先週と主役は同じ「円」と「原油」。ただし、行き着いた場所が違いました。火曜(9/8)の東京市場でドル円は152円台後半まで下げ、今年2月中旬以来、約半年ぶりの円高水準です。週間安値152.89円はそのまま75日間安値で、先週このレポートで「円安トレンドが終わったかどうかの試金石」と書いた7/31の協調介入時安値155.211円を、市場はあっさり割り込みました。背景は9/17〜18の日銀会合での利上げ観測(政策金利1.25%程度へ、市場は8割超を織り込み)、ベッセント米財務長官の円安けん制、そして積み上がった円キャリー取引の巻き戻しです。原油はさらに上へ行きました。9/9未明、米軍がペルシャ湾でイランのタンカー5隻を攻撃し、イランはヨルダンの米軍基地へ報復。ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となり、WTIは週間高値104.46ドル・終値99.99ドル・週間+9.303%と2週連続で+9%台です。ところが週後半、風向きが変わります。9/10(木)の米8月PPIが前年比+5.4%(予想+5.3%)、9/11(金)の米8月CPIはコア前月比+0.3%(予想+0.2%)と、インフレ指標が2つとも上振れ。9/15〜16のFOMCでの利上げ確率は発表前の71.5%から85.6%へ上がり、米10年国債利回りは4.97%、週間高値4.98%で100日間高値を更新してレンジ内98.6%。ドル円も154.67円まで戻しました。それでも週間では-1.707%の153.594円です。円は6つの円ペアすべてで2週連続の全勝、最大の下落はCHF/JPY-2.490%——15ペアで唯一の下降パーフェクトオーダーに並びました。金利上昇の逆風でビットコインは週間-5.097%と12銘柄で最大の下落です。来週はFOMC(9/15〜16)と日銀会合(9/17〜18)が連続します。
ドル円は153.594円で週間-1.707%(-2.668円)と2週続落しました。週間始値156.124円・週間高値156.282円から週間安値152.89円まで3.4円の下落で、この安値がそのまま75日間安値を更新しています。先週このレポートで焦点に挙げた7/31の協調介入時安値155.211円は、週の前半であっさり割り込みました。移動平均線は4本すべてが上方で、SMA25(157.974円)・SMA50(159.702円)・SMA100(159.669円)・SMA200(158.402円)。乖離率はSMA50で-3.825%、SMA100で-3.805%、SMA200で-3.035%と、先週より一段広がりました。SMA配列は「混在」のままですが、チャートを見るとSMA25がはっきり下向きに変わっています。週間安値から週末には154.67円まで戻した点も押さえておきたいところです。
クロス円は2週連続で全ペアが下落し、ドル円・CAD/JPYを含めた6つの円ペアすべてで円が勝ちました。下落率順にCHF/JPY(188.026円、週間-2.490%=15ペアで最大の下落)、AUD/JPY(110.138円、-2.147%)、EUR/JPY(178.140円、-1.837%)、GBP/JPY(207.769円、-1.632%)。EUR/JPY(177.856円)・GBP/JPY(207.097円)・CHF/JPY(187.839円)の3ペアは週間安値がそのまま75日間安値を更新し、CAD/JPY(110.55円)を加えれば4ペアが直近75営業日の最安値を更新したことになります。なかでもCHF/JPYは、SMA25(195.541円)>SMA50(197.467円)>SMA100(199.495円)>SMA200(199.599円)と線が上から下へ順に並ぶ下降パーフェクトオーダーに入りました。SMA200乖離率-5.798%は15ペアで最も大きなマイナスです。AUD/JPYは先週唯一守っていたSMA200(110.880円)をついに割り込み、4本すべてのSMAの下へ落ちました。
