今週の主役は「暗号資産と貴金属の全面高」、そしてひとりだけ逆を向いた日経平均でした。きっかけは水曜(8/19)、米財務省が長期国債の買い戻し上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増すると発表したこと。約19年ぶりの高水準(5.34%付近)まで上がっていた米30年債利回りが約10bp低下し、ドル指数が急落——ドル円は一時158.01円まで下げました。ここに6週間積み上がっていた暗号資産のショートの連鎖清算が重なり、ビットコインは週間+22.326%で12,281,568円(一時7万9,000ドル台)、イーサリアムは+28.794%で100日間高値を更新。貴金属も白金+7.846%・銀+6.891%・金+5.563%と3品目そろって急騰し、金は週間高値4,624.1ドルでそのまま引ける強さでした。ところが同じ8/19に公表されたFOMC議事要旨(7/28-29会合)は「多くの参加者が追加引き締めの必要性を認識」というタカ派の中身で、米10年国債利回りは4.74%・レンジ内98.3%と100日間高値4.75%に肉薄。金利上昇でPER(株価収益率)の高いグロース株が売られ、日経平均は8/19に2,000円超安・8/21も900円超安となって66,016円・週間-3.926%。為替はドルが対円以外で全面安でしたが、8/20の7月貿易赤字6,345億円(前年の約4倍)と8/21の7月コアCPI+1.8%を受けて円も売られ、ドル円は158.979円・週間-0.196%とほぼ動かず。ドル安と円安が相殺した形です。クロス円は2週連続で全ペア上昇し、15ペア中9ペアが4本すべての移動平均線の上に並びました。
ドル円は158.979円で週間-0.196%(-0.313円)と、ほぼ変わらずで着地しました。ただし中身は静かではありません。週間始値159.301円から、水曜(8/19)の米財務省バイバック発表で週間安値158.01円まで急落し、そこから週間高値159.778円まで全戻し——という往復の1週間でした。移動平均線との位置関係は先週と同じで、SMA200(158.313円)のみ上、SMA25(160.211円)・SMA50(160.991円)・SMA100(159.972円)は依然として上方にあります。SMA200乖離率は先週の+0.695%から+0.421%へやや縮小。SMA配列は「混在」のままです。
クロス円は2週連続で全ペア上昇しました。上昇率順にCHF/JPY(198.362円、週間+1.283%)、AUD/JPY(113.985円、+1.008%)、EUR/JPY(185.630円、+0.715%)、GBP/JPY(216.908円、+0.603%)。位置関係の改善が大きいのはEUR/JPYで、先週はSMA200のみ上でしたが、今週は4本すべて(184.405/184.699/185.101/184.085)を上回りました。AUD/JPYも残っていたSMA100(113.062円)を突破して4本すべての上へ。先週まで4本すべてのSMAの下だったCHF/JPYも、SMA25(197.729円)だけは回復しています。一方でGBP/JPYは4本すべての上を維持しつつ、SMA配列が「上昇パーフェクトオーダー」から「混在」へ崩れました(SMA25が215.592円、SMA50が215.599円と、わずか0.007円の差で逆転)。
EUR/USDは1.1677で週間+0.921%(+0.0107ドル)と大きく上昇しました。先週「残る壁はSMA200(1.1628)」と書いたその壁を、今週突破しています。SMA25(1.1511)・SMA50(1.1473)・SMA100(1.1571)・SMA200(1.1629)と4本すべてを上回り、乖離率はSMA50で+1.777%。週間高値1.1711は5月中旬以来の水準で、75日間高値1.1788までは1%を切りました。3週間かけて「SMA25・50を回復 → SMA100を回復して下降PO解消 → SMA200を突破」と、教科書どおりの順序で形が整った格好です。
