2026年9月4日〜9月11日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──警告は外れた。円が2週連続で7ペア全勝

先週このレポートは、首位の円について2つの警告を書きました。「完璧な全方位型で勝った通貨は翌週に崩れる(それまで8例中8例)」と「記録級の週の翌週は要警戒(2例2勝)」です。結果はどちらも外れました。円は+2.1489で首位を維持し、2週連続の7ペア全勝。指数は当サイト記録上3番目の高水準で、しかも上位3つはすべて円が占めています。外れた理由もはっきりしていて、これまでの全方位型の勝者が単発のニュースで勝っていたのに対し、今の円は9月17〜18日の日銀会合という「まだ終わっていない予定」に向けて織り込みが進んでいる最中だからです。9月8日にドル円は152円台後半と今年2月中旬以来の水準まで下げ、先週「試金石」と書いた7月31日の協調介入時の安値155.211円を、市場が自力で割り込みました。もうひとつの発見は順位表そのもので、2位から8位までの並びが「対円の下げ幅が小さい順」と完全に一致しています。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇯🇵 JPY +2.1489 1位 →
2 🇬🇧 GBP +0.2429 7位 ⬆
3 🇺🇸 USD +0.1554 5位 ⬆
4 🇪🇺 EUR -0.0100 4位 →
5 🇨🇦 CAD -0.1522 3位 ⬇
6 🇦🇺 AUD -0.3781 2位 ⬇
7 🇨🇭 CHF -0.8054 6位 →
8 🇳🇿 NZD -1.2015 8位 →
順位ペア変化率方向
1JPY/NZD+2.987%JPY首位 / NZD最弱
2JPY/CHF+2.585%JPY首位 / CHF7位
3JPY/AUD+2.241%JPY首位 / AUD6位
4JPY/CAD+2.033%JPY首位 / CAD5位
5GBP/NZD+1.222%GBP2位 / NZD最弱
順位ペア変化率方向
最下位EUR/JPY-1.851%EUR4位 / JPY首位
-2USD/JPY-1.707%USD3位 / JPY首位
-3GBP/JPY-1.636%GBP2位 / JPY首位
今週最大の発見──順位表の2位から8位が「対円の下げ幅が小さい順」と完全に一致:各通貨が円に負けた幅を小さい順に並べると、GBP/JPY(-1.636%)→ USD/JPY(-1.707%)→ EUR/JPY(-1.851%)→ CAD/JPY(-2.033%)→ AUD/JPY(-2.241%)→ CHF/JPY(-2.585%)→ NZD/JPY(-2.987%)。そして強弱ランキングの2位以下はGBP・USD・EUR・CAD・AUD・CHF・NZD──7通貨すべてが同じ順番です。つまり今週の順位表は、実質的に「対円で何%負けたか」の一覧表でした。28ペアのうち円絡みは7ペアしかないにもかかわらず、残る21ペアの結果が順位を一つも入れ替えなかったことになります。「円 vs その他全部」がここまで純粋な形で出たのは当サイトで初めてです。
「番狂わせゼロの完全序列」が通算4回目:対7通貨の勝敗はJPY 7勝0敗/GBP 6勝1敗/USD 5勝2敗/EUR 4勝3敗/CAD 3勝4敗/AUD 2勝5敗/CHF 1勝6敗/NZD 0勝7敗。勝ち数が順位どおりに1つずつ減り、28ペアに一つの番狂わせもありません。fx-strength-32・33・35に続く通算4回目で、上の「対円の順番と完全一致」と合わせると、今週は2つの意味で完全に整った週でした。ただし前号で書いたとおり完全序列=差が大きい、ではありません。実際、2位GBPと3位USDの差は0.0875ポイント、両者の直接対決GBP/USDは+0.087%で28ペア中もっとも動かなかったペアです。
TOP5とBOTTOM3の8枠中7枠が円絡み──2週連続:TOP5の上位4ペアがすべて「JPY/○○」、BOTTOM3の3ペアすべてが「○○/JPY」で、8枠中7枠を円絡みが占めました。残る1枠のGBP/NZD(+1.222%)も、最弱NZDが分母に来た結果です。この構図は先週とまったく同じで、当サイトでは通算3度目(fx-31、fx-36、今週)──しかも3度ともJPYが主役です。指数レンジは3.3504ポイントで、先週の3.4107ポイントとほぼ同水準。2週連続で3ポイント超という荒れた状態が続いています。