EUR/USDは1.1598で週間-0.127%(-0.0015ドル)と、ほとんど動きませんでした。週間高値1.1654・週間安値1.1569で値幅は0.0085ドル——先週(0.0075ドル)に続いて小動きです。位置関係も先週と変わらず、SMA50(1.1527)・SMA100(1.1557)の上、SMA25(1.1609)とSMA200(1.1632)の下。SMA200乖離率は-0.286%で、3週続けて200日線の手前で止まっています。SMA配列は「混在」のままです。
GBP/USDは1.3527で週間+0.078%(+0.0010ドル)と、2週連続で15通貨ペア最小の変動となりました。週間高値1.3567・週間安値1.3479で、値幅は0.0088ドル。先週割り込んだSMA25(1.3546)の下は今週も続いており、乖離率は-0.141%とごくわずかです。SMA50(1.3475)・SMA100(1.3440)・SMA200(1.3449)の上は維持しています。
先週まで2週続いた「豪ドル高・NZドル安」の構図は、今週も形を変えて続きました。AUD/USD(0.7170、週間-0.453%)は週間高値0.7237がそのまま75日間高値——3週連続で直近75営業日の最高値を更新したものの、そこから押し戻されて3週ぶりの下落で着地しました。それでも4本すべてのSMA(0.7143/0.7064/0.7079/0.6999)の上は維持しており、SMA200乖離率+2.454%は15ペアで最大のプラスです。一方のNZD/USD(0.5815、週間-1.146%)は3週続落で、先週割り込んだSMA25(0.5900)に加えてSMA50(0.5853)・SMA100(0.5844)・SMA200(0.5855)もまとめて割り込み、4本すべてのSMAの下へ落ちました。週間安値は0.5795です。
フラン売りが、今週いちばんわかりやすい形で出ました。USD/CHF(0.8165、週間+0.810%)は15通貨ペアで最大の上昇率となり、4本すべてのSMA(0.8082/0.8093/0.8006/0.7933)の上を維持。週間高値0.8170は75日間高値0.8206に迫っています。EUR/CHF(0.9467、週間+0.659%)は3週続伸で、週間高値0.9473がそのまま75日間高値——2週連続で直近75営業日の最高値を更新しました。4本すべてのSMA(0.9383/0.9329/0.9255/0.9230)の上にあり、SMA配列も上昇パーフェクトオーダー。4週連続で15ペア唯一の「真のパーフェクトオーダー」です。USD/CAD(1.3867、週間+0.231%)はSMA200(1.3834)とSMA25(1.3859)を取り返し、先週の「4本すべてのSMAの下」から抜け出しました。SMA50(1.3975)・SMA100(1.3926)は依然として上方にあります。
CAD/JPY(110.730円、週間-1.947%)は2週続落で、週間安値110.55円がそのまま75日間安値——直近75営業日の最安値を更新しました。4本すべてのSMA(113.997/114.307/114.624/114.501)の下にある状態が2週続いています。原油が2週連続で+9%台というカナダドルの追い風があってなお、円高がそれを上回った形です。EUR/AUD(1.6170、週間+0.296%)は6週ぶりの上昇となりましたが、週間安値1.6077はそのまま75日間安値で3週連続の更新。4本すべてのSMA(1.6253/1.6320/1.6327/1.6635)の下にあり、SMA配列は下降パーフェクトオーダーです。EUR/GBP(0.8573、週間-0.208%)は1週で反落し、SMA25(0.8564)・SMA50(0.8549)の上は維持しつつ、SMA100(0.8594)・SMA200(0.8644)は依然として上方にあります。