GBP/USDは1.3643で週間+0.796%(+0.0108ドル)と3週連続の上昇。注目は週間高値1.3675が、そのまま75日間高値になっている点です。つまり今週、直近75営業日で最も高い水準を更新しました。4本すべてのSMA(1.3456/1.3391/1.3428/1.3421)を上回る位置は維持され、乖離率はSMA50で+1.884%まで拡大。先週「収束帯から上放れした」と書いた動きが、そのまま素直に伸びた形です。SMA配列は「混在」のままですが、100日線と200日線がほぼ同じ水準(1.3428/1.3421)で横ばいなので、価格が上に離れれば線の並びも遅れて追いついてきます。
ドル安の恩恵をいちばん受けたのが資源国通貨でした。NZD/USD(0.5980、週間+1.489%)は15通貨ペアで最大の上昇率となり、週間高値0.5990は75日間高値0.5994に肉薄。4本すべてのSMA(0.5859/0.5797/0.5835/0.5837)を上回り、SMA50乖離率は+3.166%まで拡大しました。AUD/USD(0.7170、週間+1.200%)も4週連続の上昇で、こちらも4本すべてのSMA(0.7039/0.6997/0.7067/0.6949)の上。SMA200乖離率は+3.176%です。両ペアともSMA配列は「混在」ですが、乖離率の大きさは15ペアで上位に並びます。
ドル安が最もはっきり出たグループです。USD/CHF(0.8012、週間-1.462%)は15ペアで最大の下落率となり、先週回復したばかりのSMA25(0.8103)・SMA50(0.8083)を再び割り込みました。SMA配列は「上昇パーフェクトオーダー」のままですが、価格が2本の下に沈んだため、先週の「真のパーフェクトオーダー」は1週間で消滅しています。USD/CAD(1.3759、週間-0.806%)は2週続けて大きく下げ、最後に残っていたSMA200(1.3849)も割り込んで4本すべてのSMAの下へ。原油高がカナダドルを押し上げた形です。EUR/CHF(0.9351、週間-0.617%)は4週ぶりに反落しましたが、4本すべてのSMA(0.9329/0.9276/0.9228/0.9223)の上を維持しSMA配列も上昇パーフェクトオーダー——今週は15ペアで唯一の「真のパーフェクトオーダー」です。
CAD/JPY(115.478円、週間+0.575%)は先週まで残っていたSMA100(114.952円)を突破し、4本すべてのSMAの上に戻りました。3週間前に75日間安値110.795円をつけたところからは4.7円の戻しです。原油高と円安が重なった素直な上昇。EUR/GBP(0.8558、週間+0.118%)は小幅に反発しましたが、SMA50(0.8563)・SMA100(0.8612)・SMA200(0.8659)を下回る下降パーフェクトオーダーが続いています。ユーロもポンドも対ドルで上がったなかでは、ポンドのほうがやや強かったということです。EUR/AUD(1.6280、週間-0.304%)は3週続落で4本すべてのSMAの下。SMA200乖離率-2.827%は15ペアで最も大きなマイナスで、豪ドルの強さがここにも出ています。
日経平均は66,016円で週間-3.926%(-2,697円)と急落しました(データ日:8/21)。先週+3.997%で68,000円台を回復した直後の反転です。週間始値68,882円から週間高値69,226円をつけたあと、週間安値65,134円まで4,092円の下落。8/19に終値ベースで2,000円超安、8/21も900円超安と、週の後半に売りが集中しました。移動平均線ではSMA5(66,848円)とSMA50(67,358円)を割り込み、かろうじてSMA25(65,615円)の上で踏みとどまった状態です。レンジ内位置は69.4%と先週の79.7%から低下し、月間も-0.150%と再びマイナスへ転じました。