① 先週の警告は2つとも外れた──なぜ円は崩れなかったのか

まず、外れたことを正面から書きます。先週このレポートは首位の円について、「『全方位型の勝者は翌週に崩れやすい』の9例目になるかどうか。加えて『記録級の週の翌週は要警戒』も同時に当てはまっています」と書きました。結果は、円が首位を維持。7ペア全勝も2週連続です。

これで「7ペア全勝の翌週に順位を維持できた通貨」は9例目にして初めて出ました(それまで8例中8例が順位を落としています)。また「記録級の週の翌週は要警戒」も3例目で初めて外れました(1例目=NZD +2.0274→-2.2104、2例目=JPY +2.9756→-0.3861、いずれも翌週に最弱へ転落していました)。

外れた理由を考えると、これまでの8例との違いがはっきりします。過去の全方位型の勝者は、いずれも「単発のニュース」で勝っていました──米財務省のバイバック発表(fx-34のCHF)、ジャクソンホール講演(fx-35のUSD)、原油急騰(fx-33のCAD)。材料が一度出てしまえば、翌週には織り込みが終わります。ところが今の円を動かしているのは9月17〜18日の日銀会合という「まだ終わっていない予定」で、市場は0.25%の利上げ(政策金利1.25%程度へ)を8割超織り込みながら、まだその先を織り込み続けている最中です。「終わった材料」と「これから起きる予定」を区別する──これが今週の最大の教訓でした。当サイトの経験則は「必ず崩れる」ではなく「反動リスクが高まる」と読むべきで、まだ消化されていないイベントが控えている通貨は例外になりうると書き換えます。

② 155.211円は割れた──介入で作った安値を市場が自力で更新

先週このレポートは「今週の安値155.288円は、7月31日の日米協調介入時の安値まで、わずか0.077円。介入で作った安値を市場が自力で更新できるかは、単なる節目以上の意味を持ちます」と書きました。答えは、あっさり割れたです。

9月8日(火)の東京市場でドル円は152円台後半まで下落、今年2月中旬以来、約半年ぶりの円高水準となりました。週間安値152.89円はそのまま75日間安値で、協調介入時の安値より2.3円以上も下です。理由は3つ重なっています。①9月17〜18日の日銀会合での利上げ観測(政策金利1.25%程度へ、市場は8割超を織り込み)、②ベッセント米財務長官が8月30日に日銀の植田総裁と面会し、大幅な円安に「断固とした市場・金融政策上の措置を講じることを強く支持する」と伝えたこと、③積み上がっていた円キャリー取引の巻き戻しです。

移動平均線との位置関係も一段と悪化し、ドル円は4本すべてのSMA(157.974/159.702/159.669/158.402円)の下で、SMA50乖離率は-3.825%まで開きました。2022年から続いてきた円安トレンドの局面が変わったことを、チャートの形として認めざるを得ない週です。ただし一方通行ではありません。週後半には154.67円まで1.8円近く戻しており、終値は153.594円。週の前半は「日銀の利上げ観測」で円買い、後半は「米インフレの上振れ」でドル買いと、同じ1週間のなかで金利差の分母(日本)と分子(米国)が交互に動いた形でした。

③ 米金利は100日間高値を更新──それでもドル円は戻らない、2週連続

週の後半、米国のインフレ指標が2つとも上振れました。9月10日(木)の米8月PPIは前月比+0.4%・前年比+5.4%(予想+5.3%)。同じ日、米財務省が発表した国債の買い入れ(バイバック)規模が市場の期待に届かず、需給面からも金利に上昇圧力がかかっています。翌9月11日(金)の米8月CPIは、総合が前月比+0.4%(予想どおり)で5月来の高さ、コアが前月比+0.3%(予想+0.2%)で4月来の高さとなりました。

