2026年9月11日〜9月18日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──日米そろって利上げ、勝ったのはドル。円は7勝0敗から0勝7敗へ

9月16日(水)にFOMCが2023年以来の利上げ、9月18日(金)に日銀が1995年以来の水準となる1.25%への利上げを決めました。結果は米ドルが7ペア全勝の完璧な全方位型USD高で首位(+1.1236)、円は0勝7敗の完璧な全方位型JPY安で最弱(-1.3555)です。円は2週連続の7勝0敗から一転し、1位→8位の-7ランク。指数の振れ幅3.5044ポイントは当サイト記録上2番目の大きさです。分かれ目は利上げの有無ではなく、「次の利上げまでの距離」でした。2位から7位の並びは「対円の上昇率順」と完全に一致し、28ペアに番狂わせのない完全序列は2週連続です。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇺🇸 USD +1.1236 3位 ⬆
2 🇨🇭 CHF +0.3682 7位 ⬆
3 🇦🇺 AUD +0.3620 6位 ⬆
4 🇨🇦 CAD +0.1843 5位 →
5 🇪🇺 EUR +0.0094 4位 →
6 🇬🇧 GBP -0.0113 2位 ⬇
7 🇳🇿 NZD -0.6806 8位 →
8 🇯🇵 JPY -1.3555 1位 ⬇
順位ペア変化率方向
1USD/JPY+2.142%USD首位 / JPY最弱
2USD/NZD+1.576%USD首位 / NZD7位
3EUR/JPY+1.180%EUR5位 / JPY最弱
4GBP/JPY+1.167%GBP6位 / JPY最弱
5USD/GBP+1.001%USD首位 / GBP6位
順位ペア変化率方向
最下位JPY/CHF-1.523%JPY最弱 / CHF2位
-2JPY/AUD-1.498%JPY最弱 / AUD3位
-3JPY/CAD-1.362%JPY最弱 / CAD4位
順位表の2位〜7位は「対円の上昇率順」と完全に一致:6通貨が円に勝った幅を大きい順に並べると、CHF/JPY(+1.523%)→ AUD/JPY(+1.498%)→ CAD/JPY(+1.362%)→ EUR/JPY(+1.180%)→ GBP/JPY(+1.167%)→ NZD/JPY(+0.616%)。この順番が2位CHF・3位AUD・4位CAD・5位EUR・6位GBP・7位NZDとそのまま重なります。先週は「対円の下げ幅が小さい順」で同じ一致が起きており、円が順位表の物差しになる状態が2週続きました。向きだけが逆です。
番狂わせゼロの完全序列が2週連続(通算5回目):対7通貨の勝敗はUSD 7勝0敗/CHF 6勝1敗/AUD 5勝2敗/CAD 4勝3敗/EUR 3勝4敗/GBP 2勝5敗/NZD 1勝6敗/JPY 0勝7敗。勝ち数が順位どおりに1つずつ減っています。完全序列の連続はfx-32〜33に続いて2度目です。
TOP5/BOTTOM3の8枠中6枠が円絡み、残り2枠はドル買い:円以外で上位に入ったのはUSD/NZD(+1.576%)とUSD/GBP(+1.001%)。8枠すべてが「円売り」か「ドル買い」のどちらかで説明できる週でした。

① 9/16 FOMC──2023年以来の利上げ、年内もう1回を示唆

9月16日(水)のFOMCは全会一致で政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。2023年以来の利上げです。ウォーシュ議長は会見で「インフレが高すぎる状態が長すぎる」と述べ、ドットチャートの年末見通しは6月の3.8%から4.1%へ引き上げられ、年内もう1回の利上げが示されました。

同じ日の米8月小売売上高は前月比+1.2%(予想+0.7%)と上振れ。発表後、ドルは主要通貨すべてに対して上昇しています。米10年国債利回りは週間高値5.02%で、3週連続の100日間高値更新、2007年以来の高水準です。

米国は「利上げして、さらに続ける」姿勢を示しました。ドルの7勝0敗は、この姿勢に対する素直な反応です。先週まで「米金利が上がってもドル円が戻らない」状態が2週続いていましたが、今週は金利とドル円が同じ方向に動いています。

② 9/18 日銀──1.25%へ利上げ、それでも円は全敗

9月18日(金)、日銀は政策金利を0.25%引き上げて1.25%としました。1995年以来31年ぶりの水準です。ただし採決は賛成7・反対2で、浅田委員と佐藤委員が物価・経済の弱さを理由に反対しました。同じ朝の日本の8月CPIは前年比+1.9%で、8か月連続で2%を下回っています。

植田総裁は「引き続き政策金利を引き上げる」としつつ、利上げの間隔については「特定の間隔は念頭にない」と述べました。ドル円は発表前の156.16円から一時158.051円まで上昇し、週間+2.142%で引けています。