日経平均は65,271円で週間+1.645%(+1,056円)と反発しました(データ日:9/10(木))。週間変動は9/3終値(64,215円)との比較なのでご注意ください——先週の記事で扱った64,214円がそのまま比較の基準です。週の中身は大きく振れていて、週間始値64,499円から週間高値66,792円まで戻したあと週間安値64,187円まで押し戻され、そこから65,271円まで切り返しました。値幅は2,605円です。9/10は3日ぶりの反発で、朝方は先物が950円超下落する場面もありましたが、TSMCの8月売上高が前年同月比+53.3%と伝わったことで半導体関連が買われ、翌9/11のSQ算出をにらんだ先物買いも重なって前日比+128円で引けています。ただし移動平均線はSMA5(65,421円)・SMA25(66,216円)・SMA50(66,251円)の3本すべてが依然として上方で、先週の「全SMA下抜け」から抜け出せてはいません。レンジ内位置は先週の49.5%から47.5%へわずかに低下し、月間は-2.537%とマイナスに転じました。
NYダウは52,573ドルで週間-1.574%(-841ドル)と3週続落しました。特徴的なのは週間高値53,110ドルが週間始値と同じ——つまり週初がそのまま高値で、そこから週間安値51,963ドルまで一方的に下げた形です。最終日の9/11に5営業日ぶりの反発で+509.19ドル(+0.98%)と戻して52,573.29ドルで着地しました。移動平均線はSMA5(52,644ドル)・SMA25(53,318ドル)・SMA50(52,967ドル)の3本すべてを下抜け、先週維持していたSMA5・SMA50も今週は割り込んでいます。レンジ内位置は先週の79.4%から64.0%へ大きく低下し、月間は-2.226%です。
米10年国債利回りは4.97%で週間+3.992%(+0.19ポイント)と急上昇しました。週間高値4.98%がそのまま100日間高値で、2週連続で直近100営業日の最高値を更新しています。週間安値4.76%からの上げ幅は0.22ポイント。要因は原油100ドル突破によるインフレ懸念、9/10の米8月PPI前年比+5.4%(予想+5.3%)、米財務省の国債バイバックが期待外れだったこと、そして9/11の米8月CPIでコア前月比が+0.3%と上振れしたことの4つが重なった結果です。SMA5(4.87%)・SMA25(4.74%)・SMA50(4.67%)をすべて上回り、レンジ内位置は先週の95.2%から98.6%へ。月間では+6.258%です。100日間安値は4.26%ですから、3か月半でおよそ0.7ポイント切り上がった計算になります。
VIX指数は15.84で週間+9.016%(+1.31ポイント)と上昇しました。週間始値15.02から週間高値18.17まで跳ね、週間安値は14.99。最終日の9/11には前日比-11.211%と大きく低下して15.84で引けています。レンジ内位置は先週の7.7%から21.4%へ、3倍近くに上昇しました。SMA5(16.23)・SMA25(15.33)・SMA50(16.12)のうちSMA25だけを上回る位置で、月間では+8.866%とプラスに転じています。
ビットコインは11,862,903円で週間-5.097%(-637,115円)と、12銘柄で最大の下落率となりました(データ日:9/12)。週間高値12,575,445円・週間安値11,809,503円で、値幅は約77万円。8月半ばから3週間続いた1,220万〜1,290万円の高値もみ合いから、下方向に抜けた形です。移動平均線はSMA5(11,982,737円)・SMA25(12,204,364円)をともに割り込み、SMA50(11,207,476円)の上はかろうじて維持。レンジ内位置は先週の85.6%から69.2%へ16ポイント以上も低下し、月間は+17.355%とプラスを保っています。下げの背景は米長期金利の上昇で、金利のつかない資産にとっては逆風です。
イーサリアムは385,798円で週間-0.688%(-2,673円)と小幅安にとどまり、BTC(-5.097%)を大きく上回る底堅さを見せました(データ日:9/12)。週間高値395,836円・週間安値371,245円で値幅は約2.5万円。SMA5(381,108円)・SMA25(383,415円)・SMA50(342,683円)の3本すべての上を維持しており、3本すべてを割り込みかけたBTCとは対照的です。レンジ内位置は先週の84.9%から86.3%へ上昇し、BTC(69.2%)を17ポイント上回りました。月間では+28.438%で、12銘柄のなかで引き続き最大です。最終日の9/11には前日比+2.483%と反発しています。