ただしコア前年比は+2.4%と7月の+2.5%から鈍化し、2021年3月来の低水準です。「年間ペースは落ちているが、足元の月次が再加速している」という、いちばん判断の難しい組み合わせでした。市場の反応ははっきりしていて、9月15〜16日のFOMCでの利上げ確率は発表前の71.5%から85.6%へ上昇。米10年国債利回りは週間高値4.98%で100日間高値を更新(2週連続)、終値4.97%でレンジ内位置98.6%です。

先週このレポートは「米金利が100日間高値を更新した週にドル円は-2.385%の急落」と書きましたが、今週もまったく同じ組み合わせでした。利回りはさらに0.19ポイント上がって4.97%、それでもドル円は週間-1.707%。「金利差が開いてもドル円が戻らない」が2週連続で確認されたことになります。ただし今週は週の後半だけ見れば152.89円から154.67円まで戻しているので、効かなくなったのではなく、効き始めるのが遅くなっていると見るのが正確でしょう。金利差の分子(米国)は確かに効いていますが、分母(日本)の動きがそれを上回っている、というだけの話です。

④ ホルムズ海峡が事実上の封鎖──原油は2週連続で+9%台

中東は、先週よりさらに一段進みました。9月9日(水)未明、米軍がペルシャ湾でイランのタンカー5隻を攻撃。これを受けてイランはヨルダンの米軍基地へ報復攻撃を行い、ブレント原油は7月以来はじめて1バレル100ドルを突破しました。より深刻なのは物流のほうで、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡周辺の船舶に通航禁止を通告し、海峡は事実上の封鎖状態となっています。

WTI原油は週間高値104.46ドルをつけ、終値99.99ドル・週間+9.303%。2週連続で+9%台、2週間で83.44ドル→99.99ドルと約20%の上昇です。日本は原油輸入の約94%を中東に依存し、そのうち約8割がホルムズ海峡を通過するタンカーで運ばれています。

先週このレポートは「制裁より、実際にタンカーが撃たれるほうが価格に効く」と書きました。今週の違いは撃ったのが米軍だったことで、当事者が増えました。ここで注目したいのはカナダドルの反応です。原油が2週連続で+9%台という強烈な追い風があるのに、CADは3位から5位へ-2ランク。CAD/JPY(-2.033%)は週間安値110.55円が75日間安値更新です。fx-36で「原油は+9%超で初めて相対順位に効く」と書いたばかりですが、今週はその+9%超が2週続いてもなお順位が下がりました。円の力がそれだけ強かったということで、「原油→CAD」の経路は、円という別の軸が立っている週には機能しないと読み直す必要があります。

⑤ 上昇率1位も下落率1位もフラン絡み──どちらもフラン安

今週の15通貨ペアで、最大の上昇はUSD/CHF(+0.810%)、最大の下落はCHF/JPY(-2.490%)。上下の両端をフランが占め、しかもどちらもフラン安の方向という、きわめて分かりやすい構図になりました。

CHF/JPYはSMA25(195.541円)>SMA50(197.467円)>SMA100(199.495円)>SMA200(199.599円)と線が上から下へ順に並ぶ下降パーフェクトオーダーに入り、SMA200乖離率-5.798%は15ペアで最も大きなマイナスです。反対にEUR/CHF(0.9467、+0.659%)は3週続伸で週間高値0.9473が75日間高値、4週連続で15ペア唯一の「真のパーフェクトオーダー」を維持しました。

利上げから最も遠い通貨が、利上げに近い通貨の前でひたすら売られる──今の相場の構図が、この2ペアに集約されています。SNBの政策には変化がなく、変わったのは比較される相手側です。fx-34で確立した「フランの強弱はその週にドルが買われたか売られたかでほぼ決まる」という読み方は、今はドルではなく円が基準になっています。低金利通貨は、その週にいちばん金利観が動いた通貨の反対側に置かれる──そう言い換えるのが正確なところです。

⑥ 来週はFOMCと日銀会合が2日違いで連続する

来週は9月15〜16日(火〜水)のFOMCと9月17〜18日(木〜金)の日銀金融政策決定会合が2日違いで続きます。FOMCはドットチャート(経済見通し)の公表回で、今週のCPIを受けて利上げ確率は85.6%。日銀については0.25%の利上げで政策金利1.25%程度へという見方を市場が8割超織り込み済みです。