NYダウは53,277ドルで週間-0.848%(-455ドル)と2週続落しました。ただし金曜(8/21)は前日比+518ドル・+0.981%と反発して引けており、週間安値52,755ドルから戻して終わっています。SMA5(53,260ドル)・SMA25(53,045ドル)・SMA50(52,589ドル)をすべて上回る位置は維持し、レンジ内位置は84.2%(先週89.6%)。月間では+2.027%とプラスです。日経が-3.93%と急落するなかでの-0.85%で、日米の差がさらに開いた1週間でした。ハイテク比率の低いダウは、金利上昇局面では相対的に強く出ます。
米10年国債利回りは4.74%で週間+0.894%(+0.04ポイント)と続伸しました。週間高値4.75%は100日間高値と同値で、レンジ内位置は98.3%(先週90.2%)。ほぼ100日間で最も高い水準まで来ています。SMA5(4.70%)・SMA25(4.67%)・SMA50(4.58%)をすべて上回り、月間では+1.739%。水曜のバイバック発表で超長期の利回りは一度下がったものの、同じ日のFOMC議事要旨がタカ派だったことで中期ゾーンは戻し、金曜も前日比+0.894%(+0.04ポイント)と、週の高値圏で引けています。
VIX指数は15.13で週間+6.175%(+0.88ポイント)と4週ぶりに上昇しました。週間高値16.14まで買われる場面もあり、レンジ内位置は先週の0.4%から6.9%へ。ただし金曜(8/21)は前日比-5.497%と低下して引けており、SMA25(16.39)・SMA50(16.76)はともに上方にあります。月間では-9.075%と、まだマイナス圏です。日経が-3.93%と急落した週としては、VIXの上がり方はむしろ控えめでした。
ビットコインは12,281,568円で週間+22.326%(+2,241,542円)と急騰しました(データ日:8/22)。週間安値9,970,603円から週間高値12,597,245円まで、1週間で260万円超の値幅です。ドル建てでは8/21に一時7万9,000ドル台を記録しました。SMA5(11,523,901円)・SMA25(10,410,004円)・SMA50(10,423,220円)をすべて大きく上抜け、レンジ内位置は先週の17.7%から81.6%へ。月間でも+15.242%とプラスへ転じています。100日間高値12,932,481円までは、あと5.3%です。
イーサリアムは385,915円で週間+28.794%(+86,278円)と、12銘柄で最大の上昇率となりました(データ日:8/22)。特筆すべきは週間高値404,757円が、そのまま100日間高値になっている点です。つまり今週直近100営業日の最高値を更新しました。週間安値297,461円から高値まで10万円超の値幅で、上げ幅はBTC(+22.33%)を上回ります。SMA5(363,492円)・SMA25(312,425円)・SMA50(306,365円)をすべて大きく上抜け、レンジ内位置は先週の44.0%から88.5%へ。月間では+25.479%です。
WTI原油は87.06ドルで週間+5.655%(+4.66ドル)と2週連続の上昇となりました(データ日:8/21)。米国とイランの暫定合意が期限を迎え、延長されなかったことによる供給不安が背景です。週間安値81.50ドルから週間高値89.00ドルまで7.5ドルの値幅で、90ドルの大台が視野に入ってきました。SMA5(86.03ドル)・SMA25(83.21ドル)・SMA50(79.09ドル)をすべて上回る位置で、レンジ内位置は39.6%(先週30.4%)。月間では+0.265%と、ようやくプラス圏に戻しています。6月下旬の100日間安値67.04ドルからは20ドルの戻しです。
金は4,624.1ドルで週間+5.563%(+243.7ドル)と3週連続の上昇となりました(データ日:8/21)。注目すべきは、終値4,624.1ドルが週間高値そのものだという点です。週のいちばん高いところで引けたということで、上昇の勢いが週末まで途切れませんでした。SMA25(4,236.24ドル)・SMA50(4,175.94ドル)を大きく上回る位置を維持し、レンジ内位置は先週の51.2%から72.1%へ。月間では+11.507%(+477.2ドル)です。100日間高値4,879.7ドルまでは5.5%まで迫りました。