WTI原油は99.99ドルで週間+9.303%(+8.51ドル)と急騰し、2週連続で12銘柄最大の上昇率となりました(データ日:9/11)。2週連続で+9%台という動きです。週間始値92.26ドルから週間高値104.46ドルまで一気に駆け上がり、最終日は前日比-2.43%と反落してちょうど100ドルに届かない99.99ドルで引けています。週間安値は90.87ドル。SMA5(96.61ドル)・SMA25(87.14ドル)・SMA50(83.23ドル)をすべて大きく上回り、レンジ内位置は先週の55.1%から75.1%へ。月間では+20.079%と、こちらも12銘柄で最大です。100日間高値110.93ドルまでは10.9%。
金は4,390.0ドルで週間-0.898%(-39.8ドル)と2週続落しました(データ日:9/11)。週間始値4,391.9ドルから週間高値4,444.9ドル・週間安値4,330.7ドルと、値幅114.2ドルは先週(245ドル超のV字)よりずっと落ち着いています。移動平均線はSMA5(4,398.84ドル)・SMA25(4,449.93ドル)をともに下抜け、SMA50(4,266.43ドル)の上は維持。先週まで3本すべての上にいたので、1週間で2本を失ったことになります。レンジ内位置は先週の56.1%から53.3%へ低下し、月間は-0.429%とマイナスに転落しました。9/11のCPI発表直後には4,290ドル台へ急落してから4,360ドル台へ切り返す場面もありました。
銀は65.02ドルで週間-1.555%(-1.03ドル)と2週続落しました(データ日:9/11)。週間高値68.11ドルから週間安値63.15ドルまで4.96ドル(7.3%)下げたあと65.02ドルまで戻して着地しています。SMA5(65.92ドル)・SMA25(66.23ドル)をともに下抜け、SMA50(62.53ドル)の上は維持。金とまったく同じ位置関係の変化です。レンジ内位置は先週の34.9%から29.5%へ低下し、12銘柄のなかではVIX(21.4%)に次いで下から2番目。月間は-0.816%とマイナスに転じました。100日間高値88.89ドルまでは、まだ大きな距離があります。
白金は1,801.6ドルで週間-1.065%(-19.4ドル)と2週続落しました(データ日:9/11)。ただし週の中身は貴金属3品目でいちばん荒く、週間高値1,916.8ドルから週間安値1,771.0ドルまで145.8ドル(7.6%)の値幅があり、高値から終値までは6.0%の下落です。SMA5(1,836.46ドル)・SMA25(1,803.49ドル)をわずかに下回り、SMA50(1,718.35ドル)の上は維持。レンジ内位置は先週の44.7%から40.6%へ低下し、月間は+2.300%で貴金属3品目のなかで唯一プラスを保っています。なおチャートを見ると、白金は6月以降データが飛び飛びになっている日が多く、日々の値動きの形は他銘柄ほど滑らかではない点にご注意ください。
上海総合は3週連続で終値データが取得できませんでした。週間のレンジは始値3,942.51・高値3,958.12・安値3,916.49で、先週のレンジ(3,926.50〜3,995.18)より上下とも狭く、やや切り下がっています。100日間高値4,258.86・安値3,741.11のレンジでは、引き続き中央付近です。インドSENSEX(74,903、データ日:9/10)は週間-1.642%(-1,250ポイント)と5週続落。週間安値74,598は100日間安値73,319にかなり近い水準です。SMA5(75,579)・SMA25(77,097)・SMA50(77,318)をすべて下回る状態が3週連続で続き、レンジ内位置は先週の46.9%から26.2%へ大きく低下。月間は-4.161%とマイナス幅を広げました。