市場では「日銀が利上げしても円が買われない」という見方も出ています。すでに8割超を織り込んだ材料が実現しても、新しい買い材料にはなりにくいという理屈です。

ここは当サイトが9月第1週に学んだ論点そのものです。fx-36ではRBNZが実際に25ベーシスポイント利上げしたのにNZドルが0勝7敗の最弱になりました。理由は利上げそのものではなく、示された先行きの経路が市場の想定ほどタカ派でなかったことです。来週の日銀も同じ構造で、焦点は「利上げするかどうか」ではなく「利上げしたあと、どれだけタカ派の姿勢を示せるか」。織り込み済みの材料が実現したとき、相場がどちらへ動くかという、今年でも指折りの見どころのある週になります。なおVIXは週間高値18.17まで跳ねたあと15.84で引け、レンジ内位置は7.7%から21.4%へ上昇しました。ホルムズ海峡が事実上の封鎖と言われ原油が100ドルを超えた週にこの水準ということは、市場はまだ原油高を「インフレの話」として処理していて、「金融危機の話」とは見ていないということです。

🇯🇵 JPY(日本円)── 1位 / +2.1489

前週1位 → 今週1位(±0)

JPY/NZD(+2.987%、今週最大の上昇率)、JPY/CHF(+2.585%)、JPY/AUD(+2.241%)、JPY/CAD(+2.033%)、JPY/EUR(+1.851%)、JPY/USD(+1.707%)、JPY/GBP(+1.636%)と7ペアすべてで勝利し、2週連続の完璧な全方位型JPY高です。7ペア全部が1.6%以上の勝ち幅で、内容も先週に劣りません。

指数+2.1489は当サイト記録上3番目(1位+2.9756=JPY・7月31日、2位+2.3418=JPY・9月4日)。正の記録の上位3つをすべて円が占め、しかも直近7週のうち3回という状態です。材料は9月17〜18日の日銀会合への織り込み、ベッセント米財務長官の円安けん制、円キャリー取引の巻き戻しの3つで、先週から一段深く進みました。

来週の見方は、先週より慎重に書きます。当サイトの2つの経験則が今週そろって外れた以上、「だから来週は崩れる」とは書けません。ただし状況は先週と決定的に違っていて、9月17〜18日に日銀会合という「答え合わせ」が実際に来ます。市場は8割超を織り込んでおり、織り込み済みの材料が実現したときこそ「材料出尽くし」になりやすい──これはfx-36でRBNZが実際に利上げしながらNZドルが最弱になったのと同じ構造です。円の強さが試されるのは、利上げそのものではなく、その先の姿勢が示されたあとだと考えています。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 2位 / +0.2429

前週7位 → 今週2位(+5)

7位から2位へ+5ランク、6勝1敗。唯一の黒星はGBP/JPY(-1.636%)ですが、これは6つの円ペアのなかで最も下落率が小さいペアです。つまりポンドの2位は「円にいちばん負けなかった」ことで得た順位で、対円以外の6通貨すべてに勝ちました。

支えになったのは9月11日(金)に英国家統計局(ONS)が発表した7月の月次GDPで、前月比+0.4%と横ばい(0.0%)の市場予想を上回り、サービス業の産出が主な押し上げ要因となりました。ただし対ドルでは動いておらず、GBP/USDは週間+0.078%で2週連続の15ペア最小の変動。週間高値1.3567・週間安値1.3479で、先週割り込んだSMA25(1.3546)の下が続いています。

対ドルでほとんど動かなかったのに順位が+5ランク──この組み合わせが、今週の順位表の性格をそのまま示しています。ポンドが買われたわけではなく、円以外の通貨がそろって円に大きく負けたなかで、ポンドの負け幅がいちばん小さかっただけです。英国では原油高を背景にしたインフレ再燃も意識され、英10年債利回りは5.39%と2007年7月以来の高水準まで上昇しています。来週は9月15日の8月英雇用統計、9月16日の8月英CPI、そして9月17日のBOE金融政策委員会と、ポンド固有の材料が3日続けて並びます。

🇺🇸 USD(米ドル)── 3位 / +0.1554

前週5位 → 今週3位(+2)

