今週の強弱指数は、これまでにない形で分かれました。上位6通貨がすべてプラス圏(+0.0201〜+0.6481)に密集する一方、円(-1.0142)とスイスフラン(-0.6874)の2通貨だけが大きくマイナス。6位NZDと7位CHFのあいだには0.71ポイントの断層があります。円は2週連続の最弱で、しかも2週連続で7ペアすべてに敗れる「完璧な全方位型JPY安」。注目すべきは、市場が日銀の9月利上げを約70%織り込んでいるにもかかわらず円安が進んだことです。政策金利1.00%を1.25%へ引き上げても実質金利はマイナス圏を脱しないため、「利上げする」ことと「その通貨を持つ動機が生まれる」ことが切り離されています。同じ構図はスイスフランにも当てはまり、SNBの0%据え置き観測から調達通貨として売られ続けています。首位は7ペア全勝の完璧な全方位型CAD高となったカナダドル(+0.6481)で、8月14日のホルムズ海峡をめぐる米イラン緊張再燃による原油+5.40%が追い風。そして28ペアの勝敗が強弱順位どおりにきれいに並ぶ「番狂わせゼロ」は2週連続となりました。
| 順位 | 通貨 | 強弱指数 | 前週 | 可視化 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 🇨🇦 CAD | +0.6481 | 2位 → | |
| 2 | 🇬🇧 GBP | +0.4224 | 5位 ⬆ | |
| 3 | 🇦🇺 AUD | +0.3430 | 1位 ⬇ | |
| 4 | 🇪🇺 EUR | +0.1934 | 3位 → | |
| 5 | 🇺🇸 USD | +0.0746 | 6位 → | |
| 6 | 🇳🇿 NZD | +0.0201 | 4位 ⬇ | |
| 7 | 🇨🇭 CHF | -0.6874 | 7位 → | |
| 8 | 🇯🇵 JPY | -1.0142 | 8位 → |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 1 | GBP/JPY | +1.273% | GBP2位 / JPY最弱 |
| 2 | CAD/CHF | +1.177% | CAD首位 / CHF7位 |
| 3 | EUR/JPY | +1.043% | EUR4位 / JPY最弱 |
| 4 | USD/JPY | +0.976% | USD5位 / JPY最弱 |
| 5 | GBP/CHF | +0.952% | GBP2位 / CHF7位 |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 最下位 | JPY/CAD | -1.438% | JPY最弱 / CAD首位 |
| -2 | JPY/AUD | -1.194% | JPY最弱 / AUD3位 |
| -3 | JPY/NZD | -0.921% | JPY最弱 / NZD6位 |
今週いちばん考えさせられたのは、市場が日銀の9月利上げを約70%織り込み(10月までなら100%超)ながら、円が2週連続で最弱に沈んだことです。教科書どおりなら利上げ観測は円買い材料のはずで、実際の値動きとは逆を向いています。
説明として指摘されているのが実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)です。政策金利は現在1.00%。9月または10月に0.25%引き上げても1.25%で、さらにもう1回実施してもマイナス圏を脱しない見通しです。「利上げする」ことと「その通貨を持つ動機が生まれる」ことは、必ずしも同じではない──今週の円は、その違いが数字に出た形でした。
スイスフランは7位(-0.6874)で2週連続の下位定着。X/CHFの5ペアがすべて上昇し、勝てたのは最弱の円相手だけの1勝6敗です。背景にあるのはSNB(スイス国立銀行)の政策金利0%据え置きと、2027年末まで据え置きが続くとの観測。低金利のフランで資金を調達して高金利通貨に投資するキャリートレードの調達通貨として、フランは売られ続けています。スイスフランは対ドルで1年1カ月ぶりの安値圏にあり、USD/CHFは今週、15ペアで唯一の「真のパーフェクトオーダー」(4本の移動平均線の上+並び順も上昇)に復帰しました。EUR/CHFも0.9409で3週連続の75日高値更新です。