チャートをざっくり3グループに分けると——
🟢 上昇したもの:WTI原油(+9.30%・99.99ドル・週間高値104.46ドル・2週連続で12銘柄最大の上昇・月間+20.08%・レンジ内55.1%→75.1%)、VIX(+9.02%・15.84・週間高値18.17・レンジ内7.7%→21.4%)、米10年利回り(+3.99%・4.97%・週間高値4.98%が2週連続で100日間高値を更新・レンジ内98.6%)、日経平均(+1.65%・65,271円・9/10は3日ぶり反発・ただし3本のSMAはすべて上方・レンジ内47.5%)、USD/CHF(+0.81%・15ペア最大の上昇・全SMA上を維持)、EUR/CHF(+0.66%・2週連続で75日間高値0.9473を更新・4週連続で15ペア唯一の真のPO)、EUR/AUD(+0.30%・6週ぶりの上昇・ただし週間安値1.6077は3週連続で75日間安値を更新)、USD/CAD(+0.23%・SMA200とSMA25を取り返し全SMA下から脱出)、GBP/USD(+0.08%・2週連続で15ペア最小の変動)
🔴 下落したもの:ビットコイン(-5.10%・11,862,903円・12銘柄で最大の下落・SMA5とSMA25を割り込み・レンジ内85.6%→69.2%)、CHF/JPY(-2.49%・188.026円・15ペア最大の下落・週間安値187.839円が75日間安値を更新・15ペアで唯一の下降パーフェクトオーダー)、AUD/JPY(-2.15%・唯一守っていたSMA200を割り込み全SMA下へ)、CAD/JPY(-1.95%・週間安値110.55円が75日間安値を更新)、EUR/JPY(-1.84%・週間安値177.856円が75日間安値を更新)、USD/JPY(-1.71%・153.594円・週間安値152.89円が75日間安値を更新し協調介入時安値155.211円を割り込む)、GBP/JPY(-1.63%・週間安値207.097円が75日間安値を更新)、インドSENSEX(-1.64%・74,903・5週続落・レンジ内46.9%→26.2%・月間-4.16%)、NYダウ(-1.57%・52,573ドル・3本すべてのSMAを下抜け・週初が週間高値・レンジ内79.4%→64.0%)、銀(-1.56%・65.02ドル・SMA5とSMA25を割り込み・レンジ内29.5%)、NZD/USD(-1.15%・3週続落で全SMA下へ)、白金(-1.07%・1,801.6ドル・週間高値1,916.8ドルからは6.0%の下落)、金(-0.90%・4,390.0ドル・SMA5とSMA25を割り込み月間もマイナスへ)、イーサリアム(-0.69%・385,798円・BTCより明確に強く3週ぶりに立場が逆転・レンジ内86.3%)、AUD/USD(-0.45%・3週連続で75日間高値0.7237を更新しつつ3週ぶりの下落)、EUR/GBP(-0.21%・1週で反落)、EUR/USD(-0.13%・3週連続でSMA200に届かず・SMA25も割り込む)
🟡 方向感を探っている:上海総合(3週連続で終値データが取得できず・週間レンジは3,916.49〜3,958.12と先週より狭く、やや切り下がり)
ひと言でまとめると、「介入で作った安値を市場が自力で割り、原油は100ドルへ。来週はFOMCと日銀が2日違い」という週でした。先週このレポートは、7/31の協調介入時安値155.211円を「円安トレンドが本当に終わったかどうかの試金石」と書きました。答えは週の前半に出ています。火曜(9/8)の東京市場でドル円は152円台後半——今年2月中旬以来、約半年ぶりの円高水準まで下げ、週間安値152.89円は介入時安値より2.3円以上も下で、そのまま75日間安値を更新しました。背景は9/17〜18の日銀会合での利上げ観測(政策金利1.25%程度へ、市場は8割超を織り込み)、ベッセント米財務長官が8/30に植田総裁へ「断固とした措置」への支持を伝えたこと、そして円キャリー取引の巻き戻しです。