利上げは8割超が織り込み済みで、実現しても新しい円買い材料にはなりませんでした。反対2票と「特定の間隔は念頭にない」が「次の利上げは当分先」と受け止められ、米国は次が近く、日本は次が遠いという差がそのまま円売りになりました。直前2週間で積み上がった円買いポジションの巻き戻しも加わったと指摘されています。

③ 9/17 英中銀は6対3で据え置き

9月17日(木)の英中銀(BOE)は政策金利を3.75%に据え置きました。3人の委員が4.00%への利上げを主張する6対3の僅差です。利上げを一部織り込んでいた市場はポンドを売り、USD/GBPは+1.001%と変化率TOP5に入りました。ポンドは2位から6位へ-4ランクです。

④ 原油は106ドル台から反落

週前半はサウジ東西パイプラインの停止とフーシ派の攻撃で、WTIは週間高値106.75ドルをつけました。週後半はサウジの洋上積み替えによる代替輸出と停戦提案で反落しています。原油の上げ下げが1週の中で相殺され、カナダドルは5位→4位と小幅な動きにとどまりました。

⑤ 来週の注目材料(9/21〜9/25)

9月21日(月)〜23日(水)は日本が祝日で、東京市場は5連休です。薄商いのなかでの円安と、当局の口先介入・実弾介入が焦点になります。ドル円の200日移動平均線は158.396円です。

そのほか、9/22(火)トランプ大統領と湾岸協力会議(GCC)首脳の会談、9/23(水)主要国の9月PMI速報値、9/24(木)スイス国立銀行(SNB)の政策金利発表(据え置き予想)と豪州8月雇用統計が予定されています。翌週9/29(火)には豪準備銀行(RBA)の会合があります。

🇺🇸 USD(米ドル)── 1位 / +1.1236

前週3位 → 今週1位(+2)

7ペアすべてで勝利した完璧な全方位型USD高です。USD/JPY(+2.142%)、USD/NZD(+1.576%)、USD/GBP(+1.001%)、USD/EUR(+0.951%)、USD/CAD(+0.844%)、USD/CHF(+0.698%)、USD/AUD(+0.653%)。最も小さい勝ち幅でも+0.65%あり、取りこぼしのない勝ち方です。

材料は9月16日のFOMCと、同日の小売売上高の上振れです。2位CHFとの差は0.7554ポイントで、今週の順位表で最も大きい断層がここにあります。

ドルの過去7週推移は「6→5→8→1→5→3→1」。前回7勝0敗で首位に立ったfx-35(8月28日)の翌週は5位でした。当サイトの記録では、完璧な全方位型の勝者が翌週も順位を維持した例は先週の円の1例だけです。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 2位 / +0.3682

前週7位 → 今週2位(+5)

6勝1敗。負けたのはCHF/USD(-0.698%)だけで、勝ちはCHF/JPY(+1.523%)、CHF/NZD(+0.874%)、CHF/GBP(+0.321%)、CHF/EUR(+0.317%)、CHF/CAD(+0.211%)、CHF/AUD(+0.031%)です。

フランを買う固有の材料は今週見当たりません。海外市場ではむしろ、FRBと日銀が利上げするなかSNBが0%に据え置いている金利差から、フランは調達通貨として売られやすいと解説されています。実際にUSD/CHFは4週続伸です。2位になったのは、ドル以外の通貨に対する負けが円・NZドル・ポンドより小さかったためです。

3位AUDとの差はわずか0.0062ポイントで、直接対決のCHF/AUDも+0.031%とほぼ引き分けです。CHFの過去7週推移は「7→7→1→7→6→7→2」。来週9月24日にSNBの政策金利発表があります。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 3位 / +0.3620

前週6位 → 今週3位(+3)

5勝2敗。負けたのはAUD/USD(-0.653%)とAUD/CHF(-0.031%)です。対ドルの負け幅-0.653%は7通貨で最も小さく、ドル高への耐性は8通貨で一番でした。

9月18日(金)、ブロックRBA総裁が議会証言で「インフレへの懸念が現実になった」と述べ、追加利上げの可能性を示しました。市場は9月29日のRBA会合で0.25%利上げ(現行4.35%)を約85%織り込んでいます。AUD/JPYは先週割り込んだSMA200(111.059円)を1週で取り戻しました。

今週の豪ドルは「次の利上げが近い」側の通貨です。ドルに次いで負けが少なかったことと、この位置づけは一致しています。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 4位 / +0.1843

前週5位 → 今週4位(+1)

4勝3敗。勝ちはCAD/JPY(+1.362%)、CAD/NZD(+0.759%)、CAD/EUR(+0.169%)、CAD/GBP(+0.166%)、負けはCAD/USD(-0.844%)、CAD/CHF(-0.211%)、CAD/AUD(-0.112%)です。

USD/CADは1.3984で週間+0.844%、4本すべての移動平均線の上に出ました。週後半の原油安とFOMC後のドル高が対ドルでは重しになりましたが、円・欧州通貨に対しては勝っています。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 5位 / +0.0094

