2026年10月9日〜10月16日(週次レポート)

通貨強弱ファンダメンタルズ分析
──カナダドルが原油100ドル台で7ペア全勝、豪ドルは7勝0敗から0勝7敗へ

WTI原油が週間で約10%上がって約1か月ぶりに100ドル台を回復し、カナダドルが7ペアすべてに勝つ完璧な全方位型CAD高(+0.5182)で5位から首位へ。反対側は先週首位の豪ドルで、10月15日の9月雇用統計が-3.93万人・失業率4.7%(5年ぶりの高さ)となり、0勝7敗の完璧な全方位型AUD安(-1.0321)で1位から8位へ-7ランクです。7勝0敗から翌週0勝7敗への鏡写しは当サイトの記録で4例目。米ドルは米CPIの上振れにもかかわらず、ウォーシュFRB議長が10月の利上げを示唆せず2位から7位へ。番狂わせゼロの完全序列(通算7回目)で、1位から7位の並びは「対豪ドルの上昇率が大きい順」と完全に一致しました。

順位 通貨 強弱指数 前週 可視化
1 🇨🇦 CAD +0.5182 5位 ⬆
2 🇨🇭 CHF +0.4044 6位 ⬆
3 🇬🇧 GBP +0.3813 4位 →
4 🇳🇿 NZD +0.3743 3位 →
5 🇪🇺 EUR -0.0386 8位 ⬆
6 🇯🇵 JPY -0.1866 7位 →
7 🇺🇸 USD -0.4209 2位 ⬇
8 🇦🇺 AUD -1.0321 1位 ⬇
順位ペア変化率方向
1GBP/AUD+1.249%GBP3位 / AUD最弱
2EUR/AUD+0.941%EUR5位 / AUD最弱
3JPY/AUD+0.752%JPY6位 / AUD最弱
4USD/AUD+0.552%USD7位 / AUD最弱
5GBP/JPY+0.538%GBP3位 / JPY6位
順位ペア変化率方向
最下位AUD/CAD-1.269%AUD最弱 / CAD首位
-2AUD/CHF-1.253%AUD最弱 / CHF2位
-3AUD/NZD-1.210%AUD最弱 / NZD4位
1位〜7位は「対豪ドルの上昇率が大きい順」と完全に一致:各通貨が豪ドルに勝った幅を大きい順に並べると、CAD(+1.269%)→ CHF(+1.253%)→ GBP(+1.249%)→ NZD(+1.210%)→ EUR(+0.941%)→ JPY(+0.752%)→ USD(+0.552%)。この並びが1位から7位とそのまま重なります。物差し通貨が順位表を決める週は、fx-37〜40の4週連続に続いて今週で5回目です。
番狂わせゼロの完全序列(通算7回目):対7通貨の勝敗はCAD 7勝0敗/CHF 6勝1敗/GBP 5勝2敗/NZD 4勝3敗/EUR 3勝4敗/JPY 2勝5敗/USD 1勝6敗/AUD 0勝7敗。28ペアに番狂わせはありません。3位GBPと4位NZDを分けたGBP/NZDは+0.005%と実質引き分けで、完全序列はこの1ペアの僅差の上に成り立っています。
8枠のうち7枠が豪ドル絡み:TOP5の4枠とBOTTOM3の3枠がすべて「豪ドル売り」で、残る1枠はGBP/JPYです。8枠中7枠が1通貨絡みとなるのは、fx-31・fx-36・fx-37(いずれも円)に続いて4例目。指数レンジは0.9684ポイントから1.5503ポイントへ広がり、5週続いた縮小が止まりました。

① WTI原油が101ドル台──カナダドルが7ペア全勝

WTI原油は10月16日(金)に101.41ドルで引け、7日続伸で約1か月ぶりの100ドル台です。週末に発表されたロシアとウクライナの「エネルギー停戦」はロシア側が確認せず、ウクライナによるロシア製油所への大規模攻撃、ホルムズ海峡付近での機雷による貨物船の沈没(10/14)、フーシ派のサウジ攻撃と、供給の不安が続きました。10月15日には米国の石油在庫が2003年以来の低水準と伝わっています。

10月15日の米国時間にはUSD/CADが1.4170付近まで下げ、カナダドルは原油の上昇と同じ方向に買われました。

カナダドルが7勝0敗で首位になるのは、原油+5.4%だったfx-33以来です。経験則では「原油は±4〜5%では順位に効きにくく、+9%超で表れる」(fx-36)としてきましたが、今週の+10%超はその目安どおりの結果でした。勝ち幅は対AUD +1.269%〜対GBP +0.111%で、上位4通貨どうしの差は小さめです。