円は2週連続で6つの円ペア全勝で、EUR/JPY・GBP/JPY・CHF/JPY・CAD/JPYの4ペアが75日間安値を更新。最大の下落はCHF/JPY-2.490%で、15ペアで唯一の下降パーフェクトオーダーに並びました。先週唯一SMA200を守っていたAUD/JPYも今週は陥落し、4本すべてのSMAの下は7ペアから8ペアへ。もう一方の主役は中東で、9/9未明に米軍がペルシャ湾でイランのタンカー5隻を攻撃、イランはヨルダンの米軍基地へ報復し、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となりました。WTIは週間高値104.46ドル・終値99.99ドル・週間+9.303%で2週連続の+9%台、2週間で83.44ドル → 99.99ドルです。ところが週後半、9/10(木)の米8月PPIが前年比+5.4%(予想+5.3%)、9/11(金)の米8月CPIがコア前月比+0.3%(予想+0.2%、4月来で最高)とインフレ指標が2つとも上振れ。9/15〜16のFOMCでの利上げ確率は71.5%から85.6%へ上がり、米10年国債利回りは4.97%・週間高値4.98%で2週連続の100日間高値更新・レンジ内98.6%まで来ました。ドル円も154.67円まで戻しています。それでも週間ではマイナス——2週続けて「米金利が上がってもドル円が戻りにくい」状態が確認されました。金利上昇の影響は資産ごとに分かれ、ビットコインは-5.10%で12銘柄最大の下落(高値もみ合いから下抜け)、貴金属は金-0.90%・白金-1.07%・銀-1.56%と3品目そろって2週続落でSMA5・SMA25を割り込み、一方でイーサリアムは-0.69%と踏みとどまって3週ぶりにBTCを上回りました。株式は方向が分かれ、日経は9/10に3日ぶり反発で週間+1.65%(ただしレンジ内位置は49.5%→47.5%と低下し、月間もマイナスへ)、NYダウは週初が高値のまま週間-1.57%で3本すべてのSMAを下抜け。インドSENSEXは原油高とルピー安で5週続落、レンジ内26.2%と100日間安値が視野に入りました。そして来週、FOMC(9/15〜16)と日銀会合(9/17〜18)が2日違いで連続します。米国は利上げがほぼ既定路線(85.6%)、日本も利上げを8割超織り込み済み——つまりどちらも「やること」はすでに価格に入っています。焦点はその先の道筋をどう示すかで、市場には「日銀が利上げしても円は買われない」という見方も出ています。織り込み済みの材料が実現したとき、相場はどちらへ動くのか。今年でも指折りの見どころのある週になりそうです。
先週の続きが、そのまま一段深いところまで進みました。火曜(9/8)の東京外国為替市場で、ドル円は一時152円台後半——今年2月中旬以来の円高ドル安水準です。理由は3つ重なっています。1つめは日銀の利上げペースが速まるとの見方で、9/17〜18の金融政策決定会合で0.25%の利上げに踏み切り、政策金利を1.25%程度へという観測を市場は8割超織り込んでいます。2つめは米当局からのけん制で、米財務省によればベッセント財務長官は8/30に日銀の植田総裁と面会し、大幅な円安に「断固とした市場・金融政策上の措置を講じることを強く支持する」と伝えたことが明らかになりました。そして3つめが、これまで積み上がってきた円キャリー取引(低金利の円を借りて高金利通貨で運用する取引)の巻き戻しです。円を売り持ちにしていたポジションが一斉に買い戻され、値動きが加速しました。
中東は、先週よりさらに一段進みました。9/9未明(米国時間)、米軍がペルシャ湾でイランのタンカー5隻を攻撃。これを受けてイランはヨルダンの米軍基地へ報復攻撃を行い、国際指標のブレント原油は7月以来はじめて1バレル100ドルを突破しました。より深刻なのは物流のほうです。イラン革命防衛隊がホルムズ海峡周辺の船舶に通航禁止を通告し、民間船が通航を避けた結果、海峡は事実上の封鎖状態となっています。日本は原油輸入の約94%を中東に依存し、そのうち約8割がホルムズ海峡を通過するタンカーで運ばれているため、影響は他人事ではありません。WTI原油は週間高値104.46ドルをつけ、終値99.99ドル・週間+9.303%で着地しました。
