先週このレポートは、首位の円について2つの警告を書きました。「完璧な全方位型で勝った通貨は翌週に崩れる(それまで8例中8例)」と「記録級の週の翌週は要警戒(2例2勝)」です。結果はどちらも外れました。円は+2.1489で首位を維持し、2週連続の7ペア全勝。指数は当サイト記録上3番目の高水準で、しかも上位3つはすべて円が占めています。外れた理由もはっきりしていて、これまでの全方位型の勝者が単発のニュースで勝っていたのに対し、今の円は9月17〜18日の日銀会合という「まだ終わっていない予定」に向けて織り込みが進んでいる最中だからです。9月8日にドル円は152円台後半と今年2月中旬以来の水準まで下げ、先週「試金石」と書いた7月31日の協調介入時の安値155.211円を、市場が自力で割り込みました。もうひとつの発見は順位表そのもので、2位から8位までの並びが「対円の下げ幅が小さい順」と完全に一致しています。
| 順位 | 通貨 | 強弱指数 | 前週 | 可視化 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 🇯🇵 JPY | +2.1489 | 1位 → | |
| 2 | 🇬🇧 GBP | +0.2429 | 7位 ⬆ | |
| 3 | 🇺🇸 USD | +0.1554 | 5位 ⬆ | |
| 4 | 🇪🇺 EUR | -0.0100 | 4位 → | |
| 5 | 🇨🇦 CAD | -0.1522 | 3位 ⬇ | |
| 6 | 🇦🇺 AUD | -0.3781 | 2位 ⬇ | |
| 7 | 🇨🇭 CHF | -0.8054 | 6位 → | |
| 8 | 🇳🇿 NZD | -1.2015 | 8位 → |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 1 | JPY/NZD | +2.987% | JPY首位 / NZD最弱 |
| 2 | JPY/CHF | +2.585% | JPY首位 / CHF7位 |
| 3 | JPY/AUD | +2.241% | JPY首位 / AUD6位 |
| 4 | JPY/CAD | +2.033% | JPY首位 / CAD5位 |
| 5 | GBP/NZD | +1.222% | GBP2位 / NZD最弱 |
| 順位 | ペア | 変化率 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 最下位 | EUR/JPY | -1.851% | EUR4位 / JPY首位 |
| -2 | USD/JPY | -1.707% | USD3位 / JPY首位 |
| -3 | GBP/JPY | -1.636% | GBP2位 / JPY首位 |
まず、外れたことを正面から書きます。先週このレポートは首位の円について、「『全方位型の勝者は翌週に崩れやすい』の9例目になるかどうか。加えて『記録級の週の翌週は要警戒』も同時に当てはまっています」と書きました。結果は、円が首位を維持。7ペア全勝も2週連続です。
これで「7ペア全勝の翌週に順位を維持できた通貨」は9例目にして初めて出ました(それまで8例中8例が順位を落としています)。また「記録級の週の翌週は要警戒」も3例目で初めて外れました(1例目=NZD +2.0274→-2.2104、2例目=JPY +2.9756→-0.3861、いずれも翌週に最弱へ転落していました)。
先週このレポートは「今週の安値155.288円は、7月31日の日米協調介入時の安値まで、わずか0.077円。介入で作った安値を市場が自力で更新できるかは、単なる節目以上の意味を持ちます」と書きました。答えは、あっさり割れたです。
9月8日(火)の東京市場でドル円は152円台後半まで下落、今年2月中旬以来、約半年ぶりの円高水準となりました。週間安値152.89円はそのまま75日間安値で、協調介入時の安値より2.3円以上も下です。理由は3つ重なっています。①9月17〜18日の日銀会合での利上げ観測(政策金利1.25%程度へ、市場は8割超を織り込み)、②ベッセント米財務長官が8月30日に日銀の植田総裁と面会し、大幅な円安に「断固とした市場・金融政策上の措置を講じることを強く支持する」と伝えたこと、③積み上がっていた円キャリー取引の巻き戻しです。
週の後半、米国のインフレ指標が2つとも上振れました。9月10日(木)の米8月PPIは前月比+0.4%・前年比+5.4%(予想+5.3%)。同じ日、米財務省が発表した国債の買い入れ(バイバック)規模が市場の期待に届かず、需給面からも金利に上昇圧力がかかっています。翌9月11日(金)の米8月CPIは、総合が前月比+0.4%(予想どおり)で5月来の高さ、コアが前月比+0.3%(予想+0.2%)で4月来の高さとなりました。