7月30日の日本単独介入と7月31日の日米協調介入(15年ぶり、円買い方向では28年ぶり)で、ドル円は163円台から155.211円まで8円以上下げました。その下げが今週、159.566円まで戻り高値を更新。介入による下げの半分以上が2週間で吸収されたことになります。日本経済新聞は「はや薄れる日米協調介入の神通力」と報じました。
要因として挙げられているのは、お盆で商いが薄く値動きが大きくなりやすい時期だったことと、中東情勢の緊張によるドル買いです。ドル円は終値159.292円(週間+0.946%)で200日線(158.192円)を回復しましたが、25日線・50日線・100日線はまだ上方にあり、移動平均線の並び順は「上昇パーフェクトオーダー」から「混在」へ崩れたままです。159.50円台では上ヒゲが3本連続で並びました。
8月14日(金)、ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの緊張が再燃し、供給不安から原油に買いが入りました。WTIの9月物は前日比+1.15ドルの82.40ドルで引け、週間では+5.40%の急反発。先週は「合意間近」の観測で-8.96%だったので、2週続けて中東関連のニュース一本で週足が大きく振れたことになります。
これを最も素直に受け取ったのがカナダドルでした。CAD/JPY(+1.446%)は15ペアで最大の上昇率、USD/CAD(-0.492%)は15ペアで最大の下落率。前週の雇用統計の大幅上振れ(+7.51万人、予想+2.00万人)に原油高が重なり、BOCの年内利上げ期待も支えとなっています。前号では「原油=CAD の連動が2週続けて逆行した」と書きましたが、今週は教科書どおりの連動に戻りました。
8月12日(水)の米7月CPIは前年比+3.4%と市場予想に一致し、6月の+3.8%から鈍化しました。ただしFRBの2%目標を依然として大きく上回っており、サプライズがなかったぶん相場の反応は限定的です。翌8月13日(木)の米7月PPIは前月比+0.2%(前回-0.3%)、前年比+4.9%(前回+5.5%)、コアは前月比+0.3%・前年比+4.2%(前回+4.7%)と、いずれも前年比の伸びが鈍化しました。
物価指標が波乱なく通過したことで相場の関心は金利そのものに戻り、米10年国債利回りは週末にかけて4.70%(レンジ内90.2%)まで上昇。前週の雇用統計ショックで低下した分を戻した形です。なお7月29日のFOMCは政策金利を3.50〜3.75%に据え置いており、採決は9対3で3名が0.25%の利上げを主張しました。
来週最大の注目は8月21日(金)の日本7月消費者物価指数(CPI)です。総合が前年比1.6%→1.9%、コア1.8%が予想されており、上振れれば「実質金利マイナス」という今週の円売り根拠が薄まって円買い材料になります。逆に弱ければ、利上げしても実質金利がマイナスのままという構図が改めて意識されるところです。週初には8月17日(月)の日本4-6月期GDP速報値(日銀の利上げペース判断に直結)、8月19日(水)のFOMC議事録(7月会合で3名が利上げを主張した中身が読める)が控えます。ほかに米PMI速報値、米新規失業保険申請件数、日本の貿易収支も予定されています。
前週2位から首位へ。CAD/CHF(+1.177%、今週2位の上昇率)、CAD/NZD(+0.559%)で勝ち、GBP/CAD(-0.181%)、AUD/CAD(-0.297%)、EUR/CAD(-0.392%)、USD/CAD(-0.492%)、JPY/CAD(-1.438%、今週最大の下落率)でも相手を退けて、7ペアすべてで勝利する完璧な全方位型CAD高です。追い風は8月14日(金)のホルムズ海峡をめぐる米イラン緊張再燃による原油急反発(WTI 82.40ドル、週間+5.40%)。前週の7月雇用統計が+7.51万人(予想+2.00万人)と大幅に上振れていたことに原油高が重なり、BOCの年内利上げ期待も支えとなりました。CAD/JPY(+1.446%)は15ペアで最大の上昇率、USD/CAD(-0.492%)は15ペアで最大の下落率です。