5勝2敗で3位。勝ったのはUSD/NZD(+1.159%)、USD/CHF(+0.879%、15ペア最大の上昇)、USD/AUD(+0.461%)、USD/CAD(+0.231%)、USD/EUR(+0.151%)で、負けたのはUSD/JPY(-1.707%)とUSD/GBP(-0.087%)の2つだけです。

週の後半にPPI・CPIがそろって上振れし、FOMCの利上げ確率は71.5%から85.6%へ、米10年利回りは週間高値4.98%で100日間高値を更新しました。対ユーロ・対フラン・対資源国通貨ではしっかり勝っており、ドルは決して弱くありません。にもかかわらず指数が+0.1554にとどまったのは、対円の-1.707%が大きく効いたからです。

ドルの過去7週推移は「8→6→5→8→1→5→3」。fx-36まで「2週続けて同じ位置にとどまった週が一度もない」と書いてきましたが、今週も5位→3位と動いており、この記録は続いています。今週注目したいのは「対ドル」で見るか「対円」で見るかで景色がまったく違うことです。EUR/USDは週間-0.127%・値幅0.0085ドルとほぼ動かず、GBP/USDも+0.078%。ドルと欧州通貨のあいだでは何も起きていないのに、対円だけが大きく動いた──相場の主役が「ドル対その他」ではなく「円対その他」であることの、いちばん分かりやすい証拠です。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 4位 / -0.0100

前週4位 → 今週4位(±0)

4勝3敗で5週連続の4位。指数-0.0100はほぼ完全なゼロで、8通貨のなかで最も「動かない通貨」という位置づけがさらに固まりました。勝ったのはEUR/NZD(+1.052%)、EUR/CHF(+0.659%)、EUR/AUD(+0.296%)、EUR/CAD(+0.133%)、負けたのはEUR/JPY(-1.851%)、EUR/GBP(-0.208%)、EUR/USD(-0.151%)です。

ユーロドルは1.1598で週間-0.127%、週間高値1.1654・週間安値1.1569で値幅はわずか0.0085ドル。先週(0.0075ドル)に続く小動きです。位置関係はSMA50(1.1527)・SMA100(1.1557)の上、SMA25(1.1609)とSMA200(1.1632)の下で、3週連続で200日線の手前で止まりました。

ユーロは今週、順位も指数も値幅もすべてが「ゼロに近い」という珍しい状態でした。EUR/JPYは-1.851%と大きく下げましたが、これは円が強かっただけで、ユーロ自身には何も起きていません。EUR/JPY(177.856円)は週間安値がそのまま75日間安値を更新し、4本すべてのSMAの下へ落ちています。3週連続でSMA200(1.1632)が壁になっている点は、来週のFOMC次第で動きうるポイントです。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 5位 / -0.1522

前週3位 → 今週5位(-2)

3勝4敗で5位。勝ったのはCAD/NZD(+0.912%)、CAD/CHF(+0.598%)、CAD/AUD(+0.190%)で、負けたのはCAD/JPY(-2.033%)、CAD/GBP(-0.368%)、CAD/USD(-0.231%)、CAD/EUR(-0.133%)です。

今週いちばん納得しにくい結果がこれです。WTI原油が週間+9.303%(終値99.99ドル、週間高値104.46ドル)と2週連続で+9%台を記録したのに、カナダドルは3位から5位へ-2ランク。CAD/JPY(110.730円、-1.947%)は週間安値110.55円がそのまま75日間安値の更新で、4本すべてのSMAの下にある状態が2週続いています。

先週このレポートは「原油は±4〜5%では順位が動かず、+9%超で初めて相対順位に反映される」と書きました。今週はその+9%超が2週続いたのに、順位が下がりました。つまり閾値の話だけでは足りません。正確に書き直すなら、「原油→CAD」の経路は、円のように別の強い軸が立っている週には打ち消されるということです。実際、USD/CAD(1.3867、+0.231%)はSMA200とSMA25を取り返して先週の「4本すべての下」から抜け出しており、対ドルでは原油高がきちんと効いていません──原油高(カナダドル買い)よりドル高(ドル買い)が勝った形です。資源国通貨の分析では「その週にもっと強い軸が立っていないか」を先に確認するのが実務的でしょう。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 6位 / -0.3781

前週2位 → 今週6位(-4)