② 10/15 豪9月雇用-3.93万人──豪ドルは7勝0敗から0勝7敗へ

10月15日(木)の豪9月雇用者数は-3.93万人(予想+1.59万人)、パートタイムが7.37万人減り、失業率は4.7%と5年ぶりの高さでした。11月3日のRBA会合での利上げ観測が後退し、豪ドルは発表後のアジア時間に加えてロンドン時間にもさらに0.6%下げています。10月13日のRBA議事要旨は「9月の利上げは全会一致、追加利上げの余地を残す」内容で、10月14日には中国の9月輸出が前年比約36%増と上振れて買われる場面もありましたが、雇用統計ですべて打ち消されました。

豪ドルの指数は+0.5383から-1.0321へ1.5704ポイント悪化しました。先週は「単発の指標と買い戻しで勝った全方位型は翌週に順位を落としやすい」「議事要旨と雇用統計が分かれ目」と書きましたが、その雇用統計で最も大きく崩れた形です。7勝0敗→翌週0勝7敗の鏡写しは、fx-22→23 NZD、fx-31→32 JPY、fx-37→38 JPYに続いて4例目です。

③ 米CPI+3.7%でもドルは7位──ウォーシュ議長「会合の結果を予断しない」

10月14日(水)の米9月CPIは前年比+3.7%(予想+3.6%)、10月15日の9月PPIは前月比+1.3%(予想+0.5%)と、物価の指標はそろって上振れました。CPI直後には10月FOMCの利上げの織り込みが約21%から一時5割超まで上がり、ドルも買われています。

ところが、10月13日のウィリアムズNY連銀総裁(年内もう1回、2027年は不要)、10月15日のデイリー・サンフランシスコ連銀総裁(10月に動く必要はない)に続き、10月16日(金)にはウォーシュFRB議長が「私は会合の結果を予断しない」と述べ、10月利上げの織り込みは15%を下回りました。AI関連株の急落で債券が買われたこともあり、米10年利回りは週間で5.24%から5.09%付近へ低下しています。

ドルは1勝6敗、勝ったのは豪ドル(+0.552%)だけです。上位4通貨には0.71〜0.81%の幅で負けました。指数は+0.0988から-0.4209へ下がり、過去7週で初めて下位2通貨に入っています。物価が上振れた週にドルが売られたのは、「物価」より「FRBの次の一手」が意識されたためと受け止められています。

④ AI関連株の急落──フランは2位、円は6位

米新興クラウドのコアウィーブの社債が急落し、10月15日の日経平均は前日比-3,318円(-4.90%)と歴代3位の下げ幅。フィラデルフィア半導体株指数は8日続落と2008年以来最長の連続安で、VIXは10月16日に一時22.31まで上がりました。

この株安で買われたのはフランです。10月15日のアジア時間に株が大きく下げた場面ではフランが主要通貨で最も強く、6勝1敗で2位に上がりました(負けはカナダドルだけ)。一方、円は2勝5敗の6位にとどまっています。10月16日には植田日銀総裁が「基調物価が2%からこれ以上上がることは容認できない」と述べ、10月29〜30日の会合で基調物価の判断を議論すると報じられました。

株安の週にフランと円の動きが分かれました。円はドルと豪ドルにだけ勝ち、フラン・ポンド・NZドル・カナダドル・ユーロに負けています。原油100ドル台は資源を輸入する日本にとって逆風で、円の「安全通貨」としての買いを打ち消した面があります。

⑤ ユーロの0勝7敗は2週で止まる──ECB高官の利上げに前向きな発言

10月14日(水)、ECBのヴンシュ・ベルギー中銀総裁が「おそらく再び利上げが必要」、シムクス・リトアニア中銀総裁が「10月の行動も排除できない」と述べました。ユーロは3勝4敗の5位で、2週続いた0勝7敗から抜けています。EUR/USDは週の前半に1.1113と75日間安値を更新したあと、週後半のドル安で戻しました。

ユーロが勝ったのは豪ドル・ドル・円の下位3通貨で、ポンド・フラン・NZドル・カナダドルには0.37〜0.49%の幅で負けています。10月23日にはフランスの格付け見直しが予定されており、財政の材料はまだ残っています。

⑥ 来週の注目材料(10/19〜10/23)

FRBは10/17〜29がブラックアウト期間(発言自粛)です。10/19(月)中国7〜9月期GDP、カナダ9月CPI、10/21(水)英9月CPI・NZ7〜9月期CPI、10/22(木)スイス中銀議事要旨、10/23(金)日本9月全国CPI・米欧の10月PMI速報・フランスの格付け見直し。首位のカナダドルには原油とカナダCPI、最弱の豪ドルには中国GDPが材料です。

🇨🇦 CAD(カナダドル)── 1位 / +0.5182

前週5位 → 今週1位(+4)