前週5位から2位(+0.4224)へ+3ランク上昇し、指数もマイナスからプラスへ転換しました。GBP/JPY(+1.273%、今週最大の上昇率)、GBP/CHF(+0.952%)、GBP/NZD(+0.335%)、GBP/AUD(+0.059%)で勝ち、EUR/GBP(-0.200%)、USD/GBP(-0.318%)でも勝利。敗れたのは首位CAD相手のGBP/CAD(-0.181%)のみで6勝1敗です。材料は8月14日(金)発表の英4-6月期GDPで、前期比+0.4%(予想どおり、前期+0.6%)、前年比+1.2%と予想の+1.1%を上回りました。7月のMPCは据え置きだったものの利上げを主張する委員が増えており、堅調な成長率がその見方を後押しした形です。GBP/JPYは50日線・100日線・200日線の上で上昇パーフェクトオーダーを維持、GBP/USDは1.3535で4本の移動平均線の収束帯から上放れしました。
前週の首位から3位(+0.3430)へ-2ランク後退。AUD/CHF(+0.853%)、AUD/NZD(+0.337%)で勝ち、EUR/AUD(-0.126%)、USD/AUD(-0.247%)、JPY/AUD(-1.194%)でも勝利しましたが、GBP/AUD(+0.059%)とAUD/CAD(-0.297%)で敗れて5勝2敗です。8月11日(火)のRBA金融政策決定会合は、政策金利4.35%で全員一致の据え置き。前号でお伝えしたとおり据え置きはほぼ確実視されていましたが、声明ではインフレが依然として高く2〜3%目標の中央値に戻るのは2027年末まで見込めないとし、上振れリスクが顕在化すれば追加利上げも辞さない姿勢を示しました。AUD/JPYは112円台半ばへ上昇し、AUD/USD(0.7084)は3週連続上昇で200日線との乖離+2.17%は15ペアで最大です。
3位から4位へ1ランク後退したものの、指数は+0.0923から+0.1934へ改善しました。EUR/JPY(+1.043%、今週3位の上昇率)、EUR/CHF(+0.797%)、EUR/NZD(+0.127%)で勝ち、USD/EUR(-0.104%)でも米ドルに勝利。EUR/AUD(-0.126%)、EUR/GBP(-0.200%)、EUR/CAD(-0.392%)で敗れて4勝3敗です。EUR/USDは1.1570で100日線(1.1566)を上抜け、下降トレンドの並びが解消されました。EUR/CHFは0.9409で3週連続の75日高値更新と、対フランでの上昇が継続しています。
前週6位から5位(+0.0746)へ1ランク上昇し、2週ぶりにプラス圏へ戻しました。USD/JPY(+0.976%)、USD/CHF(+0.672%)、USD/NZD(+0.035%)で勝ちましたが、USD/EUR(-0.104%)、USD/AUD(-0.247%)、USD/GBP(-0.318%)、USD/CAD(-0.492%)で敗れて3勝4敗です。8月12日(水)の米7月CPIは前年比+3.4%と予想どおりで6月の+3.8%から鈍化、翌日のPPIも前年比の伸びが鈍化しました。物価指標が波乱なく通過したことで関心は金利水準に戻り、米10年国債利回りは4.70%(レンジ内90.2%)まで再上昇。中東緊張によるドル買いも指摘されています。