前週4位 → 今週5位(-1)

3勝4敗で指数はほぼゼロ。5週連続の4位から1つ下がりました。勝ちはEUR/JPY(+1.180%)、EUR/NZD(+0.620%)、EUR/GBP(+0.030%)の3つです。

EUR/USDは1.1486で週間-0.966%。2週続いた小動きから下に動き、4本すべての移動平均線の下に入りました。きっかけはFOMC後のドル高です。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 6位 / -0.0113

前週2位 → 今週6位(-4)

2勝5敗。勝ったのはGBP/JPY(+1.167%)とGBP/NZD(+0.587%)だけです。USD/GBP +1.001%は、円・NZドル以外で最大の対ドル負けでした。

9月17日のBOEは6対3で据え置き。利上げを3割程度見ていた市場が巻き戻し、GBP/USDは1.3394(週間-0.982%)と4本すべての移動平均線を割り込みました。5位EURとの差は0.0207ポイントです。

先週の2位は「円に最も負けなかった」ことで得た順位でした。今週は円安で全通貨が円に勝ったため、その優位が消え、BOEの据え置きが順位に直接出ています。

🇳🇿 NZD(NZドル)── 7位 / -0.6806

前週8位 → 今週7位(+1)

1勝6敗。唯一の勝ちはNZD/JPY(+0.616%)で、4週連続の最弱は止まりました。ただしNZD/USDは-1.576%で週間の下げは4週連続、順位が上がったのは円がさらに下に来たためです。

9月17日(木)のNZ 4〜6月期GDPは前年比+2.6%(予想+2.1%)と上振れし、一時買われましたが、すぐに押し戻されています。NZD/USDは4本すべての移動平均線の下にあります。

🇯🇵 JPY(日本円)── 8位 / -1.3555

前週1位 → 今週8位(-7)

0勝7敗の完璧な全方位型JPY安です。JPY/USD(-2.142%)、JPY/CHF(-1.523%)、JPY/AUD(-1.498%)、JPY/CAD(-1.362%)、JPY/EUR(-1.180%)、JPY/GBP(-1.167%)、JPY/NZD(-0.616%)。

指数は+2.1489から-1.3555へ3.5044ポイント悪化。振れ幅はNZDの4.2378ポイント(fx-22→23)に次いで当サイト記録上2番目で、fx-31→32の円(3.3617ポイント)を上回りました。-1.3555は負の記録で4番目の低さです。

「7勝0敗→翌週0勝7敗」の鏡写し反転は3例目です(fx-22→23のNZD、fx-31→32のJPY、今回)。今回は7勝0敗が2週続いた後の反転で、1週の勝ちからではない点が過去2例と異なります。円の過去7週推移は「8→8→7→3→1→1→8」。材料が「日銀会合」という予定だった点は先週指摘したとおりで、予定が終わった週に反転しました。

「ドル1強・円1弱」── 断層は両端に2つ

USD +1.12 / JPY -1.36

1位USDと2位CHFのあいだに0.7554ポイント、7位NZDと8位JPYのあいだに0.6749ポイントの断層があります。さらに6位GBPと7位NZDのあいだにも0.6693ポイントの差があり、2位〜6位の5通貨は0.3795ポイント内に収まりました。

指数レンジは3.3504ポイントから2.4791ポイントへ縮小。先週は「円だけが抜け出す」一極型、今週は「ドルが上、円が下」の両極型です。

北米(USD・CAD)── 1位と4位、3グループで首位

グループ平均 +0.65

USD(+1.1236)とCAD(+0.1843)でグループ平均+0.6540。カナダドルはドル高の恩恵を直接は受けていませんが、円・欧州通貨には勝っています。

欧州3通貨(EUR・GBP・CHF)── CHFだけが上位

グループ平均 +0.12

CHF(2位+0.3682)・EUR(5位+0.0094)・GBP(6位-0.0113)。ユーロとポンドはFOMC後のドル高でそろって対ドル1%前後下げ、4本すべての移動平均線を割り込みました。フランの対ドルの下げは-0.698%にとどまっています。

アジア太平洋(JPY・AUD・NZD)── 3位・7位・8位に分裂

グループ平均 -0.56

AUD(3位+0.3620)とNZD(7位-0.6806)の差は1.0426ポイントで、オセアニアの分裂は4週連続、差は先週の0.8234ポイントから広がりました。RBAは利上げ観測が85%、RBNZは9月2日の利上げ後に慎重姿勢を示しており、次の利上げまでの距離がここでも差になっています。

低金利グループのJPY(8位)とCHF(2位)は、5週連続で順位表の両端近くに分かれました(fx-34:1位と7位、fx-35:3位と7位、fx-36:1位と6位、fx-37:1位と7位、今週:8位と2位)。今週は並びが入れ替わり、フランが上、円が下です。
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