銀は69.47ドルで週間+6.891%(+4.48ドル)と続伸しました(データ日:8/21)。週間安値63.12ドルから週間高値69.85ドルまで一気に上げ、70ドルの大台が目前です。SMA25(61.81ドル)・SMA50(61.64ドル)を大きく上回り、レンジ内位置は先週の29.0%から42.7%へ改善。月間では+15.740%(+9.45ドル)で、金(+11.51%)や白金(+14.86%)を上回る伸びです。先週は「上昇の途中というより安値圏からの反発の初動」と書きましたが、今週の+6.89%を見ると初動の段階は抜けたと見てよさそうです。100日間高値88.89ドルまではまだ距離があります。
白金は1,887.3ドルで週間+7.846%(+137.3ドル)と、貴金属3品目で最大の上昇率となりました(データ日:8/21)。先週は+0.383%と足踏みしていましたが、今週は一転しての急伸です。週間安値1,726.4ドルから週間高値1,887.3ドル(=終値)まで160ドル超の上昇。SMA25(1,700.65ドル)・SMA50(1,672.87ドル)を大きく上回り、レンジ内位置は先週の33.9%から53.5%へ——100日間レンジの真ん中を上抜けました。月間では+14.855%です。なおチャートを見ると、白金は6月以降データが飛び飛びになっている日が多く、日々の値動きの形は他銘柄ほど滑らかではない点にはご注意ください。
上海総合(3,905.20、データ日:8/21)は3週ぶりに終値データが取得でき、週間-0.560%(-21.97ポイント)と小幅安でした。SMA25(3,883.37)は上回るものの、SMA5(3,935.26)・SMA50(3,958.04)は下回る位置。レンジ内位置は31.7%で、月間では+0.987%とプラスです。先週まで「週間レンジが3,900台へ切り上がっている」と書いてきた見立ては、実際の終値3,905.20で裏づけられました。インドSENSEX(77,541、データ日:8/21)は週間-0.600%(-468ポイント)と2週続落。SMA5(77,390)・SMA50(77,394)は上回るもののSMA25(77,699)を割り込み、レンジ内位置は先週の83.5%から76.7%へ低下しました。月間は+1.024%です。
チャートをざっくり3グループに分けると——
🟢 上昇したもの:イーサリアム(+28.79%・100日高値404,757円を更新・レンジ内88.5%)、ビットコイン(+22.33%・一時7万9,000ドル台・レンジ内17.7%→81.6%)、白金(+7.85%・貴金属3品目で最大・レンジ内53.5%)、銀(+6.89%・月間+15.74%・70ドルが目前)、VIX(+6.18%・4週ぶり上昇もレンジ内6.9%)、WTI原油(+5.66%・米イラン暫定合意の期限切れ・週間高値89.00ドル)、金(+5.56%・週間高値4,624.1ドルで引け・レンジ内72.1%)、NZD/USD(+1.49%・15ペア最大の上昇)、CHF/JPY(+1.28%・SMA25を回復)、AUD/USD(+1.20%・4週連続上昇)、AUD/JPY(+1.01%・全SMA上へ)、EUR/USD(+0.92%・SMA200を突破し全SMA上へ)、米10年利回り(+0.89%・4.74%でレンジ内98.3%)、GBP/USD(+0.80%・75日高値1.3675を更新)、EUR/JPY(+0.72%・全SMA上へ)、GBP/JPY(+0.60%・上昇POは「混在」へ)、CAD/JPY(+0.58%・全SMA上へ)、EUR/GBP(+0.12%)
🔴 下落したもの:日経平均(-3.93%・66,016円・8/19に2,000円超安・SMA5とSMA50を割り込む)、USD/CHF(-1.46%・15ペア最大の下落・真のPOが1週で消滅)、NYダウ(-0.85%・ただし金曜は+518ドル)、USD/CAD(-0.81%・全SMA下へ)、EUR/CHF(-0.62%・4週ぶり反落も15ペア唯一の真のPO)、インドSENSEX(-0.60%・2週続落)、上海総合(-0.56%・3週ぶりに終値データ復活)、EUR/AUD(-0.30%・3週続落)
