のJPY/CHF(-0.254%)だけで、2週連続の1勝6敗です。背景はSNBの政策金利0%据え置きと、2027年末まで据え置きが続くとの観測で、低金利のフランを調達して高金利通貨に投資するキャリートレードの資金源になっています。フランは対ドルで1年1カ月ぶりの安値圏にあり、USD/CHFは15ペアで唯一の「真のパーフェクトオーダー」に復帰、EUR/CHFは3週連続の75日高値更新です。

CHFの過去7週推移は「3→8→6→8→4→7→7」。7月10日週以降、8→6→8→4→7→7と一貫して最下位圏に定着しています。CHF/JPYが週間+0.29%と伸びず4本すべての移動平均線の下にとどまったのは、円が弱いだけでなくフランも弱いから。かつて「リスクオフの避難先」として機能していた通貨が、いまは調達通貨として扱われている点は構造的な変化として押さえておきたいところです。

🇯🇵 JPY(円)── 8位 / -1.0142

前週8位 → 今週8位(±0)

2週連続の最弱で、指数は-0.3861から-1.0142へさらに悪化しました。GBP/JPY(+1.273%)、EUR/JPY(+1.043%)、USD/JPY(+0.976%)が上昇し、JPY/CHF(-0.254%)、JPY/NZD(-0.921%)、JPY/AUD(-1.194%)、JPY/CAD(-1.438%)が下落する7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安で、2週連続です。ドル円は終値159.292円(週間+0.946%)で200日線を回復し、クロス円は全ペアが上昇しました(CAD/JPY +1.446%、GBP/JPY +1.273%、AUD/JPY +1.200%、EUR/JPY +1.070%)。市場は日銀の9月利上げを約70%織り込んでいるにもかかわらず、円は売られ続けています。政策金利1.00%を1.25%へ引き上げても実質金利がマイナス圏を脱しないためで、利上げ観測が円買いにつながらない構図が鮮明になりました。

JPYの過去7週推移は「6→7→8→5→1→8→8」。指数-1.0142は当サイトが「単なる振り子反動を超えた強い動意」と扱う-1.0の水準を超えています。わずか2週間前に+2.9756という過去最高を記録した通貨が、いま-1超の最弱にいる──介入は水準を反転させる手段ではないことが、2週間かけて確認された形です。ただし160円に近づけば当局の警戒ラインに再び入るため上値も重く、155円〜160円という「当局が引いた箱」の中の値動きと捉えるのが実態に近いところです。

低金利通貨グループ(JPY・CHF)── 最下位2席を2週連続で独占

グループ平均 -0.85

JPY(8位-1.0142)とCHF(7位-0.6874)が下位2席を占め、グループ平均-0.85は3グループ中で断然の最下位です。2週連続の独占で、しかも先週の平均-0.34から-0.85へ悪化しました。かつては「安全通貨グループ」として括っていた2通貨ですが、今週の売られ方は避難需要の有無ではなく、実質金利のマイナスとキャリートレードの調達需要で説明がつきます。日銀は9月利上げが約70%織り込まれてなお実質金利マイナス、SNBは0%で2027年末まで据え置き観測。金利水準という一本の軸で、2通貨がそろって最下位に並んだ週でした。

6位NZD(+0.0201)と7位CHF(-0.6874)のあいだには0.71ポイントの断層があり、上位6通貨は+0.0201〜+0.6481の0.63ポイントに密集しています。「6通貨の団子」と「取り残された2通貨」という二層構造は、順位の入れ替わりばかりを追ってきたここ数か月とは明らかに質の違う相場です。VIXがレンジ内0.4%の100日安値にあることも、避難通貨に用がない状態を裏付けています。

資源国グループ(CAD・AUD・NZD)── 首位と3位を占めるが内部は分裂

グループ平均 +0.34

CAD(1位+0.6481)、AUD(3位+0.3430)、NZD(6位+0.0201)でグループ平均は+0.34と最強グループです。ただしCADとNZDの指数差は0.63ポイントと大きく、内部は明確に分裂しています。カナダドルは原油+5.40%と前週の雇用大幅上振れ、豪ドルはRBAのタカ派堅持という支えがある一方、NZドルは前週の失業率5.6%が示した労働市場の緩みで利上げ余地が狭まっており、材料の質が三者三様でした。AUD/NZDは3週連続でプラスです。

「資源国通貨」という括りは今週も機能していません。原油に反応したのはCADだけで、AUDはRBA、NZDは国内雇用と、それぞれ別の材料で動いています。前号で「オセアニアを一括りにしない」と書きましたが、資源国3通貨についても同じことが言えます。

欧州グループ(EUR・GBP・CHF)── 2位・4位・7位に分散

グループ平均 -0.02

GBP(2位+0.4224)、EUR(4位+0.1934)、CHF(7位-0.6874)で、グループ平均-0.02はほぼゼロ。ただし中身はGBPとCHFで1.11ポイントの差があり、3グループのなかで内部の分散が最も大きい状態です。EUR/GBP(-0.200%)でユーロがポンドに劣後した一方、EUR/CHF(+0.797%)とGBP/CHF(+0.952%)ではともにフランに大きく勝ちました。序列はGBP>EUR>CHFで、前週のEUR>GBP>CHFからポンドとユーロが入れ替わっています。

欧州3通貨をまとめて語る意味は、今週ほとんどありません。ポンドはGDP上振れで買われ、フランは0%政策で売られている──同じ地域でも金融政策と経済指標が正反対の方向を向いており、EUR/CHFの3週連続75日高値更新はその差がそのまま出た結果です。
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