2位から6位へ-4ランク、2勝5敗。勝てたのはAUD/NZD(+0.726%)とAUD/CHF(+0.388%)の2ペアだけで、いずれも下位2通貨が相手です。AUD/JPYは-2.241%と大きく負けました。

ただし、対ドルでは依然として強さを保っています。AUD/USD(0.7170、週間-0.453%)は週間高値0.7237がそのまま75日間高値で、3週連続の更新。そこから押し戻されて3週ぶりの下落となりましたが、4本すべてのSMA(0.7143/0.7064/0.7079/0.6999)の上は維持し、SMA200乖離率+2.454%は15ペアで最大のプラスです。

一方でAUD/JPYは先週唯一守っていたSMA200(110.880円)をついに割り込み、4本すべてのSMAの下へ落ちました。先週このレポートは「円全面高のなかAUD/JPYだけがSMA200を守った」と豪ドルの底堅さの証拠として挙げましたが、1週間で陥落しています。対ドルでは75日間高値を更新しながら、対円ではSMA200を割る──この1組が今週の相場をよく表しています。豪ドルが弱いのではなく、円が強すぎるということです。-4ランクという数字だけを見て「豪ドルが売られた」と読むと、実態を取り違えます。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 7位 / -0.8054

前週6位 → 今週7位(-1)

1勝6敗で7位。勝てたのは最弱NZD相手のCHF/NZD(+0.353%)だけです。指数は-0.4938から-0.8054へ0.32ポイント悪化しました。CHF/JPY(-2.585%)は15通貨ペアで最大の下落、反対にUSD/CHF(+0.810%)は15ペアで最大の上昇──上下の両端をフラン絡みが占め、どちらもフラン安の方向です。

テクニカル面での悪化がはっきりしています。CHF/JPY(188.026円)は15ペアで唯一の下降パーフェクトオーダーに入り、SMA200乖離率-5.798%は15ペアで最も大きなマイナス。一方のEUR/CHF(0.9467、+0.659%)は週間高値0.9473が75日間高値で、4週連続の「真のパーフェクトオーダー」維持です。

CHFの過去7週推移は「4→7→7→1→7→6→7」で、fx-34で首位に立った1週を除けば最下位圏に定着しています。fx-34では「フランの強弱はその週にドルが買われたか売られたかでほぼ決まる」と書きましたが、今週の基準はドルではなく円です。より一般化して書き直すなら、「利上げから最も遠い通貨は、その週にいちばん金利観が動いた通貨の反対側に置かれる」。SNBは何もしていないのに2週続けて沈んでいるのは、比較される相手が変わり続けているからです。

🇳🇿 NZD(NZドル)── 8位 / -1.2015

前週8位 → 今週8位(±0)

3週連続で0勝7敗の完璧な全方位型NZD安。指数は-0.4431→-1.0689→-1.2015と3週続けて悪化しています。NZD/JPY(-2.987%)、NZD/GBP(-1.222%)、NZD/USD(-1.159%)、NZD/EUR(-1.052%)、NZD/CAD(-0.912%)、NZD/AUD(-0.726%)、NZD/CHF(-0.353%)と、7通貨すべてに負けました。

要因は2つです。ひとつは9月2日のRBNZで、政策金利を2.75%へ引き上げながら声明がデータ依存の慎重姿勢を強調し、10月会合での据え置きの可能性を示唆したこと。この見通しが3週目に入っても尾を引いています。もうひとつはNZの主要貿易相手国である中国の輸入の伸びが予想を下回り、内需停滞が意識されたことです。NZD/USD(0.5815、週間-1.146%)は3週続落で、先週割り込んだSMA25に加えてSMA50・SMA100・SMA200もまとめて割り込み、4本すべてのSMAの下へ落ちました。

0勝7敗が3週連続というのは、当サイトの記録では初めてです(これまでの最長は2週連続=fx-32〜33のJPY安、fx-35〜36のNZD安)。NZドルの過去7週推移は「2→4→6→2→8→8→8」で、4週連続の最弱。先週このレポートは「6月末に最弱2週連続だったNZドルは翌週に首位へ+7ランク急反発した。下位固定化という見立てこそ過去に覆された種類のもの」と書きましたが、今週も反発は来ませんでした。反動を待つ側がすでに2週続けて外している点は、正直に記録しておきます。ただし指数-1.2015は「単なる振り子反動を超えた強い動意」の水準であり、下げ続けるにせよ反発するにせよ、値幅は大きくなりやすい位置にあります。