🟡 方向感を探っている:ドル円(-0.20%・158.979円・ドル安と円安が相殺して週間ではほぼ動かず。週間安値158.01円から週間高値159.778円までの往復)
ひと言でまとめると、「米財務省のバイバック倍増でドルが急落、暗号資産と貴金属が全面高——金利上昇で日経だけが-3.93%」という週でした。すべての起点は水曜(8/19)です。米財務省が長期国債の買い戻し上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増すると発表し、約19年ぶりの高水準5.34%付近まで上がっていた米30年債利回りが約10bp低下。ドル指数が急落し、ドル円は158.01円まで下げました。ここに6週間積み上がった暗号資産のショートの連鎖清算が重なり、ETH+28.79%(100日間高値を更新)・BTC+22.33%(一時7万9,000ドル台)という急騰に。貴金属も白金+7.85%・銀+6.89%・金+5.56%と3品目そろって上がり、金は週間高値でそのまま引けました。ところが同じ8/19に公表されたFOMC議事要旨は「多くの参加者が追加引き締めの必要性を認識」というタカ派の中身で、米10年利回りは4.74%・レンジ内98.3%と100日間高値に肉薄。金利上昇 → PERの高いグロース株売り → 半導体株中心の日経平均が急落という経路で、8/19に2,000円超安・8/21も900円超安となり、日経は12銘柄で唯一の大幅安(-3.93%)となりました。為替はドルが対円以外で全面安(USD/CHF-1.46%が15ペア最大の下落)でしたが、8/20の7月貿易赤字6,345億円(前年の約4倍、原油輸入単価+78%)と8/21の7月コアCPI+1.8%(予想どおり、2%目標を7か月連続で下回る)で円も売られ、ドル円は-0.20%とほぼ動かず。ドル安と円安が相殺した形です。位置関係では15ペア中9ペアが4本すべての移動平均線の上に並び、EUR/USDは最後の壁だったSMA200を突破しました。来週は8/26のエヌビディア決算と米7月PCEデフレーター、8/27〜29のジャクソンホール会議(8/28にウォーシュFRB議長の基調講演)が並びます。今週の急騰の多くが金利低下期待に支えられている以上、講演の中身次第で反動も大きくなりやすい週です。日経がSMA25(65,615円)を守れるか、金が100日間高値4,879.7ドルに向かえるか、そしてBTCの踏み上げがどこで燃料切れになるかを見ていきたいところです。
今週の相場をひとつの材料で説明するなら、これです。水曜(8/19)、米財務省が長期国債の買い戻し(バイバック)の上限を、現在の20億ドルから少なくとも40億ドルへ引き上げると発表しました。対象は残存期間10〜20年と20〜30年で、適用は9月9日〜11月4日の予定です。買い戻しは本来、取引量の減った古い国債を買い入れて国債市場全体の流動性を支えるための仕組みですが、今回の増額はこのところ上昇が鮮明だった超長期金利を押し下げる狙いと受け止められました。背景には、米30年債利回りが約19年ぶりの高水準となる5.34%付近まで上昇していたことがあります。発表後、30年債利回りは約10bp低下し、ドル指数が急落。ドル円は158.24円まで急落し、この日の流れのなかで週間安値158.01円をつけました。
同じ水曜に公表された7月28〜29日のFOMC議事要旨は、方向が逆でした。多くの参加者が「インフレが低下しなければ金融引き締めが必要になるだろう」との認識を示し、さらに幾人かの参加者は同会合での利上げが望ましいと考えていたことが明らかになっています(7月会合は政策金利3.50〜3.75%の据え置きを決定、採決は9対3)。ウォーシュ議長が会合の開催頻度を年8回から6回に減らす案を提起していたことも記されました。バイバックで超長期の利回りが一度は下がったものの、米10年国債利回りは週末にかけて4.74%まで戻し、レンジ内位置は98.3%——100日間高値4.75%にほぼ肉薄する水準で週を終えています。