ただしコア前年比は+2.4%と7月の+2.5%から鈍化し、2021年3月来の低水準です。「年間ペースは落ちているが、足元の月次が再加速している」という、いちばん判断の難しい組み合わせでした。市場の反応ははっきりしていて、9月15〜16日のFOMCでの利上げ確率は発表前の71.5%から85.6%へ上昇。米10年国債利回りは週間高値4.98%で100日間高値を更新(2週連続)、終値4.97%でレンジ内位置98.6%です。
中東は、先週よりさらに一段進みました。9月9日(水)未明、米軍がペルシャ湾でイランのタンカー5隻を攻撃。これを受けてイランはヨルダンの米軍基地へ報復攻撃を行い、ブレント原油は7月以来はじめて1バレル100ドルを突破しました。より深刻なのは物流のほうで、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡周辺の船舶に通航禁止を通告し、海峡は事実上の封鎖状態となっています。
WTI原油は週間高値104.46ドルをつけ、終値99.99ドル・週間+9.303%。2週連続で+9%台、2週間で83.44ドル→99.99ドルと約20%の上昇です。日本は原油輸入の約94%を中東に依存し、そのうち約8割がホルムズ海峡を通過するタンカーで運ばれています。
今週の15通貨ペアで、最大の上昇はUSD/CHF(+0.810%)、最大の下落はCHF/JPY(-2.490%)。上下の両端をフランが占め、しかもどちらもフラン安の方向という、きわめて分かりやすい構図になりました。
CHF/JPYはSMA25(195.541円)>SMA50(197.467円)>SMA100(199.495円)>SMA200(199.599円)と線が上から下へ順に並ぶ下降パーフェクトオーダーに入り、SMA200乖離率-5.798%は15ペアで最も大きなマイナスです。反対にEUR/CHF(0.9467、+0.659%)は3週続伸で週間高値0.9473が75日間高値、4週連続で15ペア唯一の「真のパーフェクトオーダー」を維持しました。
来週は9月15〜16日(火〜水)のFOMCと9月17〜18日(木〜金)の日銀金融政策決定会合が2日違いで続きます。FOMCはドットチャート(経済見通し)の公表回で、今週のCPIを受けて利上げ確率は85.6%。日銀については0.25%の利上げで政策金利1.25%程度へという見方を市場が8割超織り込み済みです。
市場では「日銀が利上げしても円が買われない」という見方も出ています。すでに8割超を織り込んだ材料が実現しても、新しい買い材料にはなりにくいという理屈です。
JPY/NZD(+2.987%、今週最大の上昇率)、JPY/CHF(+2.585%)、JPY/AUD(+2.241%)、JPY/CAD(+2.033%)、JPY/EUR(+1.851%)、JPY/USD(+1.707%)、JPY/GBP(+1.636%)と7ペアすべてで勝利し、2週連続の完璧な全方位型JPY高です。7ペア全部が1.6%以上の勝ち幅で、内容も先週に劣りません。
指数+2.1489は当サイト記録上3番目(1位+2.9756=JPY・7月31日、2位+2.3418=JPY・9月4日)。正の記録の上位3つをすべて円が占め、しかも直近7週のうち3回という状態です。材料は9月17〜18日の日銀会合への織り込み、ベッセント米財務長官の円安けん制、円キャリー取引の巻き戻しの3つで、先週から一段深く進みました。
7位から2位へ+5ランク、6勝1敗。唯一の黒星はGBP/JPY(-1.636%)ですが、これは6つの円ペアのなかで最も下落率が小さいペアです。つまりポンドの2位は「円にいちばん負けなかった」ことで得た順位で、対円以外の6通貨すべてに勝ちました。
支えになったのは9月11日(金)に英国家統計局(ONS)が発表した7月の月次GDPで、前月比+0.4%と横ばい(0.0%)の市場予想を上回り、サービス業の産出が主な押し上げ要因となりました。ただし対ドルでは動いておらず、GBP/USDは週間+0.078%で2週連続の15ペア最小の変動。週間高値1.3567・週間安値1.3479で、先週割り込んだSMA25(1.3546)の下が続いています。
5勝2敗で3位。勝ったのはUSD/NZD(+1.159%)、USD/CHF(+0.879%、15ペア最大の上昇)、USD/AUD(+0.461%)、USD/CAD(+0.231%)、USD/EUR(+0.151%)で、負けたのはUSD/JPY(-1.707%)とUSD/GBP(-0.087%)の2つだけです。
週の後半にPPI・CPIがそろって上振れし、FOMCの利上げ確率は71.5%から85.6%へ、米10年利回りは週間高値4.98%で100日間高値を更新しました。対ユーロ・対フラン・対資源国通貨ではしっかり勝っており、ドルは決して弱くありません。にもかかわらず指数が+0.1554にとどまったのは、対円の-1.707%が大きく効いたからです。
4勝3敗で5週連続の4位。指数-0.0100はほぼ完全なゼロで、8通貨のなかで最も「動かない通貨」という位置づけがさらに固まりました。勝ったのはEUR/NZD(+1.052%)、EUR/CHF(+0.659%)、EUR/AUD(+0.296%)、EUR/CAD(+0.133%)、負けたのはEUR/JPY(-1.851%)、EUR/GBP(-0.208%)、EUR/USD(-0.151%)です。