「円1強」が2週連続 ── 断層は1位と2位のあいだの1.91ポイント

円 +2.15 / 残り7通貨平均 -0.31

1位JPY(+2.1489)と2位GBP(+0.2429)のあいだに1.9060ポイントの断層。2位から8位までの7通貨は+0.2429〜-1.2015の1.4444ポイント内に収まっており、断層はこの一箇所だけです。先週とまったく同じ「1通貨だけが抜け出す」形が2週連続になりました。

指数レンジは3.3504ポイントで、先週の3.4107ポイントとほぼ同水準。2週連続で3ポイント超という荒れた状態です。当サイトはこれまで「指数の振れ幅が小さい週の翌週にいきなり記録が出る」ことを何度も見てきましたが、今回は逆に「大きい状態が2週続いた」ことになります。これも当サイトでは新しいパターンで、fx-31(+2.9756)のときは翌週に一気に0.935ポイントまで収縮していました。記録級の週の翌週が「収縮」ではなく「同水準の継続」になったのは今回が初めてです。

低金利グループ(JPY・CHF)── 1位と7位、4週連続の分裂

グループ平均 +0.67

JPY(1位+2.1489)とCHF(7位-0.8054)で指数差2.9543ポイント。fx-34で1位と7位、fx-35で3位と7位、fx-36で1位と6位、今週は1位と7位と、4週連続で順位表の両端近くに分かれています。

先週このレポートは「『低金利グループ』という括りは中央銀行のどちらかが動くと即座に壊れる」と書きました。今週はその差がさらに広がっています。しかも中身を見ると、両者の直接対決JPY/CHF(+2.585%)は28ペア中2番目に大きい変化率。かつて「同じ性質の通貨」として並べていた2つが、いまや順位表でもっとも遠い組み合わせのひとつになりました。通貨をグループでくくるときは、必ず「このくくりはいつ壊れるか」を但し書きとして書く──この但し書きは、書いた翌週から4週続けて的中しています。

オセアニアグループ(AUD・NZD)── 3週連続の分裂、ただし差は縮小

グループ平均 -0.79

AUD(6位-0.3781)とNZD(8位-1.2015)で指数差0.8234ポイント。3週連続の分裂ですが、差は先週の1.2975ポイントから0.47ポイント縮小しました。縮んだ理由は豪ドルが下げたからで、NZドルが戻したからではありません。

グループ平均-0.79は3グループ中で最下位です。ただし中身はまったく違います。AUD/USDは3週連続で75日間高値を更新し、SMA200乖離率+2.454%は15ペアで最大のプラス。対してNZD/USDは4本すべてのSMAを割り込んだばかりです。「オセアニアが弱い」とまとめると完全に読み違えます──豪ドルは対円で負けただけで、対ドルでは最も強い部類。NZドルは対ドルでも崩れています。順位が近いことと、通貨の状態が似ていることは別物という、今週いちばん実務的な注意点です。

欧州3通貨(EUR・GBP・CHF)── 2位・4位・7位にきれいに散らばる

グループ平均 -0.19

GBP(2位+0.2429)・EUR(4位-0.0100)・CHF(7位-0.8054)で、グループ平均-0.19。先週は3通貨そろってマイナスの「全滅グループ」でしたが、今週はポンドがプラスに浮上し、上位・中位・下位に1つずつという散らばり方になりました。

3通貨を分けたのは、やはり対円の負け幅です。GBP/JPY(-1.636%)が6つの円ペアで最小、EUR/JPY(-1.851%)が中位、CHF/JPY(-2.585%)が最大。この順番がそのまま2位・4位・7位になっています。欧州の中でも「利上げに近いほど円に負けにくい」という関係が働いており、9月11日の英7月GDP+0.4%(予想0.0%)と英10年債利回り5.39%(2007年7月以来の高水準)を持つポンドが最も耐え、0%据え置きのフランが最も崩れました。来週は9月17日にBOE金融政策委員会が控えており、この序列が続くかどうかの答えが早速出ます。
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