火曜(8/18)の米国市場でナスダックが-1.33%、半導体関連のSOX指数が-4.98%と大きく下げ、その流れが翌8/19の東京市場に波及しました。8/19の日経平均は終値ベースで2,000円を超える下落となり、ソフトバンクグループや東京エレクトロンなど半導体関連が全面安。金曜(8/21)も900円超下げ、週間では-2,697円・-3.926%となりました。要因は米長期金利の上昇に加えて、日米で個人消費の減速が意識されたことです。米国では先週末(8/14)発表の7月小売売上高が-0.6%(予想+0.1%)、8月ミシガン大学消費者態度指数の速報値が51.0(予想55、7月55.2)と、いずれも大きく下振れていました。
水曜のバイバック発表を起点に、暗号資産が週を通じて急騰しました。ビットコインは8/19に7万ドルを突破し、8/21には一時7万9,000ドル台を記録。円建てでは週間高値12,597,245円です。急騰の中身は3つが重なっています。① 6週間にわたり6万2,000〜6万7,000ドル付近の狭いレンジで積み上がっていたショートポジションの連鎖清算(清算額は数十億ドル規模で、2021年以来といわれる大きさ)。② デジタル資産の規制枠組みを明確化するCLARITY法案が9月15日に上院で審議入りに向けた手続き採決を控えているという期待。③ 米国の現物ETFへの資金流入で、8月上旬にビットコインETFへ約8.5億ドル(4月以来最大)、イーサリアムETFへ約2.45億ドルが入っていました。
日本の材料は3つ並びましたが、いずれも円買いにはつながりませんでした。月曜(8/17)の4-6月期GDP速報値は前期比+0.3%・年率+1.1%で3四半期連続のプラス成長ながら、市場予想(年率+2.2%)を下回る内容。内需が3四半期ぶりにマイナス寄与(-0.2ポイント)となり、ホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油輸入が減ったことによる外需(+0.5ポイント)がプラスを支える形でした。名目GDPは687兆7,182億円と過去最高です。木曜(8/20)の7月貿易収支は6,345億円の赤字で3か月連続の赤字、前年同月(1,563億円)の約4倍に拡大しました。輸出は11兆5,118億円と過去最高(前年比+20%超)ですが、原油輸入単価が78%高で輸入も12兆1,463億円と過去最高です。金曜(8/21)の7月全国コアCPIは前年比+1.8%(予想どおり、6月の+1.6%から加速)で、日銀の2%目標を7か月連続で下回りました。
中東情勢は再び緊張方向です。米国とイランの暫定合意が期限を迎え、延長されなかったことで供給不安が強まり、WTI原油は週間+5.655%(+4.66ドル)の87.06ドルまで上昇しました。週間高値は89.00ドルで、90ドルの大台が視野に入っています。先週の+5.398%に続く2週連続の上昇で、6月下旬に67.04ドルの100日間安値をつけたところからは20ドルの戻しです。この原油高は、日本の7月貿易赤字が前年の約4倍に膨らんだ直接の原因でもあり、「中東 → 原油 → 日本の貿易赤字 → 円売り」という経路がはっきり見える週でした。
・8/24(月)米国のイラン向け新たな経済制裁──トランプ政権が発表する見込み。原油と中東関連に直結
・8/26(水)エヌビディア決算──今週-3.93%の日経平均にとって、最大の反発材料にも追い打ちにもなり得る
・8/26(水)米7月PCEデフレーター──FRBが最も重視するインフレ指標。FOMC議事要旨のタカ派姿勢を裏づけるか
・8/27〜29 ジャクソンホール会議──8/28にウォーシュFRB議長の基調講演。今週の金利上昇が正当化されるかどうかの分岐点
・そのほか8/25の米6月ケースシラー住宅価格指数・7月新築住宅販売件数・8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、月末の外国為替平衡操作の実施状況(介入実績の公表)
金利・株・暗号資産のすべてが「ウォーシュ議長が何を言うか」で振れやすい週です。今週の急騰の多くが金利低下期待に支えられている以上、講演がタカ派に傾けば反動も大きくなりやすい点は意識しておきたいところです。