前週4位から6位(+0.0201)へ-2ランク後退。CHF/NZD(-0.614%)、JPY/NZD(-0.921%)で低金利2通貨には勝ったものの、CAD/NZD(+0.559%)、AUD/NZD(+0.337%)、GBP/NZD(+0.335%)、EUR/NZD(+0.127%)、USD/NZD(+0.035%)でいずれも敗れ、2勝5敗です。指数+0.0201はほぼ完全なゼロで、プラス圏6通貨のなかでは最下位。NZD/USD(0.5892、週間-0.04%)は15ペアで数少ないマイナスとなりました。前週8月5日発表の4-6月期失業率5.6%(約10年ぶりの高水準)が示した労働市場の緩みが、RBNZの利上げ余地を狭める材料として尾を引いています。
7位を2週連続で維持し、指数は-0.2894から-0.6874へ悪化しました。CAD/CHF(+1.177%)、GBP/CHF(+0.952%)、AUD/CHF(+0.853%)、EUR/CHF(+0.797%)、USD/CHF(+0.672%)とX/CHFの5ペアがすべて上昇し、CHF/NZD(-0.614%)でも敗北。勝てたのは最弱の円相手のJPY/CHF(-0.254%)だけで、2週連続の1勝6敗です。背景はSNBの政策金利0%据え置きと、2027年末まで据え置きが続くとの観測で、低金利のフランを調達して高金利通貨に投資するキャリートレードの資金源になっています。フランは対ドルで1年1カ月ぶりの安値圏にあり、USD/CHFは15ペアで唯一の「真のパーフェクトオーダー」に復帰、EUR/CHFは3週連続の75日高値更新です。
2週連続の最弱で、指数は-0.3861から-1.0142へさらに悪化しました。GBP/JPY(+1.273%)、EUR/JPY(+1.043%)、USD/JPY(+0.976%)が上昇し、JPY/CHF(-0.254%)、JPY/NZD(-0.921%)、JPY/AUD(-1.194%)、JPY/CAD(-1.438%)が下落する7ペア全敗の完璧な全方位型JPY安で、2週連続です。ドル円は終値159.292円(週間+0.946%)で200日線を回復し、クロス円は全ペアが上昇しました(CAD/JPY +1.446%、GBP/JPY +1.273%、AUD/JPY +1.200%、EUR/JPY +1.070%)。市場は日銀の9月利上げを約70%織り込んでいるにもかかわらず、円は売られ続けています。政策金利1.00%を1.25%へ引き上げても実質金利がマイナス圏を脱しないためで、利上げ観測が円買いにつながらない構図が鮮明になりました。
JPY(8位-1.0142)とCHF(7位-0.6874)が下位2席を占め、グループ平均-0.85は3グループ中で断然の最下位です。2週連続の独占で、しかも先週の平均-0.34から-0.85へ悪化しました。かつては「安全通貨グループ」として括っていた2通貨ですが、今週の売られ方は避難需要の有無ではなく、実質金利のマイナスとキャリートレードの調達需要で説明がつきます。日銀は9月利上げが約70%織り込まれてなお実質金利マイナス、SNBは0%で2027年末まで据え置き観測。金利水準という一本の軸で、2通貨がそろって最下位に並んだ週でした。
CAD(1位+0.6481)、AUD(3位+0.3430)、NZD(6位+0.0201)でグループ平均は+0.34と最強グループです。ただしCADとNZDの指数差は0.63ポイントと大きく、内部は明確に分裂しています。カナダドルは原油+5.40%と前週の雇用大幅上振れ、豪ドルはRBAのタカ派堅持という支えがある一方、NZドルは前週の失業率5.6%が示した労働市場の緩みで利上げ余地が狭まっており、材料の質が三者三様でした。AUD/NZDは3週連続でプラスです。
GBP(2位+0.4224)、EUR(4位+0.1934)、CHF(7位-0.6874)で、グループ平均-0.02はほぼゼロ。ただし中身はGBPとCHFで1.11ポイントの差があり、3グループのなかで内部の分散が最も大きい状態です。EUR/GBP(-0.200%)でユーロがポンドに劣後した一方、EUR/CHF(+0.797%)とGBP/CHF(+0.952%)ではともにフランに大きく勝ちました。序列はGBP>EUR>CHFで、前週のEUR>GBP>CHFからポンドとユーロが入れ替わっています。