7ペアすべてに勝つ完璧な全方位型CAD高です。CAD/AUD(+1.269%)、CAD/USD(+0.811%)、CAD/JPY(+0.633%)、CAD/EUR(+0.487%)、CAD/NZD(+0.160%)、CAD/CHF(+0.156%)、CAD/GBP(+0.111%)。

材料はWTIの7日続伸(週間+10.4%、101.41ドル)です。前週10月9日の9月雇用統計は-6.83万人と弱かったものの、今週は原油がそれを上回りました。指数は+0.0431から+0.5182へ0.4751ポイント上がっています。

カナダドルの過去7週推移は「3→5→4→6→5→5→1」。原油という「これから先も動く材料」で勝った全方位型ですが、原油は中東とロシアの見出しで1日に数%動いています。10月19日のカナダ9月CPIと原油の100ドル台が続くかが、首位を保てるかの目安です。

🇨🇭 CHF(スイスフラン)── 2位 / +0.4044

前週6位 → 今週2位(+4)

6勝1敗。負けたのはCHF/CAD(-0.156%)だけで、勝ちはCHF/AUD(+1.253%)、CHF/USD(+0.770%)、CHF/JPY(+0.439%)、CHF/EUR(+0.402%)、CHF/GBP(+0.096%)、CHF/NZD(+0.028%)です。

週明けの10月12日には主要通貨で最も売られましたが、AI関連株の急落が広がった10月15日のアジア時間に最も強く買われ、週の後半に巻き返しました。

フランの過去7週推移は「6→7→2→3→3→6→2」。株価が最高値をつけた先週は6位、株が崩れた今週は2位と、株式市場の向きとそのまま逆に動いています。

🇬🇧 GBP(英ポンド)── 3位 / +0.3813

前週4位 → 今週3位(+1)

5勝2敗。勝ちはGBP/AUD(+1.249%)、GBP/USD(+0.716%)、GBP/JPY(+0.538%)、GBP/EUR(+0.368%)、GBP/NZD(+0.005%)。負けはGBP/CAD(-0.111%)とGBP/CHF(-0.096%)です。

10月14日のCPI直後には主要通貨で最も売られ、GBP/USDは1.3137と75日間安値を更新しましたが、10月15日の英8月GDPが前月比+0.1%(予想-0.1%)と上振れ、週の後半に戻しました。

ポンドの過去7週推移は「7→2→6→7→2→4→3」。4位NZDとの指数差は0.0070ポイント、直接対決は+0.005%でした。来週は10/21の英9月CPIです。

🇳🇿 NZD(NZドル)── 4位 / +0.3743

前週3位 → 今週4位(-1)

4勝3敗。勝ちはNZD/AUD(+1.210%)、NZD/USD(+0.713%)、NZD/JPY(+0.471%)、NZD/EUR(+0.420%)。負けはNZD/CAD(-0.160%)、NZD/CHF(-0.028%)、NZD/GBP(-0.005%)で、3敗のうち2敗は0.03%未満です。

NZD/USDは週の前半に0.5568と75日間安値を更新したあと、8週ぶりに上昇しました。10月14日の中国の輸出の上振れも支えになっています。

オセアニアの2通貨は4位と8位に分かれ、AUD/NZDは-1.210%です。豪州の雇用統計という豪ドル固有の材料で分かれた週で、NZドルは10/21のNZ7〜9月期CPIと10月28日のRBNZ会合が控えています。

🇪🇺 EUR(ユーロ)── 5位 / -0.0386

前週8位 → 今週5位(+3)

3勝4敗。勝ちはEUR/AUD(+0.941%)、EUR/USD(+0.325%)、EUR/JPY(+0.140%)。負けはEUR/CAD(-0.487%)、EUR/NZD(-0.420%)、EUR/CHF(-0.402%)、EUR/GBP(-0.368%)です。

10月14日にECB高官から利上げに前向きな発言が続き、2週続いた0勝7敗から抜けました。ただしEUR/USDは1.1113、EUR/GBPは0.8419と、週の前半にどちらも75日間安値を更新しています。

ユーロの過去7週推移は「4→4→5→4→8→8→5」。指数は-0.4301から-0.0386へ戻りましたが、上位4通貨には負けたままです。10/23のフランスの格付け見直しが次の材料です。

🇯🇵 JPY(日本円)── 6位 / -0.1866

前週7位 → 今週6位(+1)

2勝5敗。勝ちはJPY/AUD(+0.752%)とJPY/USD(+0.164%)。負けはJPY/CAD(-0.633%)、JPY/GBP(-0.538%)、JPY/NZD(-0.471%)、JPY/CHF(-0.439%)、JPY/EUR(-0.140%)です。