ユーロドルは1.1598で週間-0.127%、週間高値1.1654・週間安値1.1569で値幅はわずか0.0085ドル。先週(0.0075ドル)に続く小動きです。位置関係はSMA50(1.1527)・SMA100(1.1557)の上、SMA25(1.1609)とSMA200(1.1632)の下で、3週連続で200日線の手前で止まりました。
3勝4敗で5位。勝ったのはCAD/NZD(+0.912%)、CAD/CHF(+0.598%)、CAD/AUD(+0.190%)で、負けたのはCAD/JPY(-2.033%)、CAD/GBP(-0.368%)、CAD/USD(-0.231%)、CAD/EUR(-0.133%)です。
今週いちばん納得しにくい結果がこれです。WTI原油が週間+9.303%(終値99.99ドル、週間高値104.46ドル)と2週連続で+9%台を記録したのに、カナダドルは3位から5位へ-2ランク。CAD/JPY(110.730円、-1.947%)は週間安値110.55円がそのまま75日間安値の更新で、4本すべてのSMAの下にある状態が2週続いています。
2位から6位へ-4ランク、2勝5敗。勝てたのはAUD/NZD(+0.726%)とAUD/CHF(+0.388%)の2ペアだけで、いずれも下位2通貨が相手です。AUD/JPYは-2.241%と大きく負けました。
ただし、対ドルでは依然として強さを保っています。AUD/USD(0.7170、週間-0.453%)は週間高値0.7237がそのまま75日間高値で、3週連続の更新。そこから押し戻されて3週ぶりの下落となりましたが、4本すべてのSMA(0.7143/0.7064/0.7079/0.6999)の上は維持し、SMA200乖離率+2.454%は15ペアで最大のプラスです。
1勝6敗で7位。勝てたのは最弱NZD相手のCHF/NZD(+0.353%)だけです。指数は-0.4938から-0.8054へ0.32ポイント悪化しました。CHF/JPY(-2.585%)は15通貨ペアで最大の下落、反対にUSD/CHF(+0.810%)は15ペアで最大の上昇──上下の両端をフラン絡みが占め、どちらもフラン安の方向です。
テクニカル面での悪化がはっきりしています。CHF/JPY(188.026円)は15ペアで唯一の下降パーフェクトオーダーに入り、SMA200乖離率-5.798%は15ペアで最も大きなマイナス。一方のEUR/CHF(0.9467、+0.659%)は週間高値0.9473が75日間高値で、4週連続の「真のパーフェクトオーダー」維持です。
3週連続で0勝7敗の完璧な全方位型NZD安。指数は-0.4431→-1.0689→-1.2015と3週続けて悪化しています。NZD/JPY(-2.987%)、NZD/GBP(-1.222%)、NZD/USD(-1.159%)、NZD/EUR(-1.052%)、NZD/CAD(-0.912%)、NZD/AUD(-0.726%)、NZD/CHF(-0.353%)と、7通貨すべてに負けました。
要因は2つです。ひとつは9月2日のRBNZで、政策金利を2.75%へ引き上げながら声明がデータ依存の慎重姿勢を強調し、10月会合での据え置きの可能性を示唆したこと。この見通しが3週目に入っても尾を引いています。もうひとつはNZの主要貿易相手国である中国の輸入の伸びが予想を下回り、内需停滞が意識されたことです。NZD/USD(0.5815、週間-1.146%)は3週続落で、先週割り込んだSMA25に加えてSMA50・SMA100・SMA200もまとめて割り込み、4本すべてのSMAの下へ落ちました。
1位JPY(+2.1489)と2位GBP(+0.2429)のあいだに1.9060ポイントの断層。2位から8位までの7通貨は+0.2429〜-1.2015の1.4444ポイント内に収まっており、断層はこの一箇所だけです。先週とまったく同じ「1通貨だけが抜け出す」形が2週連続になりました。
JPY(1位+2.1489)とCHF(7位-0.8054)で指数差2.9543ポイント。fx-34で1位と7位、fx-35で3位と7位、fx-36で1位と6位、今週は1位と7位と、4週連続で順位表の両端近くに分かれています。
AUD(6位-0.3781)とNZD(8位-1.2015)で指数差0.8234ポイント。3週連続の分裂ですが、差は先週の1.2975ポイントから0.47ポイント縮小しました。縮んだ理由は豪ドルが下げたからで、NZドルが戻したからではありません。
GBP(2位+0.2429)・EUR(4位-0.0100)・CHF(7位-0.8054)で、グループ平均-0.19。先週は3通貨そろってマイナスの「全滅グループ」でしたが、今週はポンドがプラスに浮上し、上位・中位・下位に1つずつという散らばり方になりました。