木曜(9/10)、風向きが変わります。米8月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.4%、前年比+5.4%で、前年比は市場予想の+5.3%を上回りました。企業段階での価格上昇圧力が衰えていないことを示す内容で、利上げ観測を後押しする材料と受け止められています。同じ日、米財務省が発表した国債の買い入れ(バイバック)規模が市場の期待に届かず、需給面からも金利に上昇圧力がかかりました。これは先週このレポートで「来週の米長期金利を左右する材料」として挙げていたものです。PPIとバイバックに原油100ドル突破によるインフレ懸念が重なり、米長期金利は一段と上昇。ドルは堅調に推移し、ドル円は154.67円まで戻して9/7以来の円安・ドル高水準となりました。
金曜(9/11)の米8月消費者物価指数(CPI)は、FOMCの直前という絶妙なタイミングでの発表でした。総合は前月比+0.4%(予想どおり、前回+0.1%)・前年比+3.4%(予想どおり)で、前月比は5月来で最高。FRBが重視するコアCPIは前月比+0.3%と、予想の+0.2%を上回り4月来で最高となりました。一方でコア前年比は+2.4%と7月の+2.5%から鈍化し、2021年3月来で最低です。つまり「年間ペースは落ちているが、足元の月次が再加速している」という、いちばん判断の難しい組み合わせでした。市場の反応ははっきりしていて、9/15〜16のFOMCでの利上げ確率は発表前の71.5%から85.6%へ上昇。米10年国債利回りは週間高値4.98%で100日間高値を更新し、レンジ内位置は98.6%まで来ました。ドル円は発表直後に154.47円まで急伸したあと15分後には153円台半ばへ反落する「行って来い」、金は4,290ドル台へ急落してから4,360ドル台へ切り返しています。
株式は、週の終盤にそろって戻しました。日本株は木曜(9/10)に3日ぶりの反発で、前日比+128円の65,271円。朝方は金利上昇と中東情勢への警戒から先物が950円超下落する場面もありましたが、台湾積体電路製造(TSMC)の8月売上高が前年同月比+53.3%と伝わったことでアドバンテストやキオクシアなど半導体関連が買われ、翌9/11のSQ(特別清算指数)算出をにらんだ先物買いも加わって切り返しています。米国株は金曜(9/11)に主要3指数がそろって5営業日ぶりの反発で、NYダウは前日比+509.19ドル(+0.98%)の52,573.29ドル。コアCPIの前月比が予想を上回ったにもかかわらず上昇したのは、コア前年比が2021年3月来の低水準だったことが下支えになったためです。ただし週間で見ると、日経は+1.645%、NYダウは-1.574%と方向は逆になりました。
・9/15〜16(火〜水)FOMC──ドットチャート(経済見通し)の公表回です。今週のCPIを受けて利上げ確率は85.6%まで上がり、市場は「利上げはほぼ既定路線」と見ています。焦点は利上げの有無より、その先の回数と道筋
・9/17〜18(木〜金)日銀金融政策決定会合──0.25%の利上げで政策金利1.25%程度へという見方を市場は8割超織り込み済み。焦点は「利上げしたあと、どれだけタカ派の姿勢を示せるか」
・両会合が2日違いで連続する点が今回の特徴です。先にFOMCがドルの下値を支えられるか、そのあと日銀会合が「材料出尽くし」になるかという順番で相場が動きます
・市場では「日銀が利上げしても円が買われない」という見方も出ています。すでに8割超を織り込んだ材料が実現しても、新しい買い材料にはなりにくいという理屈です
・そのほかホルムズ海峡の通航状況──封鎖が続くか緩むかで、原油と円の両方が動きます
今週のドル円は、先週の市場予想レンジ153.00〜158.00円の下限を割り込む152.89円まで下げました。来週は2つの中央銀行が2日違いで答えを出す週です。「織り込み済みの材料が実現したとき、相場はどちらへ動くか」──今年でも指折りの見どころのある週になりそうです。