日経平均が歴代3位の下げ幅をつけた週でも、円は安全通貨として大きくは買われませんでした。10月16日に植田総裁は「基調物価が2%からこれ以上上がることは容認できない」と述べています。

円の過去7週推移は「1→1→8→2→4→7→6」。10/23の日本9月CPI(前年比+2.1〜2.2%の予想)と10月29〜30日の日銀会合で、12月利上げの観測がどこまで強まるかが材料です。

🇺🇸 USD(米ドル)── 7位 / -0.4209

前週2位 → 今週7位(-5)

1勝6敗。勝ったのはUSD/AUD(+0.552%)だけで、負けはUSD/CAD(-0.811%)、USD/CHF(-0.770%)、USD/GBP(-0.716%)、USD/NZD(-0.713%)、USD/EUR(-0.325%)、USD/JPY(-0.164%)です。

米9月CPI(+3.7%)とPPI(前月比+1.3%)は上振れましたが、FRB高官とウォーシュ議長が10月の利上げに慎重な姿勢を示し、10月利上げの織り込みは15%を下回りました。USD/CADとUSD/CHFは週の前半に75日間高値を更新してから下げています。

ドルの過去7週推移は「5→3→1→1→1→2→7」。3週連続7勝0敗(fx-38〜40)から2週で7位です。指数は+1.1236→+0.9379→+0.6093→+0.0988→-0.4209と、4週かけて少しずつ下がってきました。FRBは来週からブラックアウト期間で、米金利と原油がドルの方向を決めそうです。

🇦🇺 AUD(豪ドル)── 8位 / -1.0321

前週1位 → 今週8位(-7)

0勝7敗の完璧な全方位型AUD安です。AUD/CAD(-1.269%)、AUD/CHF(-1.253%)、AUD/GBP(-1.249%)、AUD/NZD(-1.210%)、AUD/EUR(-0.941%)、AUD/JPY(-0.752%)、AUD/USD(-0.552%)。

10月15日の9月雇用統計(-3.93万人、失業率4.7%)で、11月3日のRBA会合での利上げ観測が後退しました。10月13日の豪NAB企業景況感も-13(予想-9)と下振れています。AUD/USDは0.6894、AUD/JPYは108.63円と、どちらも75日間安値を更新しました。

豪ドルの過去7週推移は「2→6→3→8→7→1→8」。4週の間に0勝7敗(fx-39)→1勝6敗→7勝0敗→0勝7敗と、最弱と首位を往復しました。指数-1.0321は、fx-38の円(-1.3555)以来の大きなマイナスです。

上位4通貨の団子と、最下位の取り残し

AUD -1.03

1位CAD(+0.5182)から4位NZD(+0.3743)までの4通貨は0.1439ポイント内に収まり、4位と5位EUR(-0.0386)のあいだに0.4129ポイントの断層があります。最大の断層は7位USD(-0.4209)と8位AUD(-1.0321)のあいだの0.6112ポイントで、構図は「上位4通貨の団子+中位3通貨+取り残された最下位」です。

上位4通貨(CAD・CHF・GBP・NZD)の直接対決はすべて0.16%以内で、ドルにはそろって0.71〜0.81%勝っています。今週の順位は「ドルと豪ドルが売られた週に、どれだけ他の通貨が持ちこたえたか」で決まりました。

北米(USD・CAD)── 1位と7位に分裂

グループ平均 +0.05

CAD(+0.5182)とUSD(-0.4209)で平均+0.0487、差は0.9391ポイントと先週の0.0557ポイントから大きく開きました。原油高はカナダドルを押し上げ、FRBの慎重姿勢はドルを押し下げたと、同じ地域で材料が逆向きに働いています。

欧州(CHF・GBP・EUR)── 2位・3位・5位

グループ平均 +0.25

CHF(+0.4044)、GBP(+0.3813)、EUR(-0.0386)で平均+0.2490と、3グループで最上位です。先週の最下位から入れ替わりました。フランは株安の逃げ先、ポンドは英GDPの上振れ、ユーロはECB高官の発言と、3通貨とも別々の材料で支えられています。

アジア太平洋(NZD・JPY・AUD)── 4位・6位・8位

グループ平均 -0.28

NZD(+0.3743)、JPY(-0.1866)、AUD(-1.0321)で平均-0.2815と、3グループで最下位です。オセアニアの差は1.4064ポイント(先週0.4927ポイント)とさらに広がり、2週続けて「豪州の指標だけで分かれる」週になりました。

豪ドルとNZドルは同じ「資源国・オセアニア」でも、2週続けて逆方向に動いています。今週は中国の輸出の上振れ(10/14)という共通の材料もありましたが、それより豪州の雇用統計という国内材料が大